僕の小さな大冒険 13話
マストにはためく海賊旗、最後部の船長室から漏れる明かり。
僕は、錨に飛びつくと急いで登った。
甲板に辿り着くと、船長が1人で月を見上げていた。
その姿は、世界を憂れう聖者のようでもあり、魂をだまし取った悪魔のようでもあった。
「お前か、無事だったか・・・」
僕は、ポロポロと涙が落ちるのを唇を噛み締めて耐えようとした。
船長の前で泣くのは、とても情けなくてしてはいけない事のように思えたから。
「ロストチャイルドよ、なにしに戻って来た。フックの命を奪いにきたか?それとも殺されに来たか?」
船長は、右手も鈎爪を月に照らした。
「どうした?なにがあった?」
しばらくの沈黙の後、船長は僕に言った。
「ジョンが殺された。大人になってしまったから、ピーターパンに殺された。僕はピーターパンを許さない」
「不思議なロストチャイルドよ、お前はチャイルドのくせにピーターパンが憎いのか」
「わからないです」
「正直でいい。ロストチャイルドよ、好きなだけここに居るがいい。海賊になるかも好きすればいい」
そういって、船長はコートを翻して部屋に戻って行った。
でも、海賊船での生活も今までと大して変わらなかった。
海賊達は、船長に終止怯えていて命令には絶対服従、それが気まぐれであっても。
ただ、船長は、ごっごはしなかった。気まぐれの命令には従わなくてもお咎めは無かった。
単に海賊船の船員達のおつむが少し足らないだけのように思えた。
僕は、また沢山の本を読んだ。
船の修理もできるようになったし、1人で食料も調達できる。
大砲も誰よりも上手く撃てるようにもなった。
そして、来るべき時が来た。




