第37話:なぜじゃんけん大会?
「はい、今日は皆さんに説明することがあるので集まってもらいました」
学年主任の先生がそう言うと大きなスクリーンが現れた。
今私たちがいるのは第二体育館。第一体育館とは違って少し小さい。学年集会とかでよく多用される。
「ええ、最近アンケートを取ったと思います。『今楽しく過ごせてますか』と。その中の三分の一の人が『楽しめてない』と回答しています。つまり……わかりますね? 遊びます!」
その言葉とともに、体育館全体に大きな声が響いた。男子の『うおぉぉ!』とい女子の『やったぁ!』という声が聞こえてくる。みんな喜んでいるようだ。
「ということで、実力差がない『じゃんけん』で運ゲーをしてもらいます! 勝っても負けても文句を言わないこと! あ、これはお試しなので別の遊びも考えてます」
と、いうことで急遽じゃんけん大会の開催が宣言された。そして他の遊びもあると。
「さすがに時間が足りないので五限目にしようと思います。でも説明はします」
なんか矛盾してるようでしてない。先生の言い方が悪いのだろう。
「じゃんけんのルールは――」
普通に説明するとこう。
手を広げる、この手を『パー』。手を握ると『グー』。握った状態から人差し指と中指だけを広げると『チョキ』というらしい。
『パー』は『グー』に強く、『グー』は『チョキ』に強く、『チョキ』は『パー』に強い。見事な三角関係になっている。
じゃんけんの勝ち方は……ない。相手がなにを出すかわからない以上、自分もなにを出せばいいかわからない。つまり心理戦、別名運ゲー? と先生が言っていた。運任せってこと?
キーンコーンカーンコーン
「はい、時間になりましたね。では五限目楽しみにしています。ちなみにトーナメント制です」
とんでもない爆弾発言が投下されたがそんなこと気にする様子もなく昼休みが開始された。
昼休みの食堂。
「じゃんけんって結局なんなの? よくわかんないよね」
「そうね……実力は関係ないらしいから、平等と言われれば平等ね」
「実力差関係ないとかもう楽しいに決まってるやん! 弱い子でも強い人に勝てるってことやろ?」
「まあそういうことになりますね」
最高の遊びだと私自身も思う。これは全員に共通すること。なんとなくという感覚だったが間違ってはいないだろう。
「運がどこまで味方してくれるか、楽しみね」
「そうだね。姉さんも頑張って」
「ええ、もちろんよ」
「(シャルル、あれがシスコンってやつだよ)」
「……聞こえてるぞ、リリア」
その鋭い言葉にリリアはビクッと肩を震わせた。しかしすぐいつもの元気な姿に戻る。
「ごめんね! 事実言っちゃった!」
「……反省してくれればいい」
「せんと思うけどな……」
この予想は合っている。てかそうじゃないとリリアじゃない。
「はい、今からみんなお楽しみのじゃんけん大会を開催します!」
体育館が熱狂に包まれた。もうすぐ秋になるというのにすごく暑苦しい。私は結界を張って自分だけ涼しくした。
「ルールは先程説明した通り。そして今からみなさんは指定された対戦相手とじゃんけんを行い勝者を決めてください。負けた人も敗者復活戦を勝ち抜けば勝者側の土俵に立つことができます。では……開始!」
合図とともにみんなが動き出す。もちろん私も。
「えっと相手は……いた」
私は少し高身長な黒髪メガネの男子に声をかけた。おどおどしていてやりづらいが頑張る。
「さいしょはグー、じゃんけんポン!」
「ポン!」
私が出したのはパー。彼はチョキ……負けだ。
「ま、負けた……」
「や、やった! 始めてアクアさんに勝った!」
「うぅ悔しい! もっかいやりたい!」
「さすがにそれはルール違反だよ。敗者復活戦頑張ってね」
「はぁい……」
これでも聞き分けのいいタイプなので素直に承諾した。でもロマンがある。負けたけど敗者復活戦を勝ち抜き、あわよくば優勝することだってあるのだから。
「……絶対勝つ」
そこから私は頑張った。でも運は味方してくれない。一回も勝つことなく大会を終える。今からは観戦者となってみんなを応援する。
いつの間にかステージでは準決勝が行われていた。決勝は三人でするらしい。
一組 マリー対誰かさん
二組 ルイ対サイン
三組 リリア対マロン
そんな形式になっていた。私以外のいつメンが全員ここまで駒を進めている。運良くない!?
なんだか長くなりそうなので結果だけを伝える。
一組 マリーの勝ち
二組 ルイの勝ち
三組 マロンの勝ち
案外予想ができないいい勝負だったと思う。まあ簡単に言えば運が良かっただけなんだけど。それでもすごい。
「さあ決勝が始まろうとしています! 誰が優勝するのか……ブルーコーナー、マリー・フローズン! 非の打ち所もない完璧人!」
先生の突然の実況に焦ったがすぐ拍手をした。
「レッドコーナー、ルイ・フローズン! 姉弟対決となりました!」
そしてこちらも拍手。
「イエローコーナー、マロン・ダークネス! この姉弟を出し抜いて優勝するのか!」
――なんか熱いな……そこまでする?
三人が前に出ると、先生の指示で騒がしかった体育館が静かになる。
「……では……」
「「「「さいしょはグー、じゃんけんポン!」」」」
全員グーを出した。つまりあいこ。
「「「「あいこでしょ!」」」」
マリー、パー。ルイ、チョキ、マロン、グー。またしてもあいこだ。
「……これで最後にするわよ」
「わかったよ、姉さん」
「勝ちます!」
「最終決戦、果たして結果は!」
「「「さいしょはグー、じゃんポン!」」」
マリー、パー。ルイ、パー。マロン、チョキ。ということは……
「やった! 私の勝ちです!」
白熱した? 決勝はマロンの勝利で終わった。
一 学年で話
二 ルール説明と実施時限
三 みんなとお話
四 開始
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