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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第2章 王都編
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第97話 セバスチャンの秘密

「なんだ?どうした?」

「私も光系の防御魔法を覚えたんだから、同じことができるんじゃない!」

「同じこと?」


「バリッド!」


 トキオが疑問に思っている横で、クロアは防御魔法を水平に展開した。


「よっと!」

 そして、その上にピョコンと飛び乗った。


「ほら、できた!」

 クロアはすごく嬉しそうだった。


「ああ、それね。確かにそうだな」


「おお!素晴らしい!」

「空中に浮いてるみたいです!」

「カッコいいです!」

 セバスチャンたちも感心した声を上げた。


 クロアは、さらに3つ同じように防御魔法を展開して登って行った。


「これいい!楽しい!」


「ステキです!」

「面白そうです!」


 メアリーとジェーンも気に入ったようだった。


「そうだ!二人とも一緒に登らない?結構、面白い眺めよ」

「え?でも・・・」


「構わないから登って来なよ」

 トキオが二人に言った。


「いいんですか?じゃあ・・・」


 二人は手をつないで防御魔法のところまで行くと、


「せーのっ!」


 と、掛け声をかけて一緒に最初の防御魔法の上に飛び乗った。

 それから、同じようにしてクロアのいるところまで登って行った。


「ほら、しっかりつかまってね」

 クロアはそう言うと、間に入って二人の腰を掴んでから、落ちないように両脇と後方に防御魔法をかけたようだった。


「うわー!素晴らしい眺めです!」

「何か不思議な感じがしますが、気持ちいいです!」

「レベルが上がってMPが増えたら、もっと高くまで上がれようになるわよ。そしたら、また、一緒に上りましょう」

「ホントですか!」

「楽しみです!」


「こんな風にか?」


 後方の上から声がしたので3人が振り返ると、真後ろの頭よりやや高いところにトキオの足があった。


「ご主人様、スゴいです!」

「カッコいいです!」

「やるわね」


「じゃあ、今思いついた応用編で降りてみよう」

 トキオはそう言うと、防御魔法を展開しながらクロア達の真横に降りて来た。


「クロア、こっちの防御魔法を解除してくれる?」

 クロアは言われたとおりに解除した。


「じゃあ、俺のあとについて来てね」


 トキオは、足を前に投げ出して防御魔法の上に腰を下ろした。


「行くよ!」

 そう言うと、手で体を前に飛ばした。


「キャッ!」

 メアリーとジェーンは思わず悲鳴を上げたが、トキオは、下の方で緩やかになるように防御魔法を斜めに展開しており、その上を滑り台のように滑り降りると、最後は、ポンと飛び出して両足で着地した。


「ほら、おいで。両側にも防御魔法を張ったから、落ちる心配はないよ」


「スゴーい!」

 3人とも興味津々の顔で、メアリー、ジェーン、クロアの順に降りて行った。


 着地する時に転ばないようにトキオが手を出して支えようとしたが、メアリーとジェーンは運動神経が良いようで、トキオと同じように両足で見事に着地した。


 クロアだけはバランスを崩して横に倒れそうになったので、トキオがしっかり支えた。


(こいつ、前から思ってたけど、かなり運動音痴だな)


