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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第7章 決戦編
558/562

第558話 再婚

「そうだ!あんたに言い忘れてたことがあったわ!」

 突然、翔子の顔が明るくなった。

「え?な、なに?」

 その変化にトキオは思わず身構えた。

「接待で取引先の人たちと飲むことがあったんだけど、そこの社長さんと話が盛り上がってねえ。その人も奥さんを病気で亡くしてるっていうから、後日、二人だけで食事をしたのよ。そしたら、これが趣味がすごく合う人で、映画が好きでジャンルも合うし、音楽も洋楽メインですごく深いところまで話せたの」

 そこまで聞いて、トキオはなんとなくこの先が予想できた。

「さらに旅行が好きで、色んな観光地の話でも盛り上がってね。それで、一緒に旅行に行ったら気遣いもできてすごくいい人だったの」

 ここで翔子は一呼吸ついた。

「それで、その人と結婚することにしたのよ」

 そう言った時の翔子の顔は、気恥ずかしさよりも嬉しさが前面に出ているような表情だった。

「すごくいいんじゃない?」

 トキオは、少し驚いたがほほ笑みながら答えた。

「そう?あんたも賛成してくれる?」

「もちろんだよ。女性の一人暮らしだと色々不便もあるだろうからと、ずっと前からいい人がいたら再婚すればいいのにって思ってたくらいだからね」

「そうなの?あんたらしくもなくそんなこと考えてたのね」

「俺らしくないって、なんだよそれ」

 トキオは、呆れると同時に苦笑した。

「だって、あんたって人に気を遣うの苦手じゃない」

「ま、まあ、そこは否定しないけどね」

「でも、あんたが賛成してくれてホッとしたわ。反対されたらどうしようって悩んでたのよ」

「母さんが幸せになれるなら反対する理由なんかないさ」

「そう思ってくれるのね。良かった。ホントならすぐにでも会わせたいんだけど、今週は地方の工場の視察巡りに行ってて戻るのが土曜なのよ。あんた、土曜までこっちにいるの?」

「いや、たぶんそこまではいないと思う」

「そうなの?残念ねえ。じゃあ、次に帰ってきた時ね」

「そうだね。でも、早くても数か月後になると思うよ」

「そうなの?じゃあ、次に会う時にはもう籍を入れてるかもよ。まあ、結婚式はやらないから問題ないわ。この歳で結婚式もないからね」

「自分たちで決めたことならいいんじゃない?」

 その言葉に翔子は黙って頷いた。

「そろそろ行くけど、ちょっとごめん」

 トキオは、そこで窓に張り付いて外を見ているクロアたちのところへ行った。


「ここからだとすごく見晴らしがいいだろ?」

 トキオが後ろから声をかけると4人同時に振り向いたが、全員キラキラした目になっていた。

「いいなんてもんじゃないわ。すごく色んなものが見えて飽きないわ」

「街の中をずっと橋が通ってるのはどうしてですか~?」

 マキノが少し先に見える高架の道路を指して言った。

「ああ、首都高だね。自動車専用道路だよ。信号がほとんどないから速く走れるし、人は入れないから安全でもあるんだ」

「そうなんですか~」

「トキオさん、ここヘンですわ」

 スアが困惑したような顔で聞いてきた。

「ヘンって何が?」

「ここ、ホントに村ですの?王都より広いように見えますわ」

 そう言われてトキオは一瞬返答に困った。

 しかし、隠してもばれるだろうとすぐに思って真実を話すことにした。

「うん、実は村じゃなくて、ここはこの国の首都なんだよ」

「首都?」

「ミュラレシアの王都みたいなものだよ」

「え?じゃあ、ここは私の国じゃありませんの?」

「国が違うどころか世界が違うんだ」

「世界が違う?・・・よく、わかりませんわ」

「まあ、同じようなもんだからこう言い代えたらわかりやすいかな・・・ここは別の星なのさ」

「ええっ!?」

 スアとユアが同時に大きな驚きの声を上げたので、デスクで仕事に戻っていた翔子が顔を上げてこっちを見たが、大事があったわけではないことを感じ取るとすぐに視線を戻した。

