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共鳴と幾年の責

回廊の真ん中、虹の光を浴びながら、無言で進む。

突き当たり、もとい出口まではさっきと同じ程の距離がある。

コツ、コツと足音が石畳に響き、音が少しばかり震えているのに気がつく。

無意識に俺は、怖がっている。

それはまあ本心で言えば今すぐ逃げたい。剣なんて放って何処か遠くへ彼女たちと逃げたい。死にたくない。

だが、時に本心を殺すことも必要。

少し意味は違うかもしれないが、心を無視して体を服従させ、進むしかない。

決意新たに、おもむろに顔を下げた。

床に移る俺の視線。みるみると顔が怯えてくる、歪んでくる。

今振り替えって見てみれば、何故気付かずにここまで歩けたのか。


床に拡がる黒い黒い染み。黒というよりも何故か赤みを帯びているように見える。そう、幾百年前の血だ。

今見てみれば、回廊の至るところにこれは散乱し散らばっている。

しかしあるのは血だけ。死体というのは……

「ん……ん!?」

一歩前に出た途端、カサッという音が足先に伝う。

見れば、灰色の何か。まるで、曲がりくねった円柱を踏み潰し、端を灰色の粉へと変えていた。

「これって……」

「骨だな。年月を経て風化してるが」

エルルさんの答え。

骨、あらかたそうだろうとは思っていた。

少しばかり曲がった棒状の骨……あばらか。

血だまりだったはずの黒ずみの上、いたるところにバラけている骨。

何故、何故今の今まで気付かなかった?

血の痕跡に骨の残骸、人の死がここに渦巻いていることくらい、簡単に分かるはずのものを……!

しかし、悔やむのはもういい。

「進もう……」

前身するのだ。もういっそ何も見なくていい。

また無情に響く靴の音。

そして時おり鳴るカシャッという音。

見ない。心を乱されるくらいなら見るな。


そうして、回廊の終わりを潜った。

先程と同じような部屋の入り口。

抜ければそこは、所謂エントランスだった。

「「うお……」」

「うひゃぁ……」

豪勢なシャンデリアが吊るされ、階段が2つクロスするように中心に鎮座。

敷き詰められたカーペットは、未だ清潔感を保てている。

さっきの回廊とは真逆。

そして、気になる点がある。

何故、何百年と閉ざされていたはずのこの城、この部屋。

何故、シャンデリアは灯されている?

ここは死霊が巣食う場所であり、人などいないはず。

何故?

答えは、すぐにやって来た。


「ようやく到着か」


響き渡る謎の声。

「誰だ!?」

辺りを見渡すが、人影はない。

しかし声は続く。


「我は貴様らに名乗るような小兵ではない、侵領の輩よ!」


なんだ、この微妙に噛み合ってない会話。

俺たち侵領の輩じゃないし。

「なら……姿くらいは見せろ!」

エルルさんが反論する。


「ほう……いいだろう」


刹那、階段の踊り場でジャキッと音が。

見ればそこに、白銀の鎧を見にまとい、床に剣を突き立てる、若い男……いや青年騎士が、突如として現れた。

その口から、威厳と自信に満たされた声が放たれる。


「さあ、通るなら押し通り給え……最も、通すつもりは微塵もないがな」


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