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歪んだイデリオギル

「神剣イデリオギル。神の落物とされる、我がゼアネラの神器だ。貴様には余るものと思っていたが、神の試練とあらば容赦なく使おう。神には神を、だ。さあ、剣を構えろ。神の刺客」

「だから、俺は神の刺客なんかじゃなくてだな……」

そう呟くが、彼の耳にはまったく入っていないらしい。

完全スルーで続けられた。

「先に言っておこう。この剣の力……それは、「概念化」というものだ。まあ、神の刺客とあらば既に解っていたかもしれぬが」

ガイネンカ……概念化?

知らない知らない。そもそも俺は神の刺客じゃない(n回目)。説明求む。

「つまりは、攻撃を「攻撃」という概念へと還元し対象にぶつける。そうすることで攻撃は必中になるのだ」

は?え、何攻撃が攻撃で何が還元されて攻撃が必中で概念なの?

脳フル稼働しても解らない。ポエムか何かなの?

「うむ、さっぱりだと言いたいらしいな。神の刺客のくせに、何も知らぬのか貴様。……まあいい。解らないのなら……」

剣を一層雷が纒いだし、バチバチという音が強まり。

「実践してやろう」

言葉を発すると同時に、ヨルオルが剣を軽く縦に振った。

「何、何がした―――――」

何も判らず、そう声を出した直後。

「い?」

何の前触れもなく、俺の胸がつーーっと赤い縦線を刻み。

大量の血を吹き出した。

「なぁっ!?」

今、縦線からひしひしと痛みがくる。だんだんと上部から、溶けてしまいそうなほどの熱いものが下りてくる。

通りすぎた場所は、急激に冷たくなっていく。

「なんだっ……これぇっ!?」

焼けるような感覚を騙しつつ、声を張り上げる。

それに対する、冷静さの帰還した威厳ある声。

「これが、『概念化伝導』。斬撃を放った直後に攻撃を概念化させ、その概念だけをそこの胸に伝える。このイデリオギルを少しでも動かせば、我の勝ちなのだ。勿論、貴様に概念などを防ぐ術はない。どころかこの世を探したところであるはずがない。何故ならば、これがこの世界を統べし神々の剣だからだ!」

そんな、そんな馬鹿なものが有り得るか。

絶対攻撃が当たる武器とか、そんなもん勝てるわけないだろ!

幸い、さっきの小さな稼働では深刻な怪我にはならなかった。精々血が大量に無くなる程度のこと。

なるべく剣に攻撃の機会を与えない。それくらいでしか、遅滞戦闘は望めない。

実際、遅滞戦闘と言っても何かを待ってるわけではない。

強いて言えばサクラはよこいや、ぐらい。

神には神をって言われたけど、そっくりそのままサクラに頑張ってもらいたい。

だから!

「絶対1手も撃たせない!」

そう叫び、行動を開始した。

回避するにも、剣先に捉えられなければいける。

その分、速く、挙動が激しく、なおかつ予想しづらい動きをとらなければ。

ならば、

「転職!韋駄天ンッ!!」

神足あるのみ!

「神足の……行方!!」

光もかくやで加速し、弧を描き攪乱させつつも間合いを伺う、その作戦でいこう。

「さあ、ここからこそが我の本領。ゼアネラの騎士ヨルオル、我が願い叶えんと、いざ参る!!」

再び、戦線は構築された。



遠き地にて

「うぇへっくしゅん!!」

「おい、風邪かお前。神のくせに」

「いや……なんじゃか突然出たのじゃ」

「噂でもされてるんじゃないか?」

「噂になることでもしたかの?」

「あの3人だろどうせ」

「ま、そうじゃな」

「ならなおさら急ぐぞ」

「あー、こんなときイデリオギルがあったらのう……カッコよく登場出来たのじゃがな……何処に落としたんじゃ、イデリオギル……」

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