表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界マニアのおしかけ召喚者  作者: 伊部九郎
第1章 アティム編
36/550

第36話 空中浮遊

「上級魔法使いってどんな攻撃をするんだろう?」

 トキオとアウレラは、上級魔法使いの攻撃に興味が沸いたので、そんな会話をしながら彼らの戦いぶりに注目していた。



 まず、一人が手から水流を噴出させた。それは、トキオのものよりはるかに太い水流だった。


「グワァァァァァ」


 水流を胸のあたりに浴びたヒドラは、苦しそうにもがいた。


 しかし、それ以上攻撃せずに後ろに下がった。



「あれ?どうしたのかな?」

「まずは水魔法がどの程度効くか試したんじゃないか?」

「ああ、なるほどね」


 次に、他の二人が出て来て一つの首に向かって何かの魔法を放ったようだった。

 すると、その首は苦しそうにうめいて動きを止めた。


「なんだあの魔法!?」

「あれは拘束魔法ね。あれで相手の動きを止めるのよ。一人じゃ難しいと判断したから、二人で同時にやったんじゃない?」

「へえ~」



 上級魔法使い2人が拘束魔法で動きを止めていると、冒険者っぽい恰好をした、2人の男と一人の女が走り出てきた。


「ん?冒険者っぽいけど見たことない人たちだね」

「王国軍直属の冒険者よ。普段は出城の中にいてめったに出てこないからね」

「ふーん。ということは、強いの?」

「うん、実力はあたしたちより数段上よ」

「へえ~・・・って、飛んでるよ!」

 その冒険者たちは、ヒドラの頭目掛けて、空中を階段を上るように駆けあがって行った。


「あれは、上級魔法使いが足元に次々と結界魔法を張って、その上を移動してるんだよ」

「そんなことできるんだー。すごいなー」



(・・・って、あれ?俺も光属性の防御魔法を使えばできるんじゃないか?)


 トキオは後ろを向くと、右手を前に出して、膝の高さのやや前方に水平に防御魔法を展開した。

 それから、その上に飛び乗ってみた。


(なんだ、できるじゃーん)


 アウレラは、ヒドラの方を見ていて気付いていない。


 続けて、同じように次々と防御魔法を展開してどんどん登ってみた。

(おおー!これはいいなあ~)


