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異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第1章 アティム編
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第38話 驚愕の新兵器

 次の日の朝、トキオがギルドに行くと、アウレラとブロームはすでに来ていた。


「テリットは?」

「支部長のところに各パーティーのリーダーが呼ばれたんで行ってるわ。魔獣対策に関して何か新しい話があるのかも」

「そうかー」



 しばらく待っていると、事務所の方からかなり位の高そうな軍服を着た50歳ぐらいの男が30代半ばぐらいの軍服を着た男二人と出てきた。

 そのあとから支部長も出て来て、お互いに一礼をすると軍服を着た男たちは周りには目もくれずに出て行った。


「あの先頭の人、誰?」

「この街の師団長ね。要するに、ここにいる軍隊で一番偉い人よ。残りの二人は護衛の士官だと思うわ」

「へえ~」


 師団長クラスの軍人を見たのは初めてだったので、トキオは本気で感心した。



 その直後、テリットが事務所から出て来た。


「どういう話だった?」

 ブロームが聞いた。


「魔獣だけじゃなく、ゴブリンやオークもこの街の近郊に現れたことを王国軍は重視して、今後の見回りは兵士がやってくれることになった。もしまた魔獣が出現しても、基本的には王国軍が対処するから、俺たちは今まで通り、動物型の魔物と人型の魔物討伐に専念して欲しいそうだ」

「ああ、それで師団長が来てたのか。しかし、それはこっちとしては助かるが、ホントに大丈夫なのか?」

「今回の戦闘で今の戦力では足りないと判断したとのことで、兵士、上級魔法使い、軍所属の冒険者を増員するそうだ。武器もレベルアップするらしい」

「なるほど。それなりに対策はするんだな」

「ああ。ただ、見回りをやってくれるとは言っても限りがあるだろうから、俺たち冒険者も仕事に出かける時の道中は、今まで以上に周りを警戒した方がいいだろうな」

「そうね。増員すると言ったって、街の外をどこまで見回れるか疑問もあるしね」

「その通りだ。そういうことだから、みんなも今まで以上に注意を払っていてくれ」

「ああ」

「わかった」

「了解よ」


 王国軍はトキオたちが思っていた以上に仕事をきっちりしたようで、それからしばらくは、魔獣はもちろん、人型の魔物の姿を見かけることもなくなった。





 2週間後の朝、ギルドにて。


「フーゴに頼んでた武器ができたから、昨日の夜に受け取りに行ってきたよ」

 そう言ってトキオは、それをテーブルの上に置いた。ゴトリという硬くて重い音がした。


 それは、リボルバー式の拳銃だった。

挿絵(By みてみん)


「これがハードオークにも有効だって言ってた武器か!見たこともないカタチをしてるなあ。しかし、こんなにちっちゃいんだ」

 そう言うと、テリットは拳銃を手に取った。


「ああ、そこそこ重いな」

「そう。あまり軽いと発射したときの反動で弾が狙い通りに飛ばないからね」

「タマ?」

「正確に言うと弾丸だね。これだよ」

 トキオは胸のポケットから弾丸を取り出してテーブルの上に置いた。


「これは拳銃って言うんだけど、この弾丸が、この拳銃のここから飛び出して目標を撃ち抜くんだ」

 トキオは、銃口を指しながら言った。


「今は弾を入れてないけど、こんな風に使うんだ」

 トキオは拳銃をテリットから受け取って、皆が横から見られるように構えた。


「この横に飛び出している筒状の部分に弾が入ってるんだけど、こう握って、後ろの上から突き出てるこの撃鉄を親指で起こして、次に、人差し指でこの引き金を引くと、起した撃鉄が戻って弾倉にある弾丸のお尻を叩く。すると、弾丸の中に入ってる火薬が爆発して弾丸の先っぽに詰めてある金属部分が飛んでくって仕掛けね」


