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謎の男
その光景を、崖の上から見ている人物がいた。
「まったく。とんでもない出来損ないだ」
謎の男が言った。
「そうは思わんか?」
「・・・・・・ああ、まったくだ」
謎の男の隣にいたのは、セルナド学園長だった。
「あんな出来損ないに育てた覚えはないんだがな・・・・・・」
「どうだ、これからまだ成長すると思うか?」
謎の男が言うと、セルナド学園長が鼻で笑った。
「無理だろう。根が腐りきってる」
「同意見だ。とんだ無駄足だったってわけだ」
「私と出会えたんだ。無駄足ってことはないだろう」
セルナド学園長が薄ら笑いを浮かべながら言った。
謎の男もニヤッとする。
「まだきみの実力を確かめたわけじゃない」
「じゃあ、どうかな? 手始めにこの国を滅ぼしてみるっていうのは」
謎の男は鼻で笑うと、きびすを返した。
「やめておけ。崩壊寸前のこんな国、滅ぼしたところで何の手柄にもならん。そんなことをするために、きみをカイライ化したわけじゃない。いくぞ」
謎の男がひとり歩き出す。セルナド学園長は崖の下を一瞥してから、ゆっくりとした足取りで謎の男のあとを追った。
セルナド学園長の目は終始、白目だった。




