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白道のデュエル

白の道を真っ直ぐ、刀を据えて駆け抜ける。

相手方は止まったまま。

その理由は、すぐにわかった。

まずは魔導騎英のまま走り、間合いに入ったその時。

騎士が動いた。

携えた大振りの、雷の紫電を纏う剣を真っ直ぐに空へ向け、唱えた。

「雷纏……穿て!!」

直後、剣の紫が一際強く輝き、そのバチバチとはねる紫電が数を増し。騎士が剣を俺に向ければ。

俺の真上に紫が出現、

「まずっ!?」

危機を察知して後ろに飛び退いた直後。

先ほどまでいた場所に、幾本もの雷が着弾した。

「ひいいいっ……!」

穿つとか言ってたが流石に領域をぶっ壊すことは出来ず、無傷の白道に黒い跡を残していった。

何これ、これが雷纏剣たらいうのの力?

殆ど魔法じゃねえか!こんなの反則だ!あんまりだ!


そういえば、本来魔導騎英ってのは魔法と剣を両立して戦うんだったような……

よし。この話は止めよう。

前のヨルオルに集中すべきだ。

「見たか、この雷の力。これこそ我が剣の集大成にして魔術の集大成。雷纏剣だ」

そう語り勝ち誇った顔のヨルオル。この人もこんな顔するんだなあ。人ではないけど。死んでるけど。

「それ、言っちゃってもよかったのか……?」

「お前には我の全てを開示する。お互い死力を尽くすがためにな」

なるほど、つまりあれか。お互いとか言っちゃってるけど、本心余裕ぶってんだ。勝てると思ってんだ。

腹立つな……

「だから、俺の手札を見せろと?」

喧嘩売っといた。

すると、ヨルオルは首を横に振って

「いやいや、我にそのような外道な真似は必要ない」

答え、それから口をにやつかせて。

「力付くで開示させる」

刹那、ヨルオルはもうそこにいなかった。

刹那、俺の背後から微かな鉄の擦れる音がした。

「まさかっ……!」

咄嗟に刀で防御姿勢を取ったのが正解だった。

背中に走る激痛と衝撃の余韻。

素早く身体を反転させ、正面からの鍔ぜりに持ち込む。

キリキリと刀同士を鳴らしながら、鬼の形相を浮かべあい、両者引きはしない。

「今のを反応出来るとは、中々に鋭い。しかし、それだけでは意味がない!」

その引きはしないのが、裏目に出た。

「雷纏……貫け」

ゼロ距離からの雷。

まずい!雷が一種類なんて誰が言ったよ、祟るぞ?

俺自分で自分を祟らなければいかんらしい。

シュトッという軽い音が俺の体に響く。

あれ?これだけ?

何、不発弾なのだろうか?

想定外であろうこれは!

焦っているだろう!

ならばこの期で攻めないことは有り得ない!

そうして一歩足を出した、瞬間。

バチイイイイイィィイッッ!!

「ったあああああ!?」

凄まじい電気が、時間差で俺の身体を襲った。

思わず倒れ、道の真ん中に突っ伏した。

「いいいぃぃ……」

「どうだ、直撃は」

カシャカチャと鎧を鳴らしながらヨルオルがやってくる。

俺は倒れたまま睨み上げることしかできず。

「まだ転職とやらは見ていない……早くしなければ先に体力が尽きるぞ」

勝ち誇りつつ嘲笑するヨルオルの言葉を、聞き流すことしかできず。

「早く立て。本気で来い」

それで頭にきた。

「いいぞ……やってやるよ……!」

ゆっくりと立ち上がり、刀を持たぬ左手を仁王立ちするヨルオルに向ける。

放つもの。それは魔導騎英のものではない。

相手は死霊。死霊である。

「転職……陰陽師!!」

「……ほう」

一瞬にして法衣へと変わり、烏帽子を被る頭。

そして、右手には刀を。

左手には、禍々しい筆運びで書かれた札が幾つも。

それをバッ、とばら蒔き。

再び構えた左手に精神を集中させる。

目を閉じ、散っていく札と一体になる。

無。無。




今。

「陰陽のモトよ」

散っていた札が空中で静止した。一呼吸の間。

少しばかり札たちが空中で小刻みに震え出す。まるで、何かを今か今かと待つようで。

少しの静寂。あ、カサカサと札が震える音はしてた。

ほんの一瞬の間が空いた。

刹那。

深く息を吸い込んで。

「祓え!!」

唱えれば、時を待ち望んだ幾十もの札が、ヨルオルめがけて襲いかかった。

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