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流転の國 vol.1 〜突如として世界を統べる大魔術師になった主人公と、忠実で最強な配下達の物語〜  作者: 川口冬至夜


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番外編 道中

『クロス』が流転の國に向かっている道中のシャドーレとバイオの会話です。

十年前は殺しかけた相手ですが、再び国王陛下の信頼を得たバイオに対し、シャドーレも態度を軟化させ、今では気の置けない間柄になっているようです。

「シャドーレ、聞きたいことがある」

流転の國へ向かう途中で、バイオがシャドーレに話しかける。

「その髪は一体どうしたんだ?」

栗色の長い髪を風になびかせ、バイオが訝しげに訊ねる。

顔は紫色のベールに包まれたままなので、表情はよく分からないが。

「男のように短く刈り上げてしまうなんて、何かあったのか?事故とか…」

バイオは不慮の事故でシャドーレが髪を失くしたのではないかと心配していた。

最後に会った時のシャドーレは確かにロングヘアだったのに。 何があったんだろう。

バイオは自身の持つ栗色の巻き髪が自慢だった。顔は見せられないが、ベールの下から長い髪を覗かせ、それを褒められるのが嬉しかった。それがこの世の女性の常だとバイオは思っている。

「いいえ、私が望んで切ったのよ。ダーク隊長と同じように短くして欲しいと頼んだの」

シャドーレは嬉しそうに言う。

「私、実はずっと髪を切りたかったのだけれど、最近になってようやく気付いたの。今の私は貴族の娘ではなく、精鋭部隊に属する黒魔術師なのだから、短髪にしても許されるのではないかってね」

「なっ…!それでは、貴女は自らの意思で、あの美しい長い髪を惜しげもなく切り捨ててしまったというのか…?」

バイオは驚愕する。髪は女の命なのに。

「後悔はしていないのか?」

「するわけないでしょう?皆が貴女と同じ価値観を持って生きていると思うのならそれは間違いよ。私はもう髪を伸ばさないわ。…だって、この髪型が気に入ってるんですもの」

バイオにはよく理解出来なかったが、髪を切ったシャドーレはいつもより輝いて見える。

価値観、か…。

天界も桜色の都も偏った価値観に支配されているから、バイオに理解出来なくても仕方がない。

バイオは晴れ晴れとした顔のシャドーレを見て、女にも短髪は似合うんだな、と思った。

無論、真似しようなどとは微塵も思わないが。

ともかくもシャドーレが事故にあったのではないかという心配は杞憂だったことに気付き、バイオは安堵する。

「シャドーレが嬉しそうだから、安心したよ」

「ありがとう、バイオ」


昔、ともに先代王に仕えた二人。

片方は裏切り、それを見抜かれ、悲劇に襲われた。そして、現国王に救われた。

片方は裏切りを見抜き、命を賭して国を守った。そして、引き続き王家に仕えた。


今、ともに現国王に仕えている二人。

今後の運命を握ろうとする者。

今後の運命を知らされていない者。

二人の間の距離は広がっていく。

二人の運命は違う方向へと進み始める。


もうすぐ結界まで辿り着く。

流転の國で全ての運命が決まる。

髪は女の命……。

桜色の都でも、天界でも、常識は同じ。

だが、それでもシャドーレは断髪したかったし、今の姿を気に入っている。

バイオは嬉しそうな彼女を見て、不思議に思いながらも安心する。


流転の國に着くまでの間に交わした二人の会話。

道中はこんなに穏やかだったのに…。


次回、桜色の都にマヤリィ様が降臨します!

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