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俺に異世界にいく資格はあるのか?  作者: 花山 保
俺達の国を造ろう
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開戦

 窮屈なベッドからむくりと送りあがる。左右にはまだ寝ているメグミと・・・俺が起きた事に気がついて目を開けたミールがいる。小さな声で


「起こしちゃったな・・・」


 メグミをちらりと見て小声で


「もう少し寝かせておこう・・・」


 とミールに伝える。


「はい」


 とミールも小声で応える。


 キッチンに向かうと水をコップ一杯一気に飲み切り、洗面所で顔を洗う。遅くまで起きていたが疲れもない。ⅯPも回復しているし、体調も万全と言えるだろう。


 いよいよだな。予想通り相手が進んで来れば今日あたりに戦線が開かれるだろう。準備は万全と言っても何が起こるか予想ができないから注意が必要だ。今日は、自分の判断ひとつでたくさんの仲間が命を落とす・・・。


「タクミ様は・・・また、自分だけで背負うのでしょうか?」


 ミールに見透かされた・・・


「ありがとな・・・」


 ミールにそういうと照れていた。


「おはよ・・・」


 メグミもベッドから出てきた。みんなで朝ごはんにしよう。


「今日は俺が作るかな・・・何か希望はあるか?」


「う~ん。タクミが作るごはんは美味しいから何でもいいよ~」


「私もなんでも食べますわ」


「じゃあ。ベーコンエッグとフレンチトーストでも作るか・・・あとはサラダくらいか・・・スープも欲しいな」


 さっさと手際よく調理し食卓に並べていく席についた2人にできた物から並べていく・・・


「さあ。一緒に食べよう・・・」


 リラックスできるように世間話をしながら食事を摂る


『主・・・来たようだ』


 スープを口にしたときにガスターンから念話が入る。急に顔がこわばったのを見て2人の表情も変わる。


「来たの?」


「ああ・・・」


「いよいよね」


 軍議を始めるから2人も準備してくれ・・・スープを飲み干して会議室へ向かう。伝令が周り、次々と種族代表者が会議室に集まる。

 いつの間にか皆のそれぞれの座る席も決まってきた。繰り返す会議でそれぞれの役割も性格もわかっている。それぞれがそれぞれの形で戦に備えているだろうことがわかる。


「聞いたと思うが、どうやら人族の軍が街の東側に到着したようだ。間もなく開戦となるだろう。こちらは、防衛側だからどうしても相手の出方に合わせた対応をとらなければならない」


「数で劣る以上選択枝が少ないのは、仕方ない事だ」


 ロドスの返答に皆が頷く・・・


「最初の布陣は、東門上に赤隊、緑隊を配置する。物見の兵と伝令兵は、各所に待機し逐一報告を入れてくれ。黒隊は、南門上で待機だ。北門と西門は、ホクト達狼が目を光らせているからよほどのことがない限りは大丈夫だろう」


「門はすべて閉じているが、遊撃はあり得るのか?」


「難しい判断だな・・・だが、必要があれば考える程度にしておこう。今回はあくまで防衛戦だからな。相手の初手を見て臨機応変に対応する皆持ち場についてくれ」


 きびきびと各種族の代表者が会議室を退室する。誰もがしっかりとした顔をしている。


「俺達も東門へ向かうぞ」


 メグミとミールを連れ東門へ向かう。途中で避難する獣人親子から「頑張って王様」と言われたので、四次元ポケットから飴玉を出して子供の口に放り込んだ。驚いた後に見せる笑顔がたまらなくかわいい。


 東門の上に築かれた物見台は、今日のために改装強化され、弓矢避けの囲いとある程度の人数が待機できるようになっている。東門上には、ロドスやヘイスト達がすでに準備を整えて待っていた。


 門の入り口内も門が万が一破られても対応できるように二の丸を築いた。仮に内部に突入できても門上の兵が弓で包囲殲滅できるように工夫されている。少数の兵がリスクを避けながら最大の効果を発揮できるように計画してある。


「見えました。人族と思われる一団が視界に入りました」


「数は?」


 目の良い猫族の兵士に確認する


「およそ100程度です」


 100人?ずいぶんと数が少ないな・・・相手の斥候か?