「・・・だから見たこともない乗り物や建物があるんですのね?」

「そういうこと」

「あれ?お姉さまとマキノさんは驚いてませんわ」

「二人はここに来る前から知ってたからね」

「そうなんですの?」

「どうして私たちには内緒でしたの?」

 ユアが不満そうな顔で言った。

「魔法陣の中にいきなり飛び込んで来るもんだから話す暇なんかなかったよ」

 そう言って笑ってごまかした。

「そうでしたわ」

「ごめんなさい」

「別に謝る必要はないよ・・・ああ、ちょうど旅客機が飛んでいくね」

 トキオは、右上を見上げて白いジェット旅客機を指さした。

「あれは鳥さんですの?」

「それにしては変なカタチですわね?」

「あれも乗り物なんだよ。すごく高いところを飛んでるから小さく見えるけど、ドラゴンより大きくて何百人も乗ってるんだ」

「ええっ!?」

「ホントですの!?」

「うそっ!?」

「・・・あれがあんたが言ってた旅客機とかいうやつ?」

 クロアがそう答えたが、他の3人と同じように顔には驚きの色が浮かんでいた。

「そうそう・・・そうだ、俺のマンションに戻ったらパソコンで動いてる動画を見せてあげるよ」

「本当ですの!?」

「見たいですわ!」

「私も見たいです~」

「私も!」

「じゃあ、そろそろ戻ろうか」

「はい!」

 スアとユアが声を揃えて元気に答えたので、トキオ、クロア、マキノは思わず笑ってしまった。


「じゃあね、母さん」

「あら、もう?」

 翔子はデスクを離れて、ドアへ向かおうとしていたトキオたちのところへ歩いてきた。

「何日こっちにいるの?」

「3日くらいかな?用事が済み次第戻る予定だからはっきりとは決めてないけど」

「じゃあ、戻る前に一度うちに来なさいね」

「わかった・・・ああ、一つ頼みたいことがあったんだ」

「なに?」

「これから先、こっちに来るのは年に数回になるだろうからマンションは解約しようと思うんだけど、家具とか電化製品を処分してる暇がないんだよ。向こうでも仕事があるからこっちに長居できないしね。それで、あとで俺の部屋のそれらを処分する手配をしてくれないかな。小物は箱に詰めとくから」

「またそんな面倒なことを・・・しょうがないわね」

「よろしくね!」

 トキオは、顔の前で両手を合わせると翔子に向かって拝むような仕草をした。

「代わりに次にこっちに来るときは向こうの世界にしかないお土産を持ってくるのよ。どうせ、今回は何もないんでしょ?」

「あ、そうか!全然考えてなかった!・・・そうだ!これをあげるよ」

 トキオは、ズボンのポケットから財布を出すと中から金貨と銀貨を一枚ずつ取り出した。

「これは、向こうで使われてる硬貨で、こっちの銀貨が5万円相当」

 そう言いながら銀貨を翔子に渡した。

「へえ、硬貨1枚でねえ」

「そして、こっちの金貨は・・・・1500万円!」

「ええっ!これ1枚でっ?」

 翔子は驚愕の表情で金貨を受け取った。

「そうなんだよ。まあ、こっちで売ったら価値なんてわからないから、せいぜい10万円くらいだろうけど」

「そうかもしれないけど、1500万だなんて・・・そんなのもらっていいの?」

「屋敷に戻れば、まだ、7、8枚あるから大丈夫」

「屋敷?」

「ああ、俺、王様に報奨として大きな屋敷を貰ってそこに住んでるんだよ。そうだ!写真を撮って来たんだった」

 トキオは、スマホを取り出すと門のところから撮った屋敷の建物全体が分かる写真を見せた。

「えっ?すごく大きくて、まるでお城みたいじゃない!敷地も東京ドームより広そうよ?」

「ああ、全然広いと思う」

「・・・あんた、嘘をつくならもっとうまい嘘をつきなさいよ」

「嘘じゃないって!オスヴァルト侯爵邸と言って、以前はこの子たちが家族で住んでたんだけど、西部に引っ越して空き家になってたから王様が俺にくれたんだよ」

 トキオがスアとユアを見ながら言うと、二人は軽く頷いた。

「王様!?あんた、王様と知り合いなの?」

「一緒にちょっとした冒険をしたことある程度にはね」

「嘘でしょ?」

 そこで、デスクの内線電話が鳴ったので翔子は小走りで行って受話器を取ったが、慌てた様子で壁時計を見上げて何かを話すと、すぐに電話を切った。

「いつの間にか会議の時間になってたわ!行かなくちゃいけないから、その話はうちに来た時に詳しく話してちょうだい!とりあえず、この硬貨はありがとう。大事にするわ!」

 翔子は、そう言うとデスク上から資料を取って来て、

「さあ、行きましょう」

 と言ってドアに向かった。トキオたちも付いて行き、一緒に部屋の外に出た。

「私はあっちの会議室だからここで」

 翔子は、エレベーターと反対側を指した。

「うん、それじゃ」

「うちに来る前に電話してね」

 翔子が会議室の方へ歩いて行きながら言った。

「わかった」

 そこでお互いに手を振って別れた。



「なんかちょっと小腹がすいてきたなあ。軽くスイーツでも食べに行くか」

 トキオは、ビルを出たところで呟いた。

「スイーツって何?」

 クロアが聞いた。

「ケーキとかの甘いお菓子のことさ」

「それいいわね!この世界のお菓子って興味あるわ!」

「私もです~!」

「どんなお菓子ですの?」

「そうだなあ・・・」

 と、トキオがどこへ行くか考えていると、その間にも通行人が4人の女の子をジロジロ見て行き、特にスアとユアは、かなり驚いたような顔でガン見された。

「・・・その前に、キミたちのその恰好をなんとかしないとだな。よし!まずは子供服を売ってる店に行こう!」

「私たちが着られるようなお洋服が売っているお店に行くんですの?」

「そういうこと」

「やった!」

 スアとユアは、顔を見合わせてすごく嬉しそうな顔になった。

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