 トキオはそう思った。



「ありがとうございました!」

 メアリーとジェーンはクロアとトキオに向かって深々と頭を下げた。


「楽しかった?」

 トキオが聞いた。

「はい!」

 二人は声を揃えて満面の笑顔で答えた。

「じゃあ、またやりましょ」

 クロアが言った。

「はい!」



 二人は、セバスチャンのところに戻ると、嬉しそうな顔でその顔を見上げた。

 セバスチャンも、微笑みながら二人の肩に手を乗せた。





「じゃあ、書斎に案内するよ」

 屋敷に入り、2階に上がったところでトキオがクロアに言った。

「あ、そうね。どこにあるの?」


「実は、お前の部屋からこの廊下を挟んだ反対側の部屋だ」

 と、言って、トキオは右を指さした。


 クロアは思わずガクッとずっこけた。

「なによ!こんなに近くだったの!」


「ははは」

 トキオは笑いながら部屋の前まで行くとドアを開けた。


「どうぞお入りくださいませ」

 トキオはお辞儀をしながら言った。


「それはどうも」

 そう言いながら、興味津々の顔でクロアは部屋の中に入った。


 正面やや左に物書き用と思われる大きな机と椅子があり、ドアのすぐ左に応接セットがあった。

 奥行方向に縦長の部屋で、廊下側を除く3方の壁は本棚になっており、びっしりと本が収められていた。


「あら、思ったよりたくさん本があるじゃない」

「ホントだねえ」

「えー?自分の書斎なんでしょ?」

「そうなんだけど、ここに来た初日にチラッと見たきり入ったことがなかったから、まともに眺めるのは今日が初めてなんだよ」

「なによそれ」


 すぐにクロアの興味は本棚に移ったらしく、ざっとではあったが、右の壁からどんな本が収められているのかを見始めた。


「ふう~ん・・・色んな分野の本が揃ってるわね。それも、分野別にちゃんと整理されてる。これって、前に住んでた人の持ち物だったものなの?」

「たぶんね。本があることはすっかり忘れてたから誰にも確認したことなかったけど、俺のために用意したとは考えにくいからね。セバスチャンに聞いたらわかるんじゃないか」

「そうね。食事の時にでも聞いてみましょう」


 クロアはさらに本棚を眺めていたが、机の真後ろのあたりで足を止めた

「あ!光魔法の本がある!」


 クロアはそう言うと、その本を手に取ってページをめくった。

「これ、光魔法の使い方の解説本じゃないの。応用の仕方も書いてあるみたい。これ、借りていい?」

「いいよ~。そうか、魔法の本もあるんだ。だったら俺も何か使えそうなの読むかな」

 トキオはそう言うと、クロア隣に行って、本の背表紙に目を走らせた。


「お!風魔法の本だ。イマイチ使い方がわからないんだけど、参考になるかな?」

 そう言うと、クロアと同じように手に取ってページをめくった。


「お!これにも各魔法の解説と応用編がある。よし、俺はこれを読もう。クロアはそれだけでいいのか?」

「とりあえずいいわ。読み終わったら、どうせ返しに来なくちゃいけないから、その時に他の本を持って行けばいいし」

「そうだな。じゃあ、風呂に入るか」

「そうね」


 それで、その場は分かれた。




 夕食の時に、トキオはセバスチャンに聞いた。


「書斎の本って、前に住んでた貴族の人が置いていったものなの?」

「はい、そう聞いております。あの量の本を持って行くのは難しかったようで、必要最低限の本だけ持って行かれたようです」

「やっぱりそうなんだ。丁寧に扱わないとな」

「外に持って行ってもいいのかしら」

 クロアが聞いた。


「そこは侍従長や司祭様にも伺っておりませんが、最終的に本棚に戻せば大丈夫なのではないでしょうか」

「多分そうだよね。問題は汚したり破ったりしたらどうなるかってとこだな」

「そこはどうでしょう。私には判断しかねます」

「まあ、今度ミヒールさんに会ったら聞いてみるよ」

「それがよろしいかと思います」


「風呂からあがって少し読んでみたけど、私みたいな光魔法の初心者にはかなり参考になる本のようだったわ」

「そうかー。俺はまだ読んでないんだけど、そういうことなら俺も風魔法は初心者だから参考になりそうだな」


「ご主人様は風魔法を習得されていらっしゃるのでしょうか」

 セバスチャンが聞いた。

「そうだよ」

「レベルはおいくつでしょうか」

「5だけど、本について何かあるの?」

「そうですか。風魔法であれば、私も使えますので、初歩的な使い方でしたらお教えできるかと思いまして」

「え!?セバスチャン、魔法使えるの!?」

「そうだったの!」

 トキオとクロアは驚きの声を上げた。


「はい。最初に勤めたお屋敷のご主人様が風魔法のかなりの使い手でしたので教えていただきました」

「そうなんだ、へえ~・・・で、レベルはいくつなの?」

「今まで調べたことはなかったんですが、ご主人様が広めてくださったステータス画面で確認したところ、レベル28でした」

「ええー!?」

「スゴイ!」


「とんでもございません。まだまだ若輩者でございます」

「そんなことないって!アティムの上級魔法使いより全然上だよ!」

「レベル28にはなかなかなれないわよ!」


「・・・え?そうなんだ」

 トキオにはその辺はわからないことなので、クロアに聞いた。


「そうよ!上級魔法使いだって、ごく一部しか到達できないレベルよ」

「セバスチャンは長いこと使ってたからそこまで上がったのかな?」

「教えていただいた方が言うには、私は風魔法にかなり高い適性があるそうです」

「あー、そうことなのね。それなら納得よ」

 クロアが言った。


「それじゃ、今度教えてくれる?」

「はい、ご主人様のご都合のよいときに申し付けていただればやらせていただきます」

「それ、面白そうね。私も見学していい?」

「もちろんですが、それほど大したものではございませんので、過度の期待はご容赦願います」

「いや、きっとそんなことないわね」

「とんでもございません」


 そこでクロアが眉間に皺を寄せて難しい顔になった。


「どうした?」

 それに気づいたトキオが聞いた。

「なんか嫌な予感がしたのよね・・・セバスチャン、あんた他にも魔法使えたりするんじゃないの?」


「お見通しでございますか。恐縮でございます。一応、水魔法と火魔法も使えます」

「ええー!?」

 トキオとクロアは同時に驚きの声を上げた。


「どこで覚えたのよ!」

「水魔法は、2つ目に勤めたお屋敷の奥様から、火魔法は3つ目に勤めたお屋敷のご主人様から、それぞれ屋敷の警護の助けになるからと教えていただきました」

「どんだけ恵まれてるんだよ!」

「呆れたわね・・・それで、それぞれレベルはいくつなの?」

「はい、両方とも22でございます」

「なんですって!」

「そりゃビックリだ」


「一体、どんな執事なのよ」

「恐れ入ります」


「あ!・・・てことは・・・」


 トキオはそこで何かに思い当ったようだった。

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