蛇?
「はい!今日から新特訓をします!」
「いえーい!パチパチパチ」
折り鶴も12個同時に出来るようになったころ、母さんが新しい特訓を持ってきました。
また精密なやつなんだろうな~。あれイライラすんだよな~。
「今日からやるのは!」
「はい!」
「『蛇』です!」
「『蛇』?」
「動きが蛇に似てることから名付けられました!」
「誰が名付けたんですか!?」
「それではやっていきましょう!」
流石に無理があるんじゃない?絶対バックに誰かいるでしょ。
「まずここに鉄の塊でできた棒が3本あります。
これを蛇のように動かし、家中の決められたコースを走らせます。速さじゃなくて蛇っぽさを意識してください。以上!」
「はい!...無理じゃないですか?」
「すぐに無理って言う癖を無くしましょう!ほらやる!」
「頑張りま~す」
ガッチガッチの鉄の棒。まず曲げるのが難しい。
しかも曲げるとカックカクになる。
とりあえず1匹からやろう。
「師匠は出来るんですか?」
「余裕よ余裕」
母さんはそう言って12本の鉄の棒を取り出して、ウネウネと動かし俺を取り囲んだ。
「やめて!キモいキモい!」
「蛇っぽいでしょ?」
「それもあるし、それを軽々と出来る腕前もキモい」
「親であり師匠に向かってキモいはないでしょ」
母さんはそう言って俺の腕や足に蛇を巻き付かせてきた。
ヒィィィキモい!硬いし!鉄臭い!
母さんが動かすのを止めると、蛇は完全に鉄に戻った。
「あの、師匠、体が動かないんですけど」
「自分で解除しなさい。これは罰よ」
...解除するまでに3時間もかかりましたとさ。
─
『蛇』や個人練習をして思ったんだけど、遠藤さんめちゃくちゃ強いんじゃない?
だって俺の全身を制御して、浮かせた石も止められた。
てかよく石何個も浮かせられたな俺。まあ焦ってたもんな。
それはそうとして、あれだけ制御しておいて、まだ余裕があるように思えた。
遠藤さん怖っ。てか女超能力者怖っ。女しか知らんけど。
学校ではなるべく母さんとの特訓のことは考えない様にしてるけど、もしかしたらバレてるのかも知れない。
もっと強くならなきゃな...『蛇』をマスター出来ればもう1つ上のステージへいける気がする。
もっと練習しなきゃな。
─
出来ない。全くだ。数を1匹に減らしてもらったけどそれすらできない。非常に厳しい。
母さんのを解除した時は、カクカクと徐々に1匹ずつ1パーツずつ解除していったので、練習になってなかった。
「なんかコツとかないの?」
「うーん、蛇の動画とか見てみたら?」
「...ちょっと見てくる」
完全にいき詰まってるな~。シロヘビ可愛い。
鉄をコントロール出来ないんだよな~。アナコンダ怖い。
へー鉄って溶かすとこんな風になんのか。デロンデロンだな。
─
めっちゃ時間無駄にした気がする。あなたへのおすすめに手を出してはいけなかった。テニスの動画が面白いんじゃ。
蛇の動きは大体理解出来た。全身が筋肉だからカクカク動かないんだな。再確認しました。
なんかこう、全体が、こう、そうそう、うん?無理かな...
もっとほら、ヌルヌルッと?グネグネッと?なんかさっきの動画と違うな。蛇はもっとしなやかなイメージだ。
こう、スルスルッと?...お!それっぽく出来た!
スルッと、しなやかに、かっこよく!おお!出来てる!
蛇に熱中してると床にポタッと何かが落ちた。
汗か?流石に集中しすぎたか。
...いや、赤い。血だこれ。鼻から出てる。
こんなこと初めてだ。ヤバい、頭が異常に痛い。
今までにない、中から破裂しそうな感じがする。
鼓動に合わせて、脳がどんどん膨らんでいくような気がする。
や...ばい...。死..ぬ...。
俺は辛うじて頭を守り、床へ沈んでいった。