 トキオは、説明しながら、撃鉄を起こして引き金を引いた。「ガチン」という音がした。


「わかったようなわからんような」

「ふうーん」

「だめ、あたしわかんない。やって見せてよ」


「うーん、ここだと難しいなあ。ものすごく大きな音がするからね。裏庭でやってもみんながビックリしちゃうよ」

「そうなの。残念ねえ」

「今日の討伐の時に使うつもりだったから、それでいいでしょ?」

「あ、そうなんだ。じゃあ、それでお願い」


「ということなら、なるべく威力が分かるような討伐にしよう」

 テリットはそう言うと、依頼掲示板の方へ歩いて行った。


 しばらく掲示板を眺めていたが、右下の隅に貼ってあった紙を剥がすと戻って来た。



「いいのがあったぞ!これでいこう!」


 そう言いながらテリットがテーブルの上に置いた紙を3人で覗き込んだら、それはグリベラーの討伐で、しかも「3~5体いる可能性あり」と書かれていた。


「ホントにこれを受けるのか!?」

 ブロームが慌てたように聞いた。


「その拳銃ってのが本当にハードオークに有効な武器ならグリベラーは大丈夫だろ。なあ、トキオ」

「うん、問題ないと思うよ」

 トキオは、少し離れた位置から頭を撃ち抜けば大丈夫という気がしたので、即座にそう答えた。


「ホントか?」

「いいんじゃない?この間も割と楽に討伐できたから、きっと大丈夫だよ」


「よし!じゃあ決まりだな!行くぞ!」

 テリットはそう言うと、紙を取ってこの依頼を受けることを伝えにミレリアのところへ行った。


 それを受け取ったミレリアは驚いて、「単独で大丈夫ですか?」と聞いていたが、テリットは「トキオが用意した新兵器があるから大丈夫」と答えていた。



 ギルドを出ようと受付の前を通った時、トキオはミレリアから期待のこもった視線を投げかけられているのに気づいたが、気づかないふりをして外に出た。



 今日の討伐場所は少し遠かったので馬車で行くことになったが、それでも、30分ほどかかった。




 現地に着くと、トキオは拳銃に弾を込めた。



「で、どういう風にやる?」

 歩き出したところでテリットがトキオに聞いた。


「この拳銃の弾が頭に当たれば1発で仕留められるはずだから、みんなは動きを止めてくれればいいよ」

「ホントか!?」

「グリベラーだぞ?」

「そんなにスゴイの?」


 トキオの言葉に皆は大きく驚いた。


「まあ、見てて」

 トキオは、実際に使用したときの皆の驚く顔が楽しみで、少し愉快な気分になっていた。


 トキオの姿は、左腰に刀を差し、右腰には西部劇のガンマンのようにホルスターに入った拳銃を下げているという妙な格好だったが、トキオは逆に面白くて気に入ってしまった。




「いたぞ」


 森に入って5分ほど歩いたところでブロームが言った。


 見ると、標準的なサイズのグリベラーが50メートルほど先の林間を右から左にゆっくりと2足歩行で移動して行くところだった。


「よし、後ろから回り込もう」

 テリットの言葉で、皆は固まってグリベラーの後方に移動して行き、そこから、アウレラとブロームは左に、テリットは右に移動した。


 トキオは、拳銃を腰のホルスターから抜いて右手に持つと親指で撃鉄を起こして、そのまま真後ろからグリベラーに近寄って行った。



「へい!こっちだ!」

 グリベラーとの距離が20メートルほどになったところで、まず、テリットがグリベラーに向かって大声で言った。


「グオォォーゥ」

 グリベラーは、ひと声吠えるとテリットの方へ足を踏み出そうとしたが、今度は反対側からブロームが声をかけた。


「へい!こっちにもいるぞ!」



「グオゥ」

 グリベラーはブロームたちの方を見ると、また、ひと声吠えた。



 トキオは、グリベラーから15メートルほどの距離になったところで、立ち止まって両手で拳銃を構え頭部に狙いをつけた。


 その瞬間、殺気を感知したように、グリベラーがトキオの方に向き直った。



 ドゥン!


