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城白裁定のゲェト

斬撃の雨霰は幾ら進めど幾ら前でも、少しの隙が命取りとなった。

だからこそ、どれぐらいの時間がたったのか分からないまま走っていた。

魔導騎英が斬り、刹那韋駄天が走る。また魔方陣が展開されれば、魔導騎英に転職する。

完全な作業。用は、無駄な感情など排除しておくのだ。

その結果、上層への門は見事に破壊された。

爆発と共に門扉が吹き飛び、追ってきていた死霊に向かって落ちていく。

強すぎる衝撃がニズリス・ブールを襲い、爆風が巻き起こり周囲に拡がる。

爆風によって回りの尖った建物とかが切り刻まれて、所々で崩れ出す。

扉の真下にいた死霊共はと言うと、なす術なく扉に押し潰され、その隙間から黒い煙が微かに漏れ出でていた。

こうして、上層は開通した。

それが少し前のこと。

だんだんと多く、そして強く、間隔も短くなっていく死霊共を蹴散らしながら、俺は走り続けた。

疲労は伝わらない。刀を振るその速度、まだまだ速くなっている。

加速はまだ終わっていない。

走れ、斬れ。走れ、斬れ。

ただリューゼ・グラエとリューゼ・ノルが繰り返される。

もう詠唱すらしてない。せずとも構え、そう意識することで発動出来た。

目から生気が消えかけていた。ウェルのことすら忘れかけていた。

ただただ、走って走って。斬って斬って。


だからこそ、俺は今ここにいる。

そびえ立ち俺を見下す冷徹の城塞。

その末端であり口である、城門のその前に。

「着いたね、主……」

「ああ……」

今になって来る疲弊。少し息が荒くなり、胸が大きく速く動く。

ウェルこそずっとエルルさんを背負ったまま走るなど辛かっただろうに、息は落ち着いている。

で。当の背負われていたエルルさんはと言うと、

「なんでこの人……」

気絶してんだよ。

白目を剥き、完全にKO状態。

「なんにもしてないでしょ……」

そういいながら、ウェルはエルルさんをとりあえず投げた。

「え、ちょウェル!?」

「大丈夫死なない」

「そういう問題ではなく!」

そう言うも遅く、エルルさんが尻から地面とドッキングした。

ゴキッと嫌な音。

「いってえええええええ!!」

目を覚ましたエルルさんが飛び上がり、尻をガードする。

「おはようなのです」

「大丈夫ですか……?」

いちちち……と言いながらこっちをジト見るエルルさん。

「もうちょっといい起こしかたくらいあったろ……」

「ない」

「あるだろ!」

いつものテンションで安心した。

なので言い合いをそこまでとするべく、咳払い。

「おっほん。そこまで。では、今から城に入ります」

一気に表情が真面目に変わる二人。

その切り替えが出来る彼らは強い。

「絶対に離れない。常に全方位に警戒を。そのまま最上階に向かう。行くぞ!」

「「おう!」」

そうして、ゆっくりと門扉を押し開ける。

ギギギ、と年季の入ったというか古びた音を立てて、軋むその扉が開いていった。

苔草に覆われたその先。

俺たちは過去の砦を、ゆっくりと進みだした。

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