雑音(ノイズ)
嘲笑が止まない。
目の前の女が一瞬ふりむき、私の姿を認めて、嫌そうな顔をする。自分の容姿が他人に不愉快な印象を与えると言うことは 経験上、知ってはいる。次の女性は、一瞬だけ憐憫に似た光をその瞳の上に浮かべるが、そのまま隣の女と嘲笑のさざめきの中に消えて行った。
『嘲笑が止まない』
『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『嘲笑が止まない』『いつも』『いつも』『いつも』『いつも』『いつも』『いつも』『いつも』『いつも』『いつまでも!!』
『その嘲笑を止めろ!!』
自意識過剰なんだよクソ女ども、お前なんかこちらから願い下げだ、まったく世のオンナどもは、自分が気持ち悪いと思うその対象に自分が気持ち悪い存在だと、相手に思われている可能性など、少しも考えもしないのか、想像力の欠如した○○め。
この『世界』の全てがこの僕を愚弄するというのなら。すべての嘲笑が僕に向けられたものだというのなら。
『その耳障りな雑音を止めてしまえ!!』
頭の中で反響する声に導かれるように男は一本のステッキを叩き折る。そうしてその尖った先端で驚愕を顔に貼り付けたままの女の喉を刺し抉る。女の持っていた重そうな鞄を奪い取り、次の不幸な獲物の頭蓋骨をたたき割る。
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を止めろ!』『その雑音を止めろ!』
『その雑音を、止・め・ろ』