表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

再会 その1

「たとえばだ、それは死ぬっていう事実を知ったその時に似ている。結局無くなるというのになぜ自分たちは生まれて来てしまったのかという理不尽、その中で惰性のように生きている。そんな感じに似ている」


それは、奇妙な信頼関係だった。


 男は口笛を吹いていた。なんの曲目かは知らないが、やたらと軽快で、人生は喜びに満ちあふれているかのような雰囲気だった。この重厚な、圧倒されそうな雰囲気の中、よくそんなものをくちずさむことができるものだ。


 男は特殊強化プラスチックというゲージの中で身じろぎ一つせずに座っていた。人を小馬鹿にしたような皮肉げな微笑えみを浮かべ、尊大に見えるように足を組み、じっとこちらを伺っている。


 ここにいるのは別人だ。自分が尊敬、というよりは心酔していた岡本おかもと幹彦みきひこはこれではない。彼はこんな下卑た微笑みが似合うような男ではなかったし、こんな人を見下したような視線など持ち合わせてはいなかった。


 あの人は常に正義とは何かを悩み続けていた。そんな人だったハズだ。落ち着け新城しんじょう篤史あつしと自分に言い聞かせながら、彼は内心のいらだちを隠せないでいた。


「別段、僕は微塵も変わっていない」ケージの中のその男は、彼を見ようともせずにそう言った。


「世界のり様は、観察者にる」その声は、聖職者のように心のすべてを見透かすかのようだった。


「どう、いう事ですか、先輩」


「『世界は優しいと勘違いできるほどには残酷で、その残酷さを気づかせない程度ほどには優しい』そう言って彼女、高島たかしま 法子のりこは消えた」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