 その直後、トキオの拳銃の発射音が森の木々に反響して、かなり大きな音になって皆の耳に届いた。


「きゃっ!」

 今まで聞いたこともないような轟音に驚いたアウレラが悲鳴を上げたが、その直後、3人はグリベラーの左目から上が吹き飛んでいるのを見て驚愕した。


 グリベラーはゆっくりと前に倒れて行った。



「うそだろ!」

 そう言ってテリットはグリベラーに駆け寄った。

 ブロームとアウレラもあわててグリベラーのところに駆け寄った。


 トキオは、皆の驚いている様子が愉快だったので、わざと普通に歩いて行った。



「完全に頭の左上が破壊されて死んでるぞ」

 テリットは、しゃがみこんで確認すると、呆然とした声で言った。

 グリベラーの頭部からは、大量の血と脳みそが流れ出していた。


「顔の真ん中を狙ったんだけど左目にずれたね。やっぱり、もう少し調整が必要だ」

 トキオは、グリベラーのところまで来るとそう言った。


「なんて威力だ!信じられん!」

「しかも、あの距離からだろ」

「弾が全然見えなかったわ」


「音の速度を超えてるからね。人間の目じゃ見えないよ」

「ホントに!?」

「スゴすぎる!」

「火薬の応用でここまでできるのか!」



「これって、もっと作れないのか?」

「ああ、フーゴは売れると踏んで、すでにいくつかパーツを作ってるらしいから、少し待てば売り出されると思うよ」

「じゃあ、それを手に入れれば俺たちも同じことができるな!」

 テリットが興奮した様子で言った。


「うーん、そんなに簡単にはいかないかな。結構、反動があるから、かなり練習しないとまともに当てられないね」

「そうなのか。トキオはそれだけ練習してきたってことか?」

「そうだよ。刑事・・・自警団ではこれがメインの武器だったからね。4年間みっちり練習したよ」

「4年!?そんなにかかるのか」

「ああ、まあ、もう少し近い距離ならそこまで時間かけなくても、そこそこ当てられるようにはなると思うよ。テリットやブロームのように筋肉がある人なら特にね」


「あたしはダメなの?」

 アウレラが悲しそうな顔で聞いた。


「力が強くない人は、もう少し反動の小さな小口径の拳銃を使えばいいんだよ。破壊力は劣るけど、ゴブリンやオーク程度なら十分に有効な武器になると思うよ。そういうのもちょっと考えてみるよ」

「そう!良かった!」

 アウレラは嬉しそうな顔で言った。


「しかし、これがみんなに普及して使えるようになったら、俺はお役御免になっちまうな」

 ブロームがしょんぼりとして言った。


「いや、この拳銃って武器は、正確に当てられる距離が20メートル・・・ええっと、こっちの単位で言うと10マインぐらいだから、それ以上の距離になるとブロームの矢の方が正確だと思うよ」

「そうか!」

 ブロームは、一転、明るい顔になった。




 そこで、トキオの後方で物音がしたので皆がそっちを見ると、10メートルほど先にグリベラーが2体立っていた。


「しまった!話に夢中になって警戒してなかった!」

 テリットがあわてて叫びながら、腰の剣に手をかけた。



 バン!バン!


 しかし、その直後、トキオが連続して発砲し、グリベラーは2体とも頭の真ん中を破壊されて後ろ向きに倒れて行った。


 他の3人はあっ気にとられてグリベラーを見た後、ゆっくりとトキオを見た。


 トキオは、皆に向かって無言でにっこりとほほ笑んだ。


「すげー!」

「無敵だ!」

「びっくり!」

 3人は、少しの間のあと驚きの声を上げた。


「でも、その大きな音、心臓に悪いよ」

「確かに、突然聞くとドキッとするな」

「まったくだ」


「ごめんごめん。でも、討伐の時には声をかけてる暇なんかない場合が多いと思うから、これはもう慣れてもらうしかないね」

「うー、まあ確かにそうか」




 それから30分ほど森の中を探索し、もう1体トキオの拳銃でグリベラーを仕留めてから引き上げた。



「いやー、1日で一人辺り金貨1枚かー。先週のもあるし、なんか急に金持ちになっちまったなー。特に今日はトキオに大感謝だ」

「ほんとねー」

「ありがたい、ありがたい」


 帰りの馬車の中で皆はそう言って深々とトキオにお辞儀をした。


「ちょ、ちょっとやめてよ」

 トキオは照れくさくて俯いた。


 その様子を見て、他の3人は笑った。


 本当に仲の良いパーティーだった。

今回登場した拳銃、コルト パイソン ベースでオリジナルデザインに仕上げてあります。

44マグナム仕様になっていたりと、少し仕様もいじっています。

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