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白の賢者 ~転生先は魔法の世界~  作者: 春野霞
第二章
44/44

24 賢者

二章の最終となります。次章の案を練るのでしばらく更新は途切れそうです。

 山の空を飛ぶ魔動物は飛竜だった。そしてコアが単独パーティーで二体をしとめた。そんな結果にギルドは大騒ぎになったらしい。

 

 いや、あたしは顔出してないからね。そんな騒ぎに首突っ込んだら面倒くさいだけじゃない。山から帰ってからずっと家でのほほんとしていましたよ。数字の論文も見直ししないといけないしね。


 と思ったら、コアのマスターがじきじきにお出迎えだよ。うーん、またなんか厄介な話しかしらねぇ。飛竜はパーティーで倒したんだからみんなで分けるって事にしたはずなんだけどなぁ。


 仕方ないからマスターに付いて行きましたよ。コアのチームハウスに連れて行かれました。なんかねぇ、みんなの視線が痛いんですけど。レティさん、元気になったのかしら。ハッチさんが物欲しげに見てるのはあの短刀の件かしら、溶けちゃったんだから諦めなさいってば。


 みんなへの挨拶もそこそこに広間を通り過ぎて、会議室へと連れ込まれて座らせられたよ。


 「さて、今日こそは話を聞かせてもらいたいんだが」

 テーブルで身を乗り出すようにしてあたしを見るジェニアスさん。いや、その大きな体で威圧されるとすこし怖いんですが。


 「その話、私も参加させて貰うわ」

 ドアを開けてメリーメさんが入ってきて、椅子に腰掛けたよ。手には紙が数枚。机に広げると書類を読み上げ始めたの。


 「マリー・フリーマン。金髪、右目は青、左目は隠しており色不明。体格は六歳児相当。ギルドランクD、実績殆ど無し。魔法士は九級、講習実績無し。テルエラ国以前の経歴は不明、年齢不詳。旅のエルフとの噂有り。王都に住居、ティー・フリーマンと同居。魔法学校の学生、成績は優、科目によっては特優。ラゼル語、テルエラ語、共通語、エルフ語習得。言語習得能力異常に大」

 書類を覗き込んでいた顔を少し上げてあたしを見たけど、さらに続いたわ。

 「王室とのコネクション有り。王女の結婚式を取り仕切る。王室には魔宝石及びアルケニーシルクの譲渡。異例の微細シルクも入手。花の妖精と契約疑い大。チームコアと親密、ランドドラゴン討伐実績有り。ラゼル国よりワルド国への商隊護衛に参加。なお、ラゼル国でメアリー・フリードマンという生徒の失踪があり、氏名、外見が近似。メアリー・フリードマンの詳細情報については別途費用・・・…だそうだわ」

 読み上げていた書類を置いてあたしを見たの。


 「費用さえ出せば、いろいろと出てくるものね。違っている所はあった? 付け加えれば飛竜をほぼソロで二体討伐、伝説といわれる武器の入手が可能と、それ位かしら」


 「いえ、無いですね。よくそこまで調べがついたものです」

 「何度も聞く様だけどね、あなたいったい何者なの? どこからどう見ても人間業とは思えないわよ」




 もうこの人達を誤魔化すのは無理かもしれない。あたしは覚悟を決めて言葉を口にする。


 「あたし……あたしは、マリー・フリーマン。自由人にして賢者。知識を受け継ぎ、伝え、広める者。 ……もっとも、まだ未熟で伝える所まで至って居ないですけれど。」



 「賢者か、なるほど。単なる学生でも、単なる旅のエルフでも無いとは思っていたが、成して来た結果からすれば信じざるを得ないだろうな」

 「確かにソロでドラゴンを倒すだなんて、普通の人間では無理。それこそ勇者とかじゃなきゃ。地竜を倒した技、飛竜をしとめた魔法陣、それにあの短刀、伝説の武器をどこから入手したのかもすごく興味があるのよ」


 「ごめんなさい。まだあたしの中で準備が出来ていなくて、誤魔化すような真似をしていました。ドラゴンはほんの成り行きで、流石にやりすぎたかと思っています。」

 「いや、それは気にしていないさ。ほとんどソロで倒した地竜や飛竜なんて代物をぽんと分けてくれる様な人間が素性を誤魔化すんだから、よほどの事情があるんだろうと想像していたよ。ところで、何度も我々と同行しているが、今後我々に何を望むんだ?所詮小さなチームだ、大した事はできんのだが」


 「今のところは何も。ああ、たまにおかしな依頼をするかもしれないけど、きちんと報酬はお出ししますから。」


 困惑したようなジェニアスさんの顔を見つめたわ。そしてこんな好い人たち、好い王族、好い国になら、知識を伝えてもいいのかもしれないと思ったあたし。いまだに外では隠している緑の左目を覆う布を外して素顔になり、言葉を紡ぐ。


 左右で異なる色の瞳を見て、少しびっくりした顔の二人。

 「賢者の手伝いはとても大変だと思いますが、手伝っていただけますか?」

 そんな言葉を断る事など出来はしないだろう。二人は小さく頷いてくれた。



 さて、ここまで他の人に話してしまったからには、もう少ししたら賢者として動き出さなければいけないのかも。でもまだ覚えなければいけない事はまだまだたくさんある。とりあえず目を隠すのはもう止めたわ。それが第一歩になるの。



 お花が一杯の自宅の庭ではティーさんが相変わらずのお昼寝中。

 そのうち、寝る暇なんて無くなっちゃうかもねぇ。



 ちなみに半身に大火傷を負ってしまったレティさんはあたしの治癒で命が助かり、焼け爛れてしまった半身も綺麗に直った。ただ、もう冒険者としての仕事は出来なくなったみたい。チームハウスで静養した後故郷へ帰ることにしたそうだ。飛竜の素材に良い値がついたらしいから、のんびり暮らしたらいいよ。


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