戦闘シーン
加速、さらに加速だ。もっと。
神足ノ行方を発動し更に速度を底上げ、リューゼ・グラエの加速を上乗せする。
体の限界ギリギリまで到達した速度で、体に重圧が掛かる。
しかしそれを気にさせないほど、俺の意思は強固。
ただひとつ、城へと至る。それだけ。
それだけを信じて、走る。加速する。走る。
ウェルがついてこれているか、それすら振り返らない。
というか、振り返るほどの速度に対する抵抗力を持ってない。
だからちゃんとついてこれてるか分からない。
「ウェル!着いてこれてる!?」
後ろに投げ掛けてみる。もし着いてきてなければ、ただの虚しい独り言になるが。
「いる!主もっと飛ばしてもいい!」
幸い、応答。ものすごいホッとした。
むしろ飛ばせと言ってくるほど。安心感が一気に溢れ返る。
ならば、彼女を信じ前身あるのみ。信じることで、加速するのみ。
「ついてこいよ!」
リューゼ・グラエの加速の余韻から、さらに地を踏み込んで跳ぶ。
何倍にもなる瞬間速度に一瞬吐き気を感じたが、それくらいで止まりはしない。
もう一度、今度は反対の足を着地後即で踏み込む。
二段ジャンプの要領で、更に高みへ。更に遠くへ。
もう一度、またもう一度。加速を保って、跳ぶ。跳ぶ。
空を走るように、渡るように。
空を踊るように、跳ぶ。跳ぶ。
幾度目かのその時。右足が地を蹴り、高く強く跳ねた、空へと高く舞あがった、その時。
それを狙われたのか、空中の俺を囲むように出現した黒の魔方陣。およそ30。
空中では身動きが自由とは言えない。無理をして体を捻ることくらいでしか回避できない。というか、回避以外は出来ない。……普通なら。
普通ではないその場所で、魔方陣全ての動きがシンクロし、全ての魔方陣から醜い腕が覗いたその瞬間。
「魔導騎英!!」
そう叫び、転職。そのまま刀を空中で抜き放ち。
「リューゼ……ノル!!!」
初めて叫ぶその詠唱。刀が受理したその詠唱は。
刀を脇構えから、大きく、そして速く旋回させた。
紺青の閃光。リューゼ・グラエと同じ、蒼。
蒼の一閃が円となり、円は鋭き刃となり。
30の魔方陣全てを、一気に両断した。
黒の破れ散る音がまるで結晶を割ったときのようにガシャンと響く。
生まれる途中だった腕は、ジュッと音を立てて燃え。
その上を、優しい青色が包み込み。
俺を更に加速させた。
リューゼ・ノル
詳細:単発旋回剣術。リューゼと名を冠することからわかる通り、神速のスキルである。
神が人間に教えなかったもの。それこそが、自らの速さである。




