七話-1
-校門前-
「なんだ…これ…」
秋里先輩はそう呟いた
それは、俺の心の中を代弁していた
校門のすぐ先に数人
前方十数メートル程先に黒ずくめの人間が倒れている
それも、結構な数だ
秋里先輩はいつの間にか校門の先に踏み込んでいた
『あ!
先輩、何やってるんですか!!』
先輩は振り返り
一枚のカードを見せる
『それは…』
「キャンセラーライセンス…
このマジックキャンセラー用みたいだぜ」
先輩は煙草をくわえると左手の親指で人差し指を弾き火を点けた
『じゃあ…コイツらは…』
「"ファントム"だろうな
…コレを起こしたのがそうだとしたら」
先輩はあまり吸わないまま煙草を地面に落とし踏んだ
俺はそれを見て携帯灰皿を投げて寄越した
「あまり褒められた事じゃないですね
…それに、ここは学校です」
先輩は苦笑しながら吸い殻を灰皿に放り込むと
校舎に向き直った
『別にいいさ…』
「え?」
『…八嶋、援軍を要請しろ
俺は先行する』
「何、言ってるんです!
上からの指示を…」
『そんな物待ってられねぇよ!』
「スタンドプレイで手柄を立てたって同じですよ!
むしろ、減給や降格…いや、それ以上だって!」
『…刑事失格だって言うなら、それでも構わない
例え、蔑まれても
それ以上に大切なものがあるんだ…
アイツが…由美が…』
「先輩!」
俺が叫ぶより先に先輩は消えていた




