第9話:魔法ないと辛い……敵襲!?
体育祭の開催が発表されてから、授業項目に「体育祭練習」が追加された。
「はい今バトン詰まっただろ。マリー、もう少し遅く出でてやれ」
「はぁはぁはぁ……走るってこんなに辛いんだね……いつもは身体強化してたからわかんなかったや……」
「そうね。普段は汗をかいてない皆も、今回は汗だくよ。異世界はこんなことをしてるのね」
「不便すぎでしょぉ……」
シャルルとマリーのクラスはリレーの練習をしていた。マリーが速いのでシャルルの速さに合わせるのが難しいようだ。
「それにしても体あっつ……一体水魔法で冷やそ」
「いい案ね。体調が悪くなったら本末転倒、私も少し休憩するわ」
シャルルは冷たい水、マリーは氷を生成して涼しんだ。他のクラスメイトもそれを見て真似するように涼しむ。
――異世界は不便だなぁ……魔法さえあればなんでもできるのに
――これは魔術科にとって地獄と同じね。剣術科とかなら身体能力で戦うから楽そうだけど
グラウンドの空気は走った際に巻き上げた砂ですこし汚れていた。
◇
「はぁはぁ……跳ぶだけだよな?大縄って……」
「そうだよ!なにぐったりしてるの?まだ始まったばっかりだよ?ルイ」
「リリアの体力がおかしいだけだ……」
リリアとルイのクラスは大縄の練習をしていた。
「ふふん、すごいでしょぉ☆」
リリアは手を腰に当てて胸を張った。自慢しているようだったが、そのせいで胸が強調されていることは言わないでおこう。
「全員で跳ぶから余計疲れるんだよ……一人がタイミングズレたら終わりじゃねぇか」
「だから「いち!に!」とか言うんだよ!タイミングわかるでしょ?」
「それはそうだけど……」
――こいつ頭大丈夫なのか?ただの脳筋じゃ……
――そんなに難しいこと?まぁ楽しいしできなかったら教えればいっか!
◇
「ん!ちょっと待っ――きゃぁ!!」
マロンのクラスは綱引きの練習をしていた。女子グループで綱引きをしていて、グループ一とグループ二で分かれていたがグループ二にいたマロンが弱すぎて負けてしまった。
「大丈夫大丈夫!私たちがサポートするから!ね!みんな!」
「そうそう!どうせ一緒に戦うんだから安心して!昨日の敵は今日の友って言うでしょ!」
「うぅ……みんなぁ……うん!私頑張る!」
「よし!練習再開!」
リーダーと思わしき少女の言葉でみんなが一つになる。マロンもその言葉に感動し、期待に応えようと頑張った。
その時学園全体に緊急放送が流れる。
『全校生徒に告ぐ!今すぐ校内に入ってください!』
「えぇ!?なになに!?」
「と、とりあえず急ぎましょう…!」
グラウンドなどの学園の外にいた生徒たちが一斉に動き、それぞれの教室に戻った。
『聞こえていますか?今回の敵襲は魔族、魔術科の首席は校門に来てください。迎え討ちます』
「えぇ!?わ、私!?」
シャルルはびっくりした。なぜなら自分が指名されるとは思っていなかったからだ。
「なんで首席なの。私だって――」
『今回の魔族はかなりの強さです。首席はともかく、生徒に危害を加えたくないのです』
「私も生徒なんですけどぉ!?」
「はぁ……そういうことらしいわ。行ってきなさい、ただし死んだら許さないから」
「うぅ……仕方ないなぁ……」
教室を飛び出して校門に到着した。そこには教師たちと魔術科の学園長がいた。
「おぉシャルル君、来てくれてありがたい。そろそろ敵が現れるから構えててくれ」
「わかりました!」
数分後、魔族と思われる影が五体現れた。
「貴様らか、学園の者たちは」
「その通りだ。ここに来たのなら、なにか要件があるのだろう」
「――気安く言うつもりなど……」
魔族はシャルルを見て言葉を失った。そして目が覚めたように話し始める。
「魔王様の命令でこの学園を潰すことになった。邪魔をするなら武力行使といこう」
「望むところだ」
魔族の一人が超スピードで教師たちを倒していく。その姿を見た学園は強さを確認して唱える。
「闇よ消え去れ、終焉ノ光!」
その詠唱を聞いた魔族の三体は逃げようとしたが、放たれた光に包まれ消滅――
まるで闇を消し去るような眩い魔法だった。
「こいつ、強い!」
「まだまだじゃのぉ」
「「光よ散れ、我に力を!」」
二体の魔族から放たれた魔法に学園が咄嗟に防御魔法を展開する。学園長の魔法とは対になるような魔法で、黒く、全てを包み込むような魔法だった。
「強い……このままじゃ……」
「水ノ泡!」
魔法はシャルルによって相殺された。
「「ぎゃぁぁ!!!」」
魔族は泡の残りを食らい、消滅――
「助かった、感謝するよシャルル君」
「いえいえ、学園の平和が保たれてよかったです。でもなぜ魔族が?人間界に魔族はいないはず……」
「きっと弱いと判断されたんだろう。世の中には弱い魔物に紛れて偵察するやつもいる。今回の魔族もきっとそやつらだろう」
「なるほど……」
「戻ろう、疲れただろうし学園長室に来なさい。ケーキがあるぞ?」
「行きます!」
シャルルは学園長と一緒にてくてくと歩き出した。先程の魔族との激闘を忘れたかのように。
◇
「ん……んぅ……あれ、生きてる……」
「なんだぁ……はっ!なんで生きて……」
「助けられたみたいだな……」
「誰に……」
「言うまでもない」
五体の魔族は生きていた。起きた場所は、魔族たちの故郷だった。
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