「それで、トキオ・・・・あれ?いない。どこ行ったの?」

 アウレラが横を見ると、今までそこにいたトキオの姿がなかったので困惑した。


「こっち、こっちー」

 上から声がしたので見上げると、トキオが空中に立っていた。


「ええっ!浮いてる!」


「彼らと同じことやったたけだよ」

 トキオは、地面まで下りて来ながらそう言った。


「ああ、そういうこと・・・って、トキオ、そんなこともできるの!?」

「光属性の防御魔法を踏み台にすれば同じことができるかも、と、思ってやってみたらできちゃった」

 と、言って、トキオは軽く笑った。


「そんな光魔法もあったのね」

「あ、そうか。みんなの前では使ったことなかったね。他にも反射魔法ってのがあるんだよ」

「反射魔法?魔法で攻撃されたときにそれを反射する魔法ってこと?」

「説明を見る限りじゃ、魔法だけじゃなくて物理攻撃も反射するみたい。攻撃されないと使えないから、まともに使ったことはないけどね」

「えー!?それ、かなり強力な魔法なんじゃないの?」

「うーん、どうだろう?よくわかんない」

「そうなの?じゃあ、ちょっと試してみようよ」


 すぐそばでは、王国軍の上級魔法使いや冒険者がヒドラと戦っているというのに、アウレラとトキオはのんきにそんなことを始めた。


「試すってどうやるの?」

「さすがに、剣で切ってそれが返ってくるとヤバそうだから、この落ちてる枝で殴ってみるわ」

 アウレラは、足元に落ちていた、直径5センチ、長さ50センチぐらいの枝を拾った。


「じゃあ、反射魔法をやってみて」

「大丈夫かなあ」

 そう言いながらも、トキオは体の前に反射魔法を展開した。


「やっ!」

 アウレラは、手に持った枝でトキオの腰のあたりを斜め上から殴りつけた。


「ガイン!」というはじかれる音がすると同時に「ボグッ!」という鈍い音がした。


「痛っ!」

 アウレラは脇腹を押さえてうずくまった。


「大丈夫!?」

 トキオは、あわててアウレラに駆け寄った。


「いった~い!ホントに攻撃が反射されて、あたしが殴ろうとしたのと同じ場所に殴られたような衝撃があったわ」

「うわ~。そうなるのかー」

「もっと軽く殴ればよかった」

「ごめん、ごめん」

「トキオが謝ることないわよ。でも、少しはわかったんじゃない?」

「そうだね」


「じゃあ次は、さっきやってた空中に登るやつ。あたしも一緒に登ってみたいんだけど」

「ああ、いいよ」


 トキオはそう言うと、アウレラを立たせてから、先ほどと同じように膝の高さに水平に防御魔法を展開した。


「じゃあ、掴まって」

 トキオがそう言うと、アウレラは、肩を組むようにトキオの首の後ろに腕を回した。

 トキオは腕を掴ませるつもりで言ったのでドキッとした。


「か、掛け声をかけるから、それで一緒に登ろう」

「わかった」


「せーの・・・はいっ!」

 その掛け声で、二人は同時に防御魔法の上に飛び上がった。


「わー、ホントに浮いてるみたい!」

 アウレラはとても嬉しそうだった。


「じゃあ、次」

 トキオは、さらに少し上に防御魔法を展開した。


「せーの・・・はいっ!」


「あっと!」

 また同時に飛び上がったが、アウレラは少しよろけてしまったのでトキオに強く抱きついた。

 そのため、アウレラの胸ががトキオの体に強く押し付けられた。


(う、うわー!・・・・・ラッキー!)


 トキオは思いっきりにやけてしまったが、アウレラは足元を見ていたので気づかなかった。


「じゃあ、次。せーの、はいっ!」


 今度もアウレラが腕に力を入れたので、また、胸が強く押し付けられた。


(うひょー!サイコー!)



