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異世界の契約がガバガバすぎるので、現代知識で国家を回します  作者: 鱈場蟹


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第1話:約束が消える世界で、俺だけが“責任”を残した

俺の名前はカズマ。サラリーマンだ。


法務部で契約書ばっか見てた。


ブラック企業だった。


ある日、いつも通り揉めてた。


「この契約、危ないです。絶対後で揉めます」


上司は笑った。


「大丈夫だって。相手も分かってない」


――で。


普通に揉めた。


普通に負けた。


そして、なぜか俺の責任になった。


「は?」


理屈も証拠もあった。


でも、上の一言で全部ひっくり返った。


(ああ、これだ)


“ルールがあっても、守られなきゃ意味がない”


そう思った帰り道。


気づいたら、光に包まれてた。


「は?」


次の瞬間。


知らない場所に立っていた。


石畳。木と石の家。知らない空気。


「あー……」


一瞬で理解した。


「異世界か」


テンプレすぎて逆に冷静だった。


――で、すぐに分かった。


この世界、もっとひどい。


「払ったって言ってるだろ!」

「受け取ってない!」


男が二人、怒鳴り合ってる。


周りは野次馬。


誰も止めない。


「昨日、銀貨十枚渡した!神に誓う!」

「俺も誓う!受け取ってない!」


……なるほど。


“証拠ゼロ、誓い頼り”


俺は少し近づいた。


「それ、どうやって決めるんだ?」


二人がこっちを見る。


「誓った方を信じるしかないだろ!」


「じゃあ今は?」


「だから揉めてんだよ!」


周りも口々に言う。


「神官呼ぶか?」

「金かかるぞ」

「どっちも誓ってるなら分からんな」


(終わってるな)


思わず笑いそうになった。


“証明がない世界”


“記録がない世界”


“責任が消える世界”


――ブラック企業以下だ。


「ちょっと貸せ」


近くに落ちてた紙と炭を拾う。


しゃがんで書く。


・名前

・金額

・期限

・守らなかった場合の罰


それだけ。


「ほら、読め」


商人が紙を睨む。


「期限までに銀貨十枚……守らなければ二十枚……なんだこれ」


「約束だ」


「もうしてるだろ!」


「してねえよ」


はっきり言った。


「それ、“言っただけ”だろ」


空気が止まる。


「残ってない約束は、約束じゃない」


誰も反論できない。


「これに名前書け。二人とも」


農民が眉をひそめる。


「名前だけでいいのか?」


「ああ。ただし――」


紙を指で叩く。


「破ったら損するようにしてる」


「……二十枚」


商人の顔が歪む。


「高いだろ?」


「当たり前だ。守らせるための約束だからな」


少しの沈黙。


やがて、商人が名前を書く。


農民も続いた。


「……これで終わりか?」


「終わりだ」


「守らなかったら?」


「倍払う。それだけだ」


シンプルだ。


でも、この世界にはない。


「そんなので……」


農民が呟く。


周りもざわつく。


「紙で……争いが終わった……?」

「証拠が残る……?」


違う。


終わってない。


“始まった”だけだ。


(これで逃げられなくなった)


どっちも。


“責任から”


俺は立ち上がる。


そのとき。


「おい」


低い声。


振り向くと、鎧の男。


周囲が一歩引いた。


「今のは何だ」


「見てた通りだ」


「違う」


一歩近づいてくる。


「“あのやり方”だ。どこで覚えた」


鋭い目。


完全に警戒されてる。


まあ当然だ。


この世界にない概念だ。


「仕事だよ」


「仕事?」


「約束で金を動かす仕事」


通じてない顔。


――確信した。


(やっぱり無い)


契約が。


法律が。


仕組みが。


「……面白いな」


思わず口に出た。


この世界、


“ルールが存在しない”


なら――


(全部作れる)


契約も。


罰も。


仕組みも。


「お前」


鎧の男が口を開く。


「その紙、見せろ」


来たな。


権力側。


俺は紙を差し出した。


男は目を通し――


一瞬、止まった。


「……これを考えたのはお前か」


「ああ」


沈黙。


次の瞬間。


「――連れていけ」


周囲がざわつく。


「王に報告する」


やっぱりな。


俺は抵抗しなかった。


むしろ、笑いそうになる。


(早いな)


思ってたより。


ずっと。


「ちょうどいい」


小さく呟く。


“個人の揉め事”じゃ足りないと思ってたところだ。


国単位でやるか。


法律がないなら――正しさもない。


つまり、俺が正しさを作れるってことだ

もし面白かったら、評価やブクマしていただけると励みになります!次回、王登場!?お楽しみに!

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