少なくとも
真田昌幸「……。」
高坂昌元「如何された?」
真田昌幸「いや躑躅ヶ崎に居る時、殿から佐久間信盛追放の話をお聞きしました。その時の内容を思い出していまして……。」
依田信蕃「どのような内容でしたか?」
真田昌幸「明智は丹波を取った。羽柴は幾つもの国を。決して禄が多くない池田も活躍している。これを見て佐久間と同じ宿老格の柴田が奮起。加賀能登を制し、越中にも兵を進めている。それに対し佐久間は何の成果を上げていない。」
高坂昌元「痛い所を突いて来ますね。」
真田昌幸「信長は佐久間に対し7ヶ国の与力を預けている。これは先に挙げた誰よりも多い。それだけ信長は佐久間を期待していた。更に佐久間には刈谷と山崎を与えている。その際、信長は刈谷山崎に居た者共の登用を指示していた。」
小浜景隆「それに対し佐久間は……。」
真田昌幸「誰一人として採用せず、全て佐久間信盛の直轄とした。」
依田信蕃「ふむ。」
真田昌幸「それでも結果が伴っていれば問題無いのだが。本願寺を降すまでの間、これと言った働きは見られなかった。故に……。」
追放とした。
真田昌幸「他にも理由はあると思われますが、今の家康にも該当する所が見られるのでは無いか?」
小浜景隆「信長は家康の働きを不十分と見ている?」
真田昌幸「可能性は高いかと。長篠から5年が経過しました。その間家康は我らから奪い取ったのは三河と遠江におていは諏方原は例外となりますが天竜川より西に留まっています。しかもその全ては……。」
武田信玄が徳川領内に攻め入った際、獲得した城。
真田昌幸「奪還したに過ぎません。そればかりか殿が徳川からもぎ取りました……。」
高天神は武田方のまま。
真田昌幸「に留まっています。小浜様。」
小浜景隆「如何為されましたか?」
真田昌幸「横須賀が拡張されたと言われますが、そこに軍船は?」
小浜景隆「正直な事を言っても良いか?」
真田昌幸「お願いします。」
小浜景隆「今いくさとなり、織田が来ないのであれば……。」
いつでも奪い取る事が出来る。
小浜景隆「大砲を積んだ船を持っている北条に比べれば造作もない。尤も……。」
北条に専念出来るのであれば、そちらも。
高坂昌元「それだけ九鬼や滝川は?」
小浜景隆「水軍力だけであれば負ける事はありません。問題は……。」
織田信長が持っている財力。
小浜景隆「皆様もそうでありましょう?」
静かに頷く一同。
小浜景隆「それにもう1つ気になっている事がある。」
真田昌幸「お願いします。」
小浜景隆「それは……。」
何故家康が高天神に固執するのかがわからない。




