表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

テレビでやるだけでも大変だったのに今度は時代劇映画を作れと言われた俺はどうすればいいんだろうか?

作者:ふゆはる
 毎週放送される一話完結の物語は、安定した視聴者に支えられ、一定の評価を得ていた。

 だが、時代は変わる。
 配信や海外ドラマが主流になる中で、スポンサーは離れ、視聴率は下がり、私の現場も縮小を余儀なくされた。
 それでも諦めきれずにいたところに、ある日、上層部から言い渡されたのだ。

 「次は映画だ。君に任せる」

 映画——。
 その響きは甘美でありながら、私には重すぎた。
 テレビ時代劇と映画時代劇は、似て非なるものだ。
 テレビでは役者の芝居や勧善懲悪の筋が分かりやすければ、多少の粗は許される。
 だが映画は違う。観客は一本に金を払う。映像美も脚本も、音楽も美術も、全てが格上でなければならない。
 「延長線上」では、到底太刀打ちできない。

 私はその夜、机に広げた白紙の原稿用紙を前に、頭を抱えた。
 映画だからできるもの——。
 テレビにはなかった深み、映像の広がり、文化の底力……。
 だが、どこから手をつければいいのか、まるで掴めない。

 窓の外で、秋の虫の声が遠くに響いた。
 私は初めて、自分が「時代劇を作り続けてきた」という誇りそのものが、いま試されているのだと悟った。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