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あの日消えたみんなが配信をしている件 〜集団失踪者のダンジョン攻略、コメントだけが命綱です〜  作者: にぎりウニ


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【#8】冒険の準備をしてみた

 残ポイント2800。いや食材の単発購入でお代わり込み700ptを使っているので俺たちの生命線は残り2100ptとなっている。まだまだ多いように感じるかもしれないが、丁度やりたい事や欲しい者を1つ叶えたら他は我慢せざるを得ない絶妙なラインなのだ。


「よし、やっぱり俺たちが今どこにいるのか現状把握が大事だよな」


 レベルがあるパターン、ステータスがモノをいうパターン、スキルが先に来るか技能習得にスキルの名前がつくのか。俺のファンタジー脳はありとあらゆるパターンに備えている。

 どんな形でもいいので、とりあえず足場を整えない事には先行きも不安だという事だ。


「ダンジョンデバイスを購入しようとおもう」


「なんだそれは? 悠真の元居た所?ってのにあったのか?」


「いや、ここに来てのファンタジーアイテムとなる。似た形状の物はあったが、これはどうやら俺たちの能力を測れたり、マッピング……まぁつまり歩いた道を覚えたり色々出来るらしい」


 まぁ、アプリ(VP課金)を入れればの話だが。

 ステータス確認は最初から揃っているし2台ダンジョンデバイスを購入する事が通信機能の解放条件らしいので、買ったけど使い物にならんという事はなさそうだ。


 部屋のノートパソコンに向かい、とりあえず1台購入する。そのあと初回購入価格が切り替わり1000ptに跳ね上がった2台目を続けて購入。

 そう、今回は2台購入する事にしたのだ。残り1000ptの使い方は既に決めてあるので、マッピングの重要性は理解しつつも、レオの探知能力がある事、そして配信さえすれば食うに困らない事を考慮して先送りにした。


「これがダンジョンデバイス。通称Dデバイスというアイテムらしい。こっちはお前のだ」


「え、オレのもあるのか! やった!」


 俺が渡したスマホもどきを受け取ると、レオはぴょんぴょんと跳ねてそれを掲げ喜んでいる。まだどんなアイテムかも説明していないのにだ。

 まぁ最近は小学生にもスマホを持たせると聞いたしな。うん。もしレオとダンジョンの中ではぐれてしまった時、アイツは探知能力があるかもしれないが、俺にそんな人外要素は備わっていないのだ。合流できる確率を上げるため、通信機能に頼ろうという魂胆だ。べっ、べつに私のためじゃないんだからねっ!

 セルフツンデレである。昨今の最新型オタクはコスパがいいのだ。ちなみに間違ってもレオのため等でもないし俺はそんな善良ではない。って誰に言い訳してんだか。


「よし、レオそれ持ってあっちの部屋にいってこい」


 とオレはキッチンを指さした。レオは素直にキッチンへ向かう。扉がしまった事を確認し、俺はデバイスの画面に視線を落とす。あれ、そういえば連絡先交換とかってする必要あるんだっけ。

 すっかりそんな文化から久しいので忘れていた。と、思ったが見覚えのあるような緑のSNS通信アプリがあったので開くと一番上に一件だけレオの顔を模したアイコンがあった。

 ほぉ~チャットなんかも出来るのか。まぁあんま出番も無さそうだけどな。と、ひとり納得しながら通話ボタンを押下する。


「うわっ! なんか音なってる!」


 キッチンの向こうから慌てた声がする。


「落ち着け。受話器の緑色の方をちょんと押してみろ」


「ジュワキってなんだ! 緑だな?」


『このボタンか?』


 デバイスと扉の両方からレオの戸惑う声が聞こえてきた。どうやら成功らしい。


「あぁ、そのボタンであってるぞ」


「う、うわぁ!!」


 ガシャン! バキ! ドタドタ、ガチャ


『「お、おい!なんかここから悠真の声がしたぞ」』


『「そういう機械なんだよ。これでダンジョンではぐれてもなんとかなりそうだな」』

「まぁ素直に使える所ばかりじゃないだろうがな」


 俺は通話終了のボタンを押しながら答える。これが創作ならば当たり前のように通信遮断部屋なんかがあったりする。一応警戒しておいてもいいだろう。まぁ対策なんて出来ないからパニくらない心の準備だけだが。


 で、メイン機能であるステータスだな。と自分のデバイスに再び視線をやって”ステータス”と書かれたアイコンを押下した。


 榊悠真とレオンハルト・ディア・アルシオンという項目が縦に二つ並んでいる。

主人が眷属のステータスも見られるのか。と思いながら一先ず自分のステータスを開く。


名前:榊悠真 Lv4

種族:人間

職業:なし


スキル

短剣術Lv0、盾術Lv0


特殊

鬲ゅ?蜿ッ閭ス諤ァ

※さらに詳細なステータスを閲覧しますか? VP500


 ふむ、なるほどな。つまりこの場合はレベル制で、スキルは使った技能がスキル化する方の世界という事が予想出来そうだ。文字化けスキルについても今はいいだろう。使えないなら無いのと同じだ。また、詳細のステータスは今はVPが心もとないので我慢する。