 判断を迷う間に全員の視界にその姿が見える距離まで敵兵はまっすぐ近づいてくる。


「そろそろ仕掛けた罠のあたりにつくぞ・・・」


 罠は敵が集団で来てくれた方が効果を発揮するので少数の来客は好ましいものではない。


「見ろ。次々と罠にやられていくぞ」


 兵達の歓声があがる。しかし、槍に貫かれた兵士達の様子があきらかにおかしい。仕掛けた罠は、確実に相手兵士の身体を貫いているのに・・・兵士の前進が止まらない。


「おい・・・どうなっているんだ?」


 そして、疑問は不安につながり、そしてそれは恐怖へと変わる。


「おい・・・あれって・・・もしかしたら・・・」


 物見の兵士の言葉がおかしい・・・。徐々に接近してくる兵士の姿捕らえられる距離まで来たときに相手兵士の顔や姿も確認することができた・・・


「あれは・・・獣人なのか・・・」


 黒い鎧こそ来ているが・・・その頭には耳があり・・・鎧の後ろにはしっぽも見える


「俺達は仲間を・・・」


「おちつけ・・・」


 その後に続く言葉が思いつかない。腹部を貫かれてもなお迫る獣人兵たちの顔には生気もなくうつろな目をしている。まるで何かに操られているような・・・


『主・・・後ろにこちらの様子を見ている一団がある』


 確かにガスターンの言う通り、目で見えるぎりぎりのところに人族の軍が見える。


「どうして・・・」


 あまりの光景に血の気を失う仲間の獣人たち・・・まずい士気どころじゃない。


「操られておるようです・・・タクミ様・・・あのおかしな鎧を見てください。あれは人を食うております」


 ミールが獣人の兵士が着るおかしな鎧を見て教えてくれる。


「何か対応する方法はないのか?」


「残念ですが、すでにあの者達は、生きてはおりませぬ。あの鎧に食われ・・・操られる者となっています。おそらく感情も記憶もないのでしょう」


 こちらの仲間の動揺を誘い・・・仕掛けられた罠を看破する。向こうにいる指揮官は・・・何を考えている・・・。だが・・・これ以上はまずい俺が・・・


「皆話しを聞け!敵は我らの動揺を狙い仲間の身体を汚した。邪法を使い仲間の命と尊厳を奪った」


 こう言うときは


「聖なる光よ!邪なる者から仲間を救い、安らぎを与えたまえ!」


 神聖魔法を全開で放出幸い範囲が狭いので効果も高いだろう・・・神聖魔法の光に黒ずんだ鎧はまるで消し炭のように獣人族と共に消えていく・・・。


「俺は、このような非道は絶対に許さない。邪な者には我らの怒りの鉄槌を下す」


 光に包まれ解放される仲間の姿を見た獣人たちの目に再び光が灯る・・・いやこれまで以上に戦う意思を感じることができた。


 黒い鎧を着た獣人兵がこと切れたのを確認すると遠くでそれを見ていた一団が後方へ下がる。誰だ・・・この用兵は・・・

 まるでこちらの手を盗み見るかのような堅実で陰湿な用兵・・・


「相手が当たり前じゃない事がわかったな・・・。まさかあのような事を考える者が人族にいるとは考えも及ばん・・・」


「仲間の身体をなんだと・・・おもっているんだにゃ・・・」


「おおよそ血の通わない人畜なのであろう・・・」


 だが・・・相手は大きな損耗もなく・・・こちらの罠を見破り、こちらの陣容も観察することができた。こちらも罠を再設置するか?いや、どこかから観察する者がいれば意味がない。


 何かできる事はないか?相手の想像にない一手は・・・


「タクミ・・・顔が厳しいよ。みんなが不安になるからそんな顔をしちゃだめだよ」


「ああ。そうだな・・・」


 俺が不安になってどうする・・・指揮官の不安は伝達すると士気をさげるだけだ。このために色々な準備をしたんじゃないか。それに仲間を信じてやらないでどうする


「ここからが本当の戦いだ」




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「なんじゃい・・・あの顛末は・・・途中まで愉快じゃったのにな~」


 グリフォールが不満を述べる


「そうですね・・・もう少し楽しめると思ったんですが、あれは何があったのですか?」


「そうじゃな・・・わしの作った魔道具は、邪法を用いたものじゃから聖属性の魔法を使われたのやもしれんな・・・」


「聖属性ですか・・・あまりお目にかかった事はないのですが・・・」


「人族にも100年に1度くらい聖女と呼ばれる聖属性の魔法を使える者が生まれるんじゃが、わしも若いころに見たことがあるだけじゃな・・・」


「その魔法があると死属性の魔法や魔道具は使いにくいですね・・・」


「まあ・・・方法はあるじゃろうが・・・面倒に違いはないのう」


「ですが、卿のおかげで敵の街をこの目で見れた事は、私にとっても大変有意義なものになりました。今後もグリフォール卿のために素材を用意しますので準備はしておいてくださいね・・・」


「わかったと言いたいとこじゃが・・・数を揃えるには時間が足りないのう」


「いえいえ・・・今度は1つ2つもあれば十分ですよ」


「おう・・・なんか考えがあるんじゃな。よかろうすぐにでも準備をしておくわい」


「ええ。お願いしますねグリフォール卿・・・」



「さて・・・私は次の手をうつとしましょう」


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