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Noch einmal

自分が出せる最大出力の速度で、一陣の風より速く駆け抜け、ヨルオルの間合いへと入る。さて、ここから彼がどう出るかが問題なのだが。

「Bigriff……Veränderung……」

謎の詠唱と共に、イデリオギルが聖なりそうな光を宿す。

思索させる時間も与えられないまま、走り抜けて後ろに回る。ヤバい気がするので、間合いから加速し一旦離脱する。

確実に剣が届かない距離に跳び離脱した俺に、なおもその剣は上段から刃を見せつけて。

「Aufschlitzen!!」

詠唱と同時に振り下ろされ、空を切った。

当たっていればまず間違いなくさっきのような怪我じゃすまないであろう斬撃を、めちゃめちゃ美しく空振りしたヨルオル。

だが、俺は知っている。

詠唱こそ何て言ってたのかは知らないけど、あれほど言われたし体験したから理解出来る。


"もう、斬られている"と。



「まずは左腕だ……」



吹き出た血。猛烈に襲ってくる激痛、そして熱。

走り続ける俺の動きが、無理矢理停止し。

空中にあった体はろくな受け身もとれないまま、白道に不時着した。

打ち付けられ、全身が痛む。しかし、腕の痛みに比べてしまうと何一つとして痛くない。

なおも走る激痛。しかし、終わりはしない。

「次は右足だ」

せせら笑うようにこちらに剣を向け、立ったままのヨルオル。

今になって、すーっと左腕を冷たさが襲い、痛みが薄れてくる。

彼は動く必要がない。何故ならば、間合いに俺がいなくとも、殺すことが可能だからだ。

ならば、俺自身を狙われないよう、飽和攻撃で対応すればいい!

「転職!陰陽師!」

からの、先程と同じ……大量のお札!

無造作にばら蒔き、花弁のように舞い散らせ。

「祓え、往け!!」

まったくの遅延なく、今度は一斉にヨルオル向かって飛んでいく。

「ああ、少しは考えたな……」

笑いが少し薄くなったその声。しかし。

「意味はないのだがな」

無造作に横に薙がれた剣。その軌道に沿って、纏った雷が札を襲っていく。

触れた刹那には灰へと変わって消えていく札たち。

しかし、まだ終わってない。まだ残っている。

「Aufschlitzen…」

神速の大量の斬撃を虚空に撃ち、そう告げられた。

途端、残っていたほぼ全ての札が、灰へと代わった。

最後に残った一枚が、フラフラとよろめきつつもヨルオルへと突撃しようと、蝶々のように意味もなくやってくる。

しかし、それを掴んだヨルオルは、告げようとする。

「よくぞ辿り着いた……Aufschli――――」

「魔導騎英!ヴァリオス・ボンフィーリ!!」

その無駄こそ、隙なのだ。

転職者には、たった一瞬を与えるだけで命取りになる。

一瞬さえあらば、職業は何にでも変えられるのだから。

ボンファイアの上位魔法、別称『異多の火』。

幾つもの異なる色を宿したフレアが、一斉にヨルオルを目掛け放たれた。

発射から肉薄まで、わずか0.2秒。

当てられる。決まった。


「甘い」

振られた剣。放たれる雷。相殺される炎。

そして、

「Aufschlitzen」

言葉と、叩きつけるような一閃。

その刹那。

「フヴッ……グ……!」

胸から熱いものが流れ、吹き、吐かれた。




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