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星騎士  作者: ぱんだまる
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終章:星騎士の嘆き

私はその光景をみた時、喜びよりも悲しみが体中を駆けめぐっていた。


現世との決別。神王陛下からそれを求められた時、

私は親友であるファルナの命を奪うことはできなかった。


ファルナの存在こそが私の、現世の楔だということなのだと思った。

カナート君は叙任を一度も経験していないといっていたが

彼は無意識のうちに公騎の片鱗すら見せていた。

1000年前の星魔大戦においては、生まれながらに騎士位を授かる者がいたそうだ。

かのラオール神王も生まれながらに騎士位を授かっていたという。


だから、彼がすでに公騎の位をえていた、といわれても

私はそれ程驚かなかったと思う。

私が驚いたのは、彼にとっての現世の楔とは私なんじゃないか、という

少なからざるうぬぼれがあった。


私のために国を捨て、かつての同胞と戦うことを決意してくれた。

新たな地で私を支え、共に戦い、苦楽を共にした。

私の楔であったファルナに対する思いも、彼がいると収まり、私は

現世の決別とはまた違った道を目指そうと思えるようになった。


そんな私にとっての、新たな可能性となるべき、その君が。

私との繋がりをもったまま、現世との楔を絶つことができた。

それが、何よりも悲しく、何よりも切なかった。


星騎士とは、この星に迫る数多の魔から人々を護るための存在。

しかし、神がその力をふるうために与えた条件は厳しく、

その可能性をもった者が生まれることすら希であるという。


そして、可能性をもっていても、現世との決別ができず

千年に渡る時を生きる資格を神から認められず、可能性のまま終わるのだという。


現世との決別というのは、人それぞれ異なり

条件を満たすのは非常に難しいのだという。

ロミーネ大将のように、親しい人の死が引き金になることもあれば、

そうでないこともあるという。


カナート君の場合、単純に母親が死んでも決別はできなかったそうだ。

母親からの拒絶。これが決別の条件であったという。

彼は心の奥底で、母親と血がつながっていないことを自覚しながらも

それを自分で認めることができていなかったのだろう。


そして私も。

私も仮にあの場で親友の命を奪っていたとしても。

私は現世とは決別できなかったというのだ。


私の決別はそう・・・最愛の人からの拒絶。

それこそが、私の現世の楔だったのだ。


いま、現世と離れた今だからこそ、その楔に気づき

その楔の大切さと、二度と手に入らぬ想いに、涙にならぬ涙を流していた。

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