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Restoration  作者: ババア天国
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第一章 真相

「もう一度聞くが、君はどうして10年前の村に起きた大規模な火災について調べているのかな?」


「...」


「知っていると思うが、あの火災は村の伝統のガラス工房の発火による事故だ。」


「...」


「この事件はとうの昔に解決してるんだよ。」


「...」


直立不動で血まみれの彼はただずっと黙っていた、老いた男性は椅子から立ち上がり彼にゆっくり歩みよった。


ガンッ!


待ってましたと言わんばかりに老いた男のこめかみに握りこぶしを振り切った。


「なにしてんだ?コラァ!」


後ろに立っていた騎士が金属製の靴で彼を力強く蹴飛ばした。

更に後ろに座っていた傍聴席がざわつき始めた。

「静粛に!裁判の最中に国王を殴るとは何事だ!容疑者を緊急逮捕だ!」

彼は後ろにいた5~6人程の騎士に取り押さえられ、裁判は変な形で幕を閉じた。


~2ヶ月前 3月1日 マルクス王国ヘクティア城内~


ブレナーク村 火災事件

10年前 7月29日にブレナーク村で発生した火災事件。


生存者 20060人


消息不明者 2307人


死者 5003人


負傷者 10500人


重体 5070人


村の右端の土地に位置するガラス工房内でのモーガス店長による点火操作を繰り返しガスが溜まった事による突然の発火事故。

 村のほとんどが木造建築という事もあり、火は瞬く間に二キロに渡る大規模な火災となった。

火を完全に消火するのに3日程の時間がかかった、というのも、村には川や海が近くに無いため、水は月に一度街から大漁に汲んで村の貯水槽に溜め込むのだ。

 タイミングが悪すぎたのか村の貯水槽の中身は燃え広がった火災をけす程の水は無かったのだ。


 ガラス工房 アントム


夫婦で営む小さな雑貨店で娘と共に店で暮らしている、

従業員は夫婦会わせて5名


モーガス アントム 焼死

        ├娘 リリアン アントム 消息不明

パトリアン アントム 生存


フィンタム シミオドア 焼死


ジェイミー イノセント 生存


リンジェル セバスター 生存


夫、又は店長であるモーガスは従業員に差別はしておらず、仲間意識の高い人物でありました。

 今回の事故では疲労のため、いつもより早めに店を閉めた、妻パトリアンの証言によると「釜の調子が悪い」という会話を交わしたという、点火操作を繰り返しガスが溜まった事による突然の発火事故が元となり焼死。

 仕事内容はガラス細工制作員。


 妻のパトリアンは、販売元であるガラス細工の品物に欠損があるという連絡を受けてたため、購入者の元に訪ねた事により事故を免れた。

今回の事故の責任者として罪を問われたため、3億5千万の損害賠償と、4年に渡る懲役を余儀なくされた。

 仕事内容はガラス細工販売員。


 娘のリリアン アントムは物静かな子で、小学校内でいじめがあったという、それを見かねた父モーガスは学校を訴え、反対位置にある別の学校へ転校させた。

 現在消息不明。


フィンタムは少々荒くれ者で、周囲からは毛嫌いされていたため、恨みを抱く者も多かったという。

 よく酒屋に入り浸っては騒ぎを起こしていた、今回の事故は実家の自室で家族もろとも焼死死体が発見された、しかし問題の火災事故とは大分距離が離れているため、事故をも催した殺害事件だと思います、事件当日は仕事に没頭していました。

 仕事内容はガラス細工制作員。


ジェイミーは親のつてで ガラス工房 アントム に入社、アントム家とイノセント家は親戚関係であるため、快く引き受けたらしい。 

 事故当日、彼は無断で欠勤していたため、遠く離れた実家で休んでおり、事故を免れた。

 事情聴取を3日間行い帰宅。

仕事内容はガラス細工制作員。


リンジェルは学校の女子高生で、アルバイトとして ガラス工房アントム に入社。

 とても活発で思いやりのある子で沢山の友達に囲まれていた、店に来た客の評価もかなり良かったらしいです、事故当日、彼女は店内でパトリアンと共に仕事に没頭していました。

