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序章
私は夢を見ているんじゃないかと思う。とても長い、夢の続きを……。
鮮明に目に映る景色は神々しくて、そしてどこか危なげで、闇に溶けて消えてしまいそうな情景は花びらを落とす花のように儚くて……。
まるで夢の狭間のような感覚は、今でも忘れない。
けれど、いつまでも眺めていたいと思うその景色を、私はあの時、どうか嘘であってほしいと願った。
――でも、どうしてそう思ったのだろう?
問いかけてみたけれど、たぶん、その答えはすぐにわかる。
幽艶に光を放つ月の容姿に、ちらちらと怪しく輝く桜の花片に魅了され。風によって揺れ動く、黄金色の糸のような長髪が美しくて。そして、目が離せなかった。
集められたその一幕に心は呆気なく囚われる。本当に呆気なく。
この美しい奇景が色褪せることが無いのは、この物語のはじまりの合図だったからなのだろう。
きっと……。




