第29話:海旅行 二日目
「ん……んぅ、朝……」
起床すると、キッチンの方向からいい匂いがしてきた。だけど体が動かない。なんで?
「あ、シャルル起きたんや。ちょっと待ってな」
サインは私に駆け寄り、耳元で囁く。
「起きて。そんで朝ごはん食べよ」
ビリッと体中に雷が走ったような気がした。そして体が勝手に……
「あ、あれ……? なんで……」
「ほら早く行くよ」
「っ! は、はい!」
なぜか反論できない。したら殺される気がする……
サインに連れて行かれるまま部屋を出る。そしてリビングに到着した。
「あ、シャルル! ちょうどできたところ!」
「今日はわたしが作るわ。味は保証する」
「う、うん……」
「あれ? なんか変だよ?」
「そんなことないって! いつものシャルルや!」
サインの言葉を信用したのか、『そう』と言って深掘りしてこなかった。気づいてよ!
「……どう?」
「美味しいよな? シャルル」
「う、うん。めちゃくちゃ美味しいよ……」
実際美味しかったのだが、言わされている感がすごい。自分で言いたいのに言えない。
「シャルル、あとであたいの部屋来てや。いい?」
「は、はい……」
「よし、ちゃんと来たね。てか来ないとおかしいけど」
私は言われた通りサインの部屋に来ていた。これから何するかなんてまだわからない。
「えっと……じゃあそのままで」
サインは私に近づく。鼻と鼻がくっつくくらい近くにいた。なにをするんだか。
「……うん、ちゃんとできてんな」
「な、なにを確認してるの……?」
「実はな……昨日の夜、シャルルに催眠術かけたねん」
「……え?」
私はもう大パニック。全部サインに催眠術をかけられたせいでこうなっていたのだ。
でも、一つ気になることがある。
「……なんで私に催眠術を? 他の人でもよかったじゃん」
すっごく単純なことだが、すっごく重要。別に誰でもよかったのならわざわざ私を選ぶ必要なんてない。だから聞いておく。
「それはな……シャルル、天然やん? やけんこういうの効くかな〜って思ってたらドンピシャ。見事にかかってくれた!」
——うん、どゆこと?
確かに私は天然? なのかもしれない。てか天然の意味をよく理解してないのでわかんないけど、とにかくかかりやすいらしい。サインによれば。
「あとな、昨日一緒に風呂入ったやん? それでさ——」
「それ以上は言わないで! 嫌なこと想像しちゃう!」
「……言って?」
「うっ……」
命令されると言いたくなる。でも必死に我慢。言ったら負けだ!
「うんうん、ちゃんと効いてる。じゃあもっと……」
サインは何度目かわからないが、また私の耳元で囁き……
「絶対服従やで。なんも考えんでいい、あたいの命令したことに従っとけばいい。な?」
「あっ……すぅ……」
✧
数分後、完全に催眠術にかかったシャルルが起きた。無表情で、目のハイライトは消えていた。よし!
「今日一日、シャルルはあたいのものやから。いい?」
「……」
こくりと頷くだけで、なにも喋らない。まあ同然だよね。
「行こっか」
部屋を出て、再びリビングに行く。
そのには暇そうにしている四人の姿があった。ちょうどいい!
「四人とも! ちょっと遊ぼ!」
「? いいけど……」
「なにで遊ぶの?」
「シャルル!」
「「「「——え?」」」」
なぜかみんな固まる。そんなに不思議なこと言ったかな。シャルルで遊ぶだけなのに。
「じゃあやり方説明するね。命令したいことを決めてあたいに教えて! そしたらあたいがシャルルに命令するから」
非常にシンプルな説明だったけど、理解できたんかな? 多分理解できてないから固まったままなんやろ。
「と、とりあえずやってみよ! ウチできるかわかんないけど!」
「そ、そうね……楽しまなきゃ……」
「よし、じゃあ最初のお題はなににする?」
するとリリアをはじめとして意見が出始めた。
「はい! 甘いこと言わせる!」
「ハグする……とかですかね」
「……ペタン座り」
「なんでもいい。俺は決めない」
「じゃあやってこ!」
あたいはシャルルに向き合って、耳元で囁く。
「なんか甘いこと言って?」
「……うん」
シャルルは大きく息を吸うと……
「私のこと……愛してくれる?」
両手を伸ばしてこちらを見てくる。こんなの……一択しかない。
「「「か、可愛い!」」」
あたいとリリア、マロンが同じ反応をした。だって可愛すぎるんだもん! 今可愛さで勝てる人なんてこの世にいないよ! 絶対!
「次……ハグ。みんなに」
「俺は遠慮して——」
「だめに決まってるじゃん! ウチらがするのに不公平だよ!」
「……ルイ、やるわよ。拒否権はないと思って」
「わ、わかったよ……姉さんが言うなら……」
——うん、マリーって偉大やわ。ルイがめっちゃ素直になるんやもん
シャルルは全員にハグをした。なんかこう……包容力というものがえげつない。全体的にもっちりしてるのが影響してるのかな。
てか胸。効果音でもついてそうなくらい柔らかかった。飛ぶぞ。他もだけどさ。
「次、ペタン座りね」
シャルルはそのまま座る。男は柔軟性がなさすぎてできる人が少ないという。あ、一応できる人いるからね? 女の子が柔軟性があってやりやすいってだけ。
「えっ——」
「サイン! それ以上はだめ! 不謹慎だよ!」
「はっ……ご、ごめん……でもこれは……」
ペタン座りでできた太ももの隙間に手を置いている。腰は曲げず逆に伸ばしてるみたい。うん、やめよ。
「てかあっついなぁ……脱ご」
「……」
「ちょっとちょっと! なに脱いでるのシャルル! サイン命令してないじゃん!」
シャルルはそんなこと気にする様子もなく下着のところまで脱ぎ始めた。流石にまずい!
「しゃ、シャルル! 脱ぐのをやめて!」
「……はい」
——ふぅ、これでよし。脱いだ分は着させよ
「結構遊んだね……シャルルは疲れすら表さないけど」
「うん! 結構楽しかった!」
「サイン、もう戻して。流石にこれ以上はシャルルが怒るわ」
「あ、明日は海に行きますもんね。解放させてあげてください」
「はーい」
あたいは解除するためにシャルルに駆け寄った。そして……
「もういいよ。ありがとね、シャルル」
シャルルは目をつぶり、脱力したように横に寝転んだ。完全に寝ているようだった。
「続きが気になる……!」
「もっとないの!?」
という方は下の☆☆☆☆☆から、応援をお願いします。
正直に書いてもらって大丈夫です。よければ感想も。
ブックマークいただけたら泣いて喜びます。本当にお願いします!
天然で鈍感な愛香君と愛香君が好きすぎるアリスちゃんのシリーズも見てもらえると嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。




