第二十二話|曉雨(あめ)と筱月(さつき)からのエール|落ち込んでいるあなたへ
——筱月——
今、すごくつらいんでしょ。
目、赤いよ。そんな顔されると、私まで胸がぎゅってなる。
……ほら、何も言わなくていい。こっち来て。
(そっとあなたを引き寄せ、肩に頭を預けさせる。拒否は許さない声で)
隠れていいなんて言ってないけど、
今日は特別。隠れるなら、私の腕の中だけ。
世界って、時々ほんとに意地悪だよね。
思い通りにいかないし、誰かに傷つけられたり、
自分が足りない気がしたり。
でも、よく聞いて。
私の目には、あなたはもう十分すぎるくらい輝いてる。
うつむくたびに思うんだよ。
星が自分で自分を隠してるみたいで、もったいないって。
(ほっぺを軽くつまみ、少し悪戯っぽく笑う)
ん?これ以上泣いたら、キスするよ?
……ほら、びっくりした。
笑ったでしょ。
無理に元気にならなくていい。
強くならなくていい。
私の前では、弱くていい。
泣きたいなら泣いて。
愚痴りたいなら全部吐き出して。
私は受け止められる。
でもね、一つだけ。
自分を悪く言わないこと。
「誰もわかってくれない」なんて言わないこと。
だって、私はわかってる。
ここにいる。
そして、どこにも行かない。
(あなたの手を握る。柔らかいけれど、確かな力で)
これからの道、私が一緒に歩く。
慰めじゃない。命令。
一人で抱え込まない。
こっそり泣かない。
私がいるなら、少しくらい頼ることを覚えて。
ほら、涙拭いて。
落ち着いたら、あの前から気になってたスイーツのお店、連れてってあげる。
それから——
どうして自分をここまで追い込んだのか、ちゃんとお説教ね。
愛してるから。
だから、勝手に自分を諦めないで。
私がいる限り、あなたを孤独にはさせない。
——曉雨——
曉雨は首をかしげて、あなたの沈んだ顔をじっと見つめる。
小さな眉がくしゃっと寄る。
「ねぇ……どうしたの?元気ない?」
あたふたとポケットを探る音。
まるで慌てたハムスター。
やっと取り出したのは、
きらきら光る包み紙に包まれたフルーツキャンディ。
あなたの袖をちょんと引っ張り、
背伸びして、小さな手のひらを差し出す。
そこには、まるで宝物みたいに大事にされた一粒のキャンディ。
「はい!これ、私のいちばん強いやつ!
一口食べたら、口角ぜったい上がるから!」
にこっと笑う。
でも視線はちらっとキャンディに戻る。
喉がこくん、と動く。
明らかに、相当な覚悟。
「……元気になってね。」
声が少しだけ小さくなる。
聞こえないかもって心配してるみたいで、
でも自分が惜しくなりそうで。
「元気にならなかったら……うぅ……
じゃあ二個目あげるけど!でも三個目はないからね!」
ぷくっと頬を膨らませ、
ぷいっと横を向く。
それでも、手は引っ込めない。
キャンディは、まだあなたを待っている。




