テレビでやるだけでも大変だったのに今度は時代劇映画を作れと言われた俺はどうすればいいんだろうか?
毎週放送される一話完結の物語は、安定した視聴者に支えられ、一定の評価を得ていた。
だが、時代は変わる。
配信や海外ドラマが主流になる中で、スポンサーは離れ、視聴率は下がり、私の現場も縮小を余儀なくされた。
それでも諦めきれずにいたところに、ある日、上層部から言い渡されたのだ。
「次は映画だ。君に任せる」
映画——。
その響きは甘美でありながら、私には重すぎた。
テレビ時代劇と映画時代劇は、似て非なるものだ。
テレビでは役者の芝居や勧善懲悪の筋が分かりやすければ、多少の粗は許される。
だが映画は違う。観客は一本に金を払う。映像美も脚本も、音楽も美術も、全てが格上でなければならない。
「延長線上」では、到底太刀打ちできない。
私はその夜、机に広げた白紙の原稿用紙を前に、頭を抱えた。
映画だからできるもの——。
テレビにはなかった深み、映像の広がり、文化の底力……。
だが、どこから手をつければいいのか、まるで掴めない。
窓の外で、秋の虫の声が遠くに響いた。
私は初めて、自分が「時代劇を作り続けてきた」という誇りそのものが、いま試されているのだと悟った。
だが、時代は変わる。
配信や海外ドラマが主流になる中で、スポンサーは離れ、視聴率は下がり、私の現場も縮小を余儀なくされた。
それでも諦めきれずにいたところに、ある日、上層部から言い渡されたのだ。
「次は映画だ。君に任せる」
映画——。
その響きは甘美でありながら、私には重すぎた。
テレビ時代劇と映画時代劇は、似て非なるものだ。
テレビでは役者の芝居や勧善懲悪の筋が分かりやすければ、多少の粗は許される。
だが映画は違う。観客は一本に金を払う。映像美も脚本も、音楽も美術も、全てが格上でなければならない。
「延長線上」では、到底太刀打ちできない。
私はその夜、机に広げた白紙の原稿用紙を前に、頭を抱えた。
映画だからできるもの——。
テレビにはなかった深み、映像の広がり、文化の底力……。
だが、どこから手をつければいいのか、まるで掴めない。
窓の外で、秋の虫の声が遠くに響いた。
私は初めて、自分が「時代劇を作り続けてきた」という誇りそのものが、いま試されているのだと悟った。
第1話/おい桐谷、今度は映画だってよ
2025/09/21 15:37
第2話/打ち合わせからこれですか
2025/09/21 15:37
第3話/藤堂亮
2025/09/21 15:37
第4話/そりゃこうなる
2025/09/21 15:37
第5話/地獄の会議
2025/09/21 15:38
第6話/キャスティング会議が始まる
2025/09/21 15:38
第7話/シナリオ地獄
2025/09/21 15:38
第8話/100人ぐらい斬っちゃえ
2025/09/21 15:38
第9話/本顔合わせ
2025/09/21 15:39
第10話/撮影開始
2025/09/21 15:39
第11話/誰か俺を殺してくれ
2025/09/21 15:39
第12話/制作発表会見
2025/09/21 15:39
第13話/それでも撮影は続く
2025/09/21 15:40
第14話/桐谷ついにキレる
2025/09/21 15:40
第15話/百人斬り
2025/09/21 15:40
第16話/途方も無い作業
2025/09/21 15:40
第17話/試写会
2025/09/21 15:40
第18話/ワールドプレミア
2025/09/21 15:41
第19話/カンヌに招待されたってよ
2025/09/21 15:41
第20話/顛末記
2025/09/21 15:41