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白の賢者 ~転生先は魔法の世界~  作者: 春野霞
第二章
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9 セールスの準備だった

 王都に入った翌日は職人さん探しに商店街へ。今回は作るのがドレスだから防具屋さんは当然として、仕立て屋さんにも行かないとね。

 アルケニーシルクの防具を扱っているお店はあまり無かったの。やはり希少価値なのかしらね。なんとか、契約して居る機織職人さんを聞きだしたのよ。


 貴族用のドレスのお店も少なかったよ。まあ、数が限られて居るだろうからそんなものかも。単価を上げて商売してるって事なんでしょうね。オーダーメイドを受け付けて、腕が良さそうで大きくないところを選んで話をしてみたの。


 貴族にレア素材でドレスを作って売り込みたい。仕立ててくれだろうか。報酬はどれくらい必要か。


 前金で貰えるなら協力するとの返事だった。まあ、作ったは良いけどお金になら無いんじゃ困っちゃうものね。そこはOKしましたよ。貴族の結婚式用のドレスも仕立てた経験があるとの事だったので一安心。


 次は機織職人ね。何人かと会って織った生地を見せて貰い、一番質の良かった職人さんにお願いする事にしたの。特殊な素材なので織り機の改造が必要、その分の費用は出す。前金で契約する。と言うと、目を輝かせてぜひやらせて欲しいと。職人さんってみんな新しい事にチャレンジするってのが好きなのかしらねぇ。


 用意してあった細いアルケニーシルクの白いやつだけを渡して、サンプルを作って貰う事にしたよ。もちろん素材の出所とか依頼人については絶対秘密って事で誓約してもらいました。


 こ、こんなに細いアルケニーシルクが世の中にあるんだ。

 職人さんは素材を見て驚愕してしまったよ。まあ、かなりレアでしょうね、普通は手に入っても張った巣から採取したものなんだろうからね。これで染色したやつを見せたら、気を失うんじゃないかしら。


 機織機の改造に一週間、サンプルを織るのに一日欲しいって事だったので、先に金貨を渡してお願いしたの。蚕絹用のパーツを流用してとか呟いていたけど、まあお任せしよう。


 その後はぶらぶらと王都の見物、道具屋で精樹の杖、金貨二十枚ってのを見つけたので思わず【認識】。うわっ、偽物だよぉ。


 武器屋で手持ちの弓、ボウガンみたいなのを発見したので、これオーダーして作れますって聞いたら、ものによるって返された。まあ、当然だね。これより小型で、弦を二本張って真ん中に金属のカップをつけて・・そう、うつぶせになったまま撃てる例のやつが出来ないかどうかって事。弓の張力は強めにする。引く力は弱いけど、反動が強いからね。


 合わせて鉄の矢の短いのも作って貰う事にしたの。普通の弓用の木の矢は長さ八十センチ位、ボウガン用のは五十センチ、あたしが頼んだのは十五センチ。かなり短いのよ。だって、長いと重いじゃないですか。なんか気に入らない様で、こんなもの役に立つのか、とぶつぶつ言っていたけど、銀貨を前金に差し出して無理やり作って貰う事にしたわ。不本意だろうけど品質は保証してくださいねぇ。


 でも、考えてみるとこれって人前で使っちゃいけないんじゃないかしら。分子運動を直接魔力で操作するなんて魔法が一般的じゃないのは想像がつくのよね。まあ、学校に行ったら、その辺も調べてみないとねぇ。


 王都の近所で人目につかなくて弓の練習が出来るところ、ティーさんと探しましたよ。歩いて探したので見つけるまでに二日も掛かってしまった。道路から少し入った処で人は入ってこない森の奥の草原。


 弓の命中率も大分向上して来たのよ。十本撃って外れが二本。8本は何とか的に当たるようになったの。真ん中に何本当たったかって、それは聞いちゃいけないのよ。

 特注のボウガンで鉄の矢を撃ってみるのが楽しみですねぇ。狙いさえ付けれれば間違い無く真ん中に当たるはずですもの。


 そのボウガンが出来て来たのは二日後でした。既にあるやつを改造したらしくて、早いだろうと自慢げな武器屋の店主だったよ。短い鉄の矢が十本、長めの木の矢が二十本。全部持ってまた森の奥の草原へ。魔石もカップに入れましたよ。


 草むらに伏せて、木の矢をセット。少しだけ弦を引いて、魔力を流し込んで放つ。どすっ、矢が木に命中したわ。もう一本セットして放つ、どすっ。殆ど変わらない場所へと命中。

 狙った所と大分ずれた場所に当たってますけど、それは調節するって事で。弦を引いて放すんじゃ無くて、矢が飛ぶ反動を弓が吸収するって構造は正しかったみたいね。名づけて-無反動手持ち弓-みたいな?。


 さて、次は鉄の矢ね。短い矢をセットして、矢が重いから強めに魔力を込めました。放つ・・バーン。え゛、えと・・、バーンってなによ。矢が当たった所、木が割れてるよぉ。殆ど貫通する程になっちゃってるわ。威力高すぎだわこれ。


 矢を全部撃ち尽くすまでやってみた結果、判った事。

1.魔力の込め方で実際に当たる場所は上下に変わる。

2.魔力が多いほど反動も大きい。狙いがずれてしまう。

3.矢が重いほど反動も大きい。

 やはり威力を上げると反動が強くなっちゃう。この反動をどうするかが問題ですねぇ。


 矢は半分くらいしか回収できなかった。めり込んで抜けなくなったのやら、木から外れて飛んでいってしまってのやら、威力が強すぎて折れてしまったのやら、回収した鉄の矢も曲がってしまっているのが有ったの。鉄じゃなくて剣と同じように鋼じゃないと厳しいのかもしれないなぁ。


 帰りに武器屋によって、矢を追加発注。もっと短いやつ、先端が尖ってなくて十字の切れ込みを入れたやつ、羽の角度を変えたやつ、いろいろと頼んでしまった。矢の羽は角度が付いていて、飛んだときにくるくる回転するようになっているのよ。回転によって飛び方も変わるんじゃないかなと、また実験ですね。



 そんなこんなで日が経って、生地のサンプルが出来上がってきました。我ながら素晴らしい出来上がりだわこれ、薄手の柔らかい生地なのにツルツルで綺麗な光沢。仕上がりに満足したあたしは残っている水色とピンクの糸も渡してサンプルを作ってもらったわ。二日後に出来上がった生地は、淡い可愛らしい色だったのよ。絶対に良いドレスになるわ、なんだかわくわくしてきたよ。



 さあ、売込みに行かなくっちゃ。


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