最弱
主人公は「旭」です。
前回はアサヒとしか表記しておりませんでしので一応・・・
食堂で出てきた飯はものすごく豪勢なものだったのですべてを美味しくいただきました。
食事が終わって旭がゆっくりとしているとエリナ姫がトコトコとやってきた。
「アサヒ様ですわよね?訓練がございますので、王の間にお越しくださいまし。」
エリナ姫は、勇者全員の名前を憶えている。俺でさえ、覚えているのはほとんどいないのに率直にすごいと思う。
「分かった。」
一言だけ返すとエリナ姫はトコトコと帰っていく。
「そういえば、王の間ってどこなんだ?」
今度はリリィに問う。昼ごはんは後で食べるとリリィは言ったのだが、無理やり俺が食べさしたので俺の隣に座っている。
「はい、今すぐ行きます?」
「ああ、そうしてくれ。」
飯も食べ終わって腹もこなれてきたのでリリィに王の間に案内してもらう。
「じゃあ、ついてきてくださいね。アサヒ様。」
そういって、リリィが席を立ち、それに続く。
食堂を出て、立派な甲冑の前を通り、大きな絵画の前を通る。絨毯が敷かれた廊下が気持ちいい。
もう一度立派な甲冑の前を通って、大きな絵画の前を通る。
また、立派な甲冑の前を通って、今度も大きな絵画の前を通る。
またまた、立派な甲冑の前を・・・ってリリィさん?絶対道忘れたよね?
そう思った俺はそれを指摘するべくリリィに話しかける。
「リリィ。さっきから同じところをグルグル回っていないか?」
「え、えー。ソンナコトナイデスヨー。」
思いっきり棒読みじゃねぇか!これはひどい。
「リリィはっきりと言ってみろ。どうなんだ?」
「ふえぇぇぇん。道に迷いましたぁぁぁ。」
泣きながら言うリリィ。くそ、可愛いじゃねぇかこのドジっ子メイドめ。
とりあえず、リリィを泣き止ましてから、廊下を時々歩く女中さんに聞くことにする。
「リリィとりあえず、泣き止め。怒ったりしないから。失敗は誰にでもあるぞ。」
「ふぇぇえん。いいんですか?ぐすっ。」
「ああ、もういいから。」
「ありがとうございますっ。」
うんうん、可愛いは正義。可愛いから許しちゃうぞ。
とりあえずリリィが泣き止んだので、今そこから歩いてきた女中さんに話しかける。
「すいません。王の間ってどこですか?」
「このまま真っ直ぐ行ってもらって、右手の方にあります。」
「ありがとうございます。」
王の間の位置も聞けたので、王の間に行く。
真っ直ぐ行くと、召喚されたときに見た中二病の扉があった。
そこを開けて中に入る。ちなみにリリィはもう俺の部屋に帰ってもらった。
王の間に入ると、そこにはクラス全員が集結していた。どうやら俺が最後のようだ。
「うむ、これで全員かの?」
玉座に座った王様が言う。
「それでは、明日から始まる訓練に先駆けて、少し勇者様方のステータスを確認したい。」
ステータス?ステータスってあれか?よくドラ○エとかFFとかで見るあれか?
「それで、そのステータスって何なんでしょうか?」
俺たちを代表して健志が質問をする。
「ステータスとはそのまま、その人の強さを表すものじゃ。まぁ論より証拠じゃ。一度ステータスと念じてみぃ。」
(ステータス)
そう念じると、目の前に半透明なステータス表が出てきた。
〔名前〕 薬師 旭 17歳
〔レベル〕 1
〔職業〕 最弱
〔体力〕 3
〔魔力〕 3
〔攻撃力〕 3
〔防御力〕 3
〔魔法攻撃〕 3
〔魔法防御〕 3
〔敏捷〕 3
〔スキル〕
なし
〔特殊スキル〕
最弱無死
マジぱねぇすわ。俺の職業〔最弱〕だわ。能力値は俺の学業成績と同じオール3。
スキルはないし俺、弱すぎんよー。特殊スキルがあるのがせめてもの救いだわ。
特殊スキルを見よう。特殊スキルの最弱無死を指でタップしてみる。すると、スキルの詳細がでてきた。
〔最弱無死〕
全てのステータスがオール3になる。スキル無くなる。職業が最弱になる。
レベルが1から上がらない。死ぬレベルの攻撃を受けると無傷になる。死なない。
死なないことの代償にすべてを切り捨てているじゃないですかやだー。
クラスのみんなは、お互いのステータスを見比べている。
「スゲー!健志お前勇者じゃん!」
「体力1000とか大すぎ~!」
モブA曰く健志はチート性能の勇者らしい。
俺のごみ性能はひどすぎる。
俺は、ゆっくりと、脇役生活を送ることを決意した。
読んでくださりありがとうございます。林朋昌炎です。
今回は短めになっております。