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ジジイとポチと萌えの国

 ある日、アルトリア共和国の重要人物が桃太郎家にやってきました。

 その人物は国家の重要な役職に就いている若者で

「私はポチという者で、アルトリア共和国文部科学大臣をしている者です。恩師であるお爺さんにお会いしたいのですが」

 と名乗って深々とお辞儀をしました。

「ええと……」

 桃太郎は困惑します。

 こんな誠実そうな青年にお爺さんが尊敬されるはずがありません。

 ピンときた桃太郎はすぐに一つの答えにたどり着きました。

『ジジイ、この誠実青年を洗脳したな』

 桃太郎は青年に対して会釈して

「ようこそおいでくださいました。うちのジジイが何か御無礼をいたしませんでしたか? もしやエロ本を見せられて脳みそをいじられたりはしていませんか?」

 と問うた。

 青年は首を横に振って

「いいえ、そのようなことはありません。お爺さんは私にいかに生きるかという人の道を説いてくださった方です。日本へエイリアンとして護送されていると聞きましたが、特赦を申請しに参りました。お爺さんは萌え文化発展に欠かせない存在です」

 とはっきりと言います。

「いやいや、だまされてはいけません。あのジジイは国際テロリストとしてNASAとCIAから指名手配されているんです」

 ポチ青年はどこかおかしいとは突っ込まずに

「だとすれば、それはNASAとCIAが間違っているのです。お爺さんは世界の至宝といっても過言ではありません。世界が萌えを欲する限り、お爺さんは英雄です」

 と返しました。

 桃太郎が呆然としていると

「しかし、あのババアだけは許せません。日本政府が彼女を無罪とするならば、我が国は全力を挙げて、あのババアにミサイルを撃ち込みます」

 と続けました。

「ちょっと待ってください、それは国際問題に……」

「なっても構いません! あのババアは萌えの美を汚しました。美を理解しないババアは許しません!」

 この青年もお爺さんの毒気にあてられたのか、ネジが十本くらい飛んでいるようです。

「おっと、話がそれてしまいました。私はお礼を申し上げに来たのです」

 青年は姿勢を正します。

「我が国が正常な民主主義国家になったのも、すべてお爺さんのおかげです。前任者の、といっても今は獄中にいますが、大統領はひどい人物でした。自国民をないがしろにした政治を行う、愚昧な大統領でした。その大統領を失脚させてくれたお爺さんの感謝を申し上げたいのです」

「は、はあ……」

 お爺さんがここまで感謝されたのは初めてです。全国の老人ホームではブラックリスト入りしているというのに、この扱いはなんでしょうか。

「うちのジジイは今、大江戸成田空港に到着している頃です。もし、何か言いたいことがあるのでしたら、行かれてはいかがですか? 矢文でも構いませんが」

「いえ、行かせていただきます」

 ポチ青年は再び深々と頭を下げると、桃太郎家を辞去しました。


 お爺さんは日本国とアルトリア共和国の親善大使として任命されたというニュースが世間をにぎわしました。しかし、すぐに地下鉄大江戸線でふんどし一丁で走り回り、電車を止めまくったことから国外追放処分を受けることになります。その時、お爺さんを受け入れたのがポチ青年でした。地球外生命体と呼ばれているお婆さんもセットです。

 こうして日本からしばらくはお爺さんとお婆さんの姿はなくなりました。

 日本政府はやれやれと胸をなでおろしているところにある事件が起こることになります。それは静かに、しかし確実に日本へと進んでいました。

こんばんは、星見です。

一か月放置してすみません。ようやくここに完結です。といっても、続編につながります。


萌えというテーマで描いていたはずなのですが、いつの間にか脱線というか路線変更? お爺さんとお婆さんのパワーはすさまじいものです。今回、お婆さんが蚊帳の外気味だったこともあり、次はお婆さんが空気にならないように(存在感が強すぎるからならないか?)したいと思います。


お読みいただいた皆様、ありがとうございました。

次回作もご期待ください!

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