プロローグ
ここは日本の某県某市にある、冴ヶ原町。
私はこの町に住む女子高生です。名前は相原葵といいます。
私は普段幼稚園からの幼なじみの二人と一緒にいます。
そしていつものように朝三人で登校していたときのことです。
(バキッ)
(グシャッ)
(チーーン)
『ノォォォォォ!!』
『か、カッチャン!!』
……橋の下からすごい声が聞こえてきました。
「い、今の声…何だろう…?」
「気になるわね…行ってみるわよ、タカ!!」
「え…あ、ちょっと待ってよサユリ!!」
幼なじみの二人は橋の下に向かって行きました。
「ち、ちょっと二人とも!」
私も二人を追いかけます。
「あ、危ないよサユリ。たぶんケンカだよ…?」
「あの叫び方は異常でしょ!?何かすごいことがあったのよ!!」
「あ、うん…僕はだいたい想像できるんだけどね…」
そういって、なぜか股間を押さえるタカ君。
何なのか私にはよくわかりませんが、タカ君にはわかるようです。
「さぁ~、何をやっているのか…!」
私たちは見つからないように、そっと覗いてみます。
「ぐぁぁ…」
「い、痛ぇ…」
「ば、バケモノか…」
十数人の不良が倒れていました。
そして、その真ん中に立っている一人の男がいました。
その人は言いました。
「お前ら……有り金全部出せ♪」
「な…何で俺らが…」
「う~ん…気分?」
「な、なんでテメェの気分で俺らが……!!」
(ガッ)
「いいから、出せ♪」
(ジャボ)
「がぼぼぼぼぼ…」
「か、カッチャン!」
その男は一人の不良の足首を掴み、頭から川に漬けました。
捕まれた不良はすごく苦しそうにもがいています。
「す、すごいわね…」
「は、早く逃げた方がいいんじゃない…?学校にも遅刻するし……」
「でもあの声、どこかで聞いたことがあるのよ…」
「え?サユリも?」
「サユリも、ってことは…アオイも?」
そう、私はどこかであの声を聞いたことがある。
後ろ姿しか見えないけれど、どこか懐かしい感じがする…
「ん?もう行かないと遅刻するな。転校初日で遅刻っていうのはさすがにヤバいし。」
(ポイッ)
「カッチャーーン!!」
「さて、行きますかぁ。」
そして男が掴んでいた不良を川に投げ捨て、カバンを持ってこっちを振り向いた時……
「…ん?」
「う、ウソ…」
私は確信した。
その男は私たちがよく知っている、でもここにいるはずのない人物……
「リュウ君…?」
「がぼぼぼぼぼ…」
あ~あ、ツイてねぇなぁ…
昔俺がいた町だって聞いて引っ越してきたは良いけど、早速変な奴らに絡まれるしよぉ……
あ、俺って記憶喪失なんだよ。
三年前より以前の記憶が全く無くなってんの。聞いた話じゃ飛行機の墜落事故に巻き込まれたらしいな。気づいたら集中治療室で寝かされたってわけ。で、その時家族はみんな死んだとか。
あ、そろそれ時間かな?
時計を見ると時刻は午前8時10分。
「ん?もう行かないと遅刻するな。転校初日で遅刻っていうのはさすがにヤバいし。」
とりあえずこの粗大ゴミは川に流してっと…
(ポイッ)
環境に悪い?一応微生物とかに分解されるんじゃね?大丈夫だろ。
「さて、行きますかぁ。」
カバン持って学校に行こうと振り向くと……
「……ん?」
「う、ウソ……」
なんか見られてた。
『う、ウソ……』と言われましてもねぇ…
男一人に女が二人。一瞬さっきのゴミ共の仲間かと思ったけど、見るからに違うな。ヤンキーじゃないし。
「リュウ君…?」
リュウ君?確かに俺の名前は佐伯龍治だけど……そんな風に呼ばれたことはないな。
まぁここは普通に対応するか。
「アンタら、誰?」
……うわっ、なんか一人すげぇ悲しそうな顔したぞ。
そんな顔されても、知らねーもんは知らねーし。
ん?もしかしてアレか?昔の友達とかか?
「なぁ、アンタら…」
(ダッ)
「ち、ちょっと待ちなさい!アオイ!!」
「待ってよ、アオイ!」
……逃げやがった。アイツらの人違いだったのか?
「う~ん…」
まぁ気にしてもしょうがないな。とりあえず学校に行くか。
そういえばアイツらの俺の転校先の高校と同じ方向に行ったよな……
同じ高校だったり…?
もしそうなら昔の俺の話とか聞きてぇし、都合いいけどなぁ……
まぁそんなうまい話はねぇか。
……って、もうこんな時間か!急がないと遅刻じゃん!!
とりあえず急いで学校行くか!!