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放たれた銃弾、そして

 それは一瞬の出来事。


 速度から考えれば当然の、いや、銃弾という時点で一瞬の出来事だということは明白だろう。


 だが、それが俺にはまるでスローモーションのように見えた。


 時間がゆっくり流れ、緊張に心臓を鳴らす。


 とある物理学者が言った、

「熱いストーブの上に一分間手を載せてみてください。まるで一時間ぐらいに感じられるでしょう。ところがかわいい女の子と一緒に一時間座っていても、一分間ぐらいにしか感じられない。それが相対性というものです」

 と言う言葉。


 その言葉の意味が理解できた気がする。


 本当に苦しい時。

 早く終わってほしいと願う時ほど、時間の進みは遅く感じる。


 俺は見守った。



 そして、それは直撃する。


 竜の下顎の首寄りの箇所。

 その部分に直撃したそれは、止まることなく、肉を穿つ。


 そして、貫通した。


 衝撃波によって、竜の頭部を破壊しながら。


 二メートルほどある縦長の頭部。それが残したのは、ドラゴンの鋭き牙と血走った眼球といった頭部の中でも前の部分のみ。


 だが、残ったそれらも首から引きちぎられたことによって、地面に散る。


 巨体はまるで芯のぬけた操り人形のように、力なく倒れていく。


 ドラゴンが最後に響かせたのは、地面に倒れ行くその巨体が鳴らす振動音のみだった。


 その光景に、俺は、

「よっしゃああああああああ!」

 一人叫ぶ。


 その声は村中、いや、もっと遠方ですら聞こえたかもしれない。


 それほどまでの強い想いを持った言葉であった。


 それは伝染する。

 村の所々から、同じように喜びの声が沸き立ってくる。


 そして、それは波となって、更に周りの者に喜びの想いを与える。


 こうして、村中の人々は歓喜の声を上げた。


 俺は笑う。この状況、それが指し示す獲得した一つの平和に。みんなが笑っていられるこの現状に。


 犠牲者を出さずに、ドラゴンを倒せたことに。


 そして、俺はドラゴンに背を向ける。

 かの者はぴくりとも動かない。伝説上の生物は、息絶えた。人間と言う、弱い生き物の手によって。


 俺と言う異世界から来た者の手によって。

 技術と魔法という異例の組み合わせによって。


 そんな俺が振り返って、最初に見たのは、エイダの姿。


 彼女は顔をぐしゃぐしゃにしながら、俺の元へと駆け寄ってくる。一刻も早く、そばに行きたいそんな気持ちを表すように、せわしなく足を前に出して。


 そして、俺のそばに来ると、俺に抱き着いた。


 それを俺は受け止めようとするも、右腕がないことに俺は気付く。


 そのことに、苦い顔をしながらも、俺はエイダのことを残った左腕で包み込む。包み込んで、頭を撫でてやる。


「ありがとう。助かった」

 そう言うと、彼女は顔を上げて、

「それは私のセリフです…。ありがとう……」

 顔を濡らしながら、彼女はそう言って笑う。


 満面の笑み。

 美しく輝くそれは、どこか大人らしさを秘めた可憐なもの。すなわち、彼女も、一人の女性なんだなと改めて自覚せざるを得ないモノで。


 ゆえに、不覚にも、どきりとしてしまう。

 それほどまでに、彼女の笑顔は素敵だった。


 俺は村を救った。

 本当の意味で。


 だが、それは一人では成し得なかったこと。

 それはエイダという俺をサポートしてくれる者がいてくれたからだ。仲間と思える彼女がいてくれたからだ。


 そして、その彼女のことを任してくれた彼女の父親・母親がいてくれたからだ。


 ゆえに、俺は驕ったりしない。

 これは一人だけの力では成し遂げられなかった結果なのだと胸に刻みつけて。


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