 事情聴取を2日間行い帰宅。

仕事内容はガラス細工販売員。


「という事が解りました。」


金髪で鎧を着た青年はそう言い、事件に関するレポートを老いた男性に手渡した。

 彼の名はルーサム エグバード、マルクス王国ブレナーク村出身ヘルヤール騎士団所属、第四騎士団団長を任されている。


「そうか、そんな事実が隠されていたとはな、やはり君に以来を任せて良かったよ。」


老いた男性の名はヴォルダム ダンディフ マルクス王国国王4代目である。

 国民から多大なる指示を得て30年前に国王に就任、目をつむりたくなるような事件は起きているが、治安は先代の頃よりかは大分ましになった方である。


「いえ、そんな、でもこの事件の調査をどうして私に以来したのですか?」


「ん?なにか不満かね?」


「いや、そうでは無いのですが、私なんかよりよっぽど優秀な団長が他に居るじゃないですか。

第二騎士団団長のサマンサ アータイルや第一騎士団団長のカーデン サリバン。

他の団長に比べたらまだ日も浅いですし...どうしてですか?」


弱気な彼は自分に自信がありませんでした、団長になってからというものの急な仕事に付いていけず、何度も挫折を繰り返していました、そんな自分にこんな大きな仕事を頼んだ理由がただ知りたかったのです。


「...強いて言えば2つある。」


「まず1つは君があの村の出身、更に事故の被害者だからだ。

君はいま21才10年前は11才、まだ小学生だった頃だ、そしてあそこの村に小学校は2つしかないんだ。

 分かるか?アントム家の一人娘、リリアンも11才、そして2つの学校に登校していたこと。

 君があの2つの学校の内の1つにかならず通っていたならば、少なからず、多少の面識はあったはずだ。」


「そうですか...ですが国王、私が村の学校ではなく街の学校を村から登下校していた、という考えも視野に入れませんでしたか?

確かに村に小学校は2つあります。

でも街にも小学校は2つあり、中学、高校も2つずつあります。

村に高校は無いため、ガラス工房にアルバイトとして入社していた リンジェル も村から街へ高校を登下校していたはずです。」


「そうか、そういう考えもあるな。

だけど村から街へ行くには通行書が必要だ、通行書を手に入れるには約2万円はかかる、そんな大金はたいてまで親は遠く離れた小学校通わすと思うか?

それにリンジェルの通う高校は10時登校、基本8時登校の小学校を村から街の奥側へ行くに約2時間はかかる。

門が開くのも大体7時からだ、珍しく早起きしても絶対間に合わないんだよ。」


「なるほど...確かにそうですね。」


「あと1つはまあ、老いぼれの勘ってやつかな、君には他の者には無い信念があるんだよ。」


「信念?」


「あぁ、信念というのは何事にも強く信じる心の事だよ。

団長という職業はなりたくてなるものか?

私は違うと思う、幾度となく訓練や試練を繰り返し、日々の積み重ねで気付いたらなってるものだ、そんな一握りの職業、自分の生きざまをバカ正直に信じて生きる者にしか出来ないもんだ。」


「私がですか?」


「あぁ、70年しか生きてないけどな、君は周りの奴とは遥かに違う、なにがそうさせたのかは知らないが君が隊に入隊して一年程で四番隊隊長、半年で副団長、翌年には第四騎士団団長に登り積めた。

だが下の連中は何も言わなかった、何故か解るか?実力に差がありすぎるからだ。

人並み外れた反射神経、動体視力、筋力、着痩せしているがその隠れたガタイが物語ってるんだよ。」


「正直村からの騎士団入隊は結構珍しいんだ、うちの騎士団は街からの出身で、剣術をガキんちょの頃から多額の月謝払って剣術師に教わるボンボンが多いもんだ。

そうにも関わらず、君は入隊試験に1発合格、更にたったの3年で君は団長という地位も手に入れた...並大抵の人じゃまず無理だ。

...そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?」


「...何をですか?」


「君のその剣術、誰に教わった?」


「...」


彼は目線を下に向けた。


「...言え無いと?」



「...」


「まぁいい、それよりこれからどうするんだ?

大体の事はもう調べ尽くしたはずだ。」


彼は違う話題が振ってくれて少し安堵の表情をみせた。


「はい、後は取り敢えず名前が上がっていた人物本人や縁のある人物に直接会って話たいと思います。」


「そうか、後少しの辛抱だな!今日は報告してくれて助かった、また後日頼むよ。」


「はい、失礼しました。」


そう答え、彼は国王の部屋を後にした。

 国王はルーサムから手渡された三日前に頼んだ事件のレポートを手に取り、フッと軽く息を吹き。


「食えないやつめ。」


と呟いた。

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