 それを8回繰り返して、二人は結構な高さに上った。


「うわー、いい眺め~。これはステキねー・・・あれ?トキオ顔が真っ赤よ。魔法を連続して使ったから?」

「え?・・・あああ、きっとそうだね」


 トキオはあわててごまかした。

 上るのをやめたので、アウレラはトキオから離れた。

 トキオは少し残念な気がした。



 その時、その二人の様子にテリットが気づいた。

「おい!トキオとアウレラが空中に浮いてるぞ!」

「なんだって!」

 ブロームとマルケルは驚きの声を上げた。

「ホントだ!」


「あ、きっと、トキオが上級魔法使いと同じことをやったんだな。魔法であそこから攻撃するつもりなんだろう」

「たぶんな。しかしあいつ、あんなことまでできるのか」

「いや、俺はもうトキオに関しては何をしても驚かないぞ!」

 テリットはそう言うと、なぜか少し不機嫌な表情になった。




「じゃあ、降りるね」


 アウレラはそう言うと、一人でぴょんぴょん跳ねながら降りて行った。


 トキオは、その後から防御魔法を解除しつつ降りて行った。


「これ楽しい!今度は一人でも登れそう!」

 トキオが地面に降り立つと同時に、アウレラはそう言うと、最初の防御魔法の上に飛び乗り、そのまま左足でそれを蹴って次の防御魔法に登ろうとした。


「あ!だめ!」


 トキオが叫んだのも間に合わず、アウレラの右足は空を切って、前に倒れながら地面に落下した。


「わっ!」


 持ち前の反射神経で地面に落ちる寸前に体をひねって左側を下にして落ちたが、それでも肩を強く打ってうめいた。


「ううう・・・」

「大丈夫!?」

 トキオは慌てて駆け寄った。


「解除してるならそう言ってよ!」

「ごめん、ごめん。まさか、また登ろうとするとは思わなかったから」

「もー!」




 その様子を、テリットたちはあきれ顔で見ていた。


「攻撃しないて降りて来たと思ったら、アウレラが地面にダイブしたぞ。まったく、こんな時になに遊んでんだあいつら」

「やれやれ」

「困ったもんだ」



「でも、これ楽しい!また、やってくれる?」

「喜んで!」

 アウレラの言葉に、トキオは反射的にそう答えていた。


「あ゛・・・」


 アウレラは、一瞬、怪訝な顔をしたがすぐに嬉しそうな顔になった。



「グギャア―!」


 そこで、ヒドラの大きな鳴き声がしたのでトキオたちがそっちを見ると、ヒドラの頭の一つの右目に槍が刺さっていた。


「おお!」

 冒険者の一人が持っていた槍が無くなっていたので、どうやら、それを刺したようだった。


 その直後、他の一人が大きくジャンプすると、剣をそのヒドラの頭の後ろに叩きつけ、見事に切断した。


「やった!」

 アウレラが叫んだ。


 トキオは、そのジャンプした冒険者が落下せずに空中に着地したので、


(冒険者と上級魔法使い、見事な連携だなー)


 と、別のところに感心していた。



(そうだ、俺も遊んでないで参加しないと。今、ちょっと使っちゃったし、念のため、もう一度MPを見とくか)


「ステータス!」


 その時トキオは、実際は光魔法のSMPの数字を見ていたが、目の前のヒドラに注意を奪われてMPと誤認していた。しかし、その数字を見て愕然とした。


(残り4!?今の空中浮遊で使い切っちゃったってことか?もう、閃光魔法は1回しか使えないじゃん!しまったー!)


 さすがにこれには焦った。


(ここは使いどころを見極めて、あらかじめ気を溜めたうえでどうしようもなくなった時に強力なのを出すようにしないとな)


 トキオは自分にそう言い聞かせて、ドキドキしながら戦況を見つめていた。



 アウレラが話しかけようとトキオを見ると、顔が青白くなっていたので驚いた。

「トキオ、どうしたの?体調でも悪いの?」


「え?・・・いや、大丈夫だよ。ちょっと緊迫して来たから、力入っちゃったかな。ほら、スゴい攻撃だし」


 トキオは、そう言ってヒドラの方を指さしながら見たが、その瞬間、右の首を集中攻撃していた冒険者の背後から、別の首が口を大きく開けて迫って来るのが目に入った。


「危ない!」


 トキオは、反射的に閃光魔法を放っていた。


 閃光魔法は、見事にそのヒドラの顔に命中し、ヒドラは怯んで動きが止まった。


 爆発音で振り返ってヒドラの動きが止まったのを見た冒険者は、大きくジャンプして眉間に剣を突き立てると、剣から手を離し鼻の上を蹴って後方に宙返りしながらその首から離れた。


 直後、そのヒドラの首は力をなくし、下に垂れ下がった。



(しまったー!閃光魔法使っちゃったー!まだ首が一つ残ってるのにー!しかも、威力低かったー!)


 トキオはさらに焦った。


(ど、どうする?MPは0になったはずだから水魔法も使えないぞ)


「トキオ、ホントに大丈夫?」

 さらに顔面蒼白になったトキオを見て、アウレラが声をかけた。


「あ、だめかも・・・」

 トキオはそう言って、その場にへたりこんだ。


(もうここは、体調が悪くなって魔法が使えなくなったフリをするしかない!)

 そう考えて、その場で体育座りになった。


 幸か不幸か、焦りに焦っていたので体が震えて来た。


「ちょっと医療師呼んでくるからそこに座ってて!」

 アウレラは、そう言うとテントの方に駆けて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