 続いてはレオだ。俺は画面を戻し、同じようにレオのステータスを開く。


名前:レオンハルト・ディア・アルシオン Lv3

種族:ヴァンパイア

職業:魔法拳闘士


スキル

格闘術Lv10、氷魔法Lv6


種族固有技

闇魔法


 なんだか、別に新しい情報もないな。レオと俺の妙なレベル感も前回の探索と最初に討伐した1体とかの差だろう。闇魔法にレベル表記が無い事が気になるが、戦いの指示で細かい技能を指定した事は無いので、今は本人の利用に任せる方針でいいだろう。

 細かい連携を決めようって時に考えよう。にしてもコイツ……なんだ魔法拳闘士って。ヴァンパイアで魔法拳闘士……カッコイイなちくしょう。俺なんか職業なしだよ? なしって、いや、そうなんだけどさ。


「まぁいいや。ふむ。大体の事はわかった」


「なにが分かったんだ?」


「VPを稼がねばならないという事だ」


「それって今までと違うの?」


 違わない。うるさいガキだな。VPないと詳細なステータス見られないの! 前から思っていたが、こいつの純粋な疑問って鋭く刺さるよな。そういう傷は痛みは少ないが血が多く出るものだからやめてほしい。ヴァンパイアの本能なのか? コイツにはそのうち時間をとってツッコミの妙味というものを教えねばならないな。


 まぁ今は見逃してやる。俺は残った1000ptでやりたい事があるのだ。掲示板で見たこれは取っておけシリーズ常連『魔法』である。

 ファンタジーの世界に来たならばコレだ。曰く魔力というステータスの値を利用するとの事だが、何もしていない来たばかりの時に獲得しても一般的に数発は打てるとの事だ。

 才能などの依存もなく、純粋に熟練度などの影響が大きい技術らしい。


「そんな情報を得て、俺が目を付けたのはコレだ!」


 ポチポチ、購入。いつもの箱に何かが現れるシステムではなく、スゥと自分の身体を抜けるように何かが通ったような感覚を覚える。風吹いた?


「今度は何買ったんだよ」


「ふっふっふ。実はだねコレなのだよ」


 と、指先に光の玉を灯す。そう俺が手に入れたのは光魔法である。なんだか勇者だとか主人公っぽい感じがするし、ビームとか撃てれば盾職はもう卒業出来るのだ。


 掲示板はプレイヤーの知識ごとに見られる情報を制限している謎高クオリティ検閲を採用しているので知れる範囲は少なかったが、熟練次第で回復魔法が使える属性である事は分かっている。


 現代人がこんな野蛮な所でケガしたりするの普通に心理的なダメージも大きいしな。何より医療が存在しないのである。目の前でこの子供がケガだの風邪だのに侵された時、俺は知らん顔する事も看病する事もどちらも遠慮したい人間なのだ。これはあくまでも自衛である。


 指先の光の玉は魔法習得の瞬間に使い方が分かった。特に詠唱なんかは必要ないがイメージ発動らしい。形とかも少し自由に出来そうな事から、魔法発動やレパートリー拡張において熟練が必要というのは、こういう事なのかも知れない。しかし俺は一つ疑問がある。


「おぉ! 悠真も魔法使えるようになったんだ! 他には?! 他には何が出来るんだ?!」


 そう。この光球以外の発動方法が分からないのだ。つまり先ほどの仮説通りなら、今はこれしか出来ないという事なのかもしれない。


「ま、まぁそれはいずれ見せてやろう。今は秘密だ。」


「へぇ〜! 分かった! 悠真が勿体つける時はすごいもんな! オムライスとか、さっきの電話とか」


「ぐっ……まぁいいや。明日もダンジョンだ! 余計な事忘れてさっさと寝るぞ。

お前あの布団使っていいから」


「いやいいよ! 悠真が使えよ」


「俺はいい。情報収集がてら掲示板をみる仕事がある。子供ははよ寝ろ」


 ぶつくさいう吸血鬼を煎餅布団に無理やり押し込んでパソコンの元に座る。ったく、本当に面倒な眷属を当てたな。俺にとってはやっぱりコモンだっつの。勿論、高貴なって意味じゃないぞ。

 自分の身体を卓袱台と壁で挟む用に位置取り、俺は疲れた身体を少しでも楽な状態にして、初日の情報を眺めるのだった。


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