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十二湖は、今日も蒼い ―八峰 遥の天運―  作者: 菜乃花 薫


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エピローグ:二人の優雅な生活?

「おはようございます、遥さん」


全方位可愛い陽菜ちゃんが、朝食の支度をしながら振り返る。


『遥、起きたばかりで悪いのだが』


カールがいつもの口調で、さらっとよろしくないことを告げようとする。


「もうお金の話はお腹いっぱいなんだけど?」


『まあ、それに近い話かもしれないな。君の所属するN-BaRC(エヌバーク)は一般企業からの依頼も受ける、そう認識しているが合っているか?』


「そうね、企業との合同プロジェクトもあったりするわ」


『それで君を囲い込むことは可能か?』


「どういうこと?」


『簡単に言えば、海外宝くじの当選金2000億、これを国内に持ち込もうとすると手取りが半額以下になってしまうのだよ』


「半額だって1000億とかでしょ?それでまだ足りないって言うの?」


『いいや』


カールが入ってるスマホには、簡単な図が示されていた。


『足りる足りないではなく、最高効率で資金を回したいだけだ。そしてそれを考えた結果はディスプレイにある通りだ』


画面にはいくつかの企業名とそれがある国、それらが出資者兼依頼者としてN-BaRCに私を指名してのプロジェクトを立ち上げることが書かれていた。


「これで、どうするわけ?何を調べるの?」


『これで君は仕事として堂々と他の大罪を調べることが出来るようになる』


「ん?私はあまりかかわりたくないわよ?」


カールと深凪のような性格ならまだしも、他の大罪がどんなAIでどんな人を選ぶのかは全く分からない。


『私もそう願っていたが、どうもそうはいかないようだ』


スマホの画面が切り替わり、ネットニュースが表示される。


「十二湖周辺で店舗と車上荒らし多発」


「梵珠山付近の住宅で押し込み強盗多発」


「新郷村にてコンビニ強盗連続発生」


『見ての通り、ここ数週間で犯罪が多発している、しかも私や深凪、system-E.V.Eそれぞれがある自治体でだ』


「……偶然、じゃないの?」


『私もそう思いたかった』


画面が切り替わり、他にもいくつかピンが打たれた地図が表示される。


みろくの滝、寒風山、黒又山。


「観光スポットよね。行きたいの?」


『いや、これらも急に車上荒らしや強盗に遭ったと出ているスポットなんだ』


「全部行ったことあるけど、あんなとこで強盗?」


『強盗とは言うが、目的があるのだと思う』


「目的?」


少し間を置いてカールは静かに言った。


『恐らく、他の大罪を探しているのだろう』



「私もだけど、陽菜ちゃんの身の安全も確保しなきゃ」


陽菜ちゃんと深凪も同席して話し合いをする。


『護身術なら陽菜はかなりのものになるはずよ。むしろ遥さんのほうが危ないわ』


「私は深凪姐さんのお墨付きですから大丈夫で、それより遥さんですよ」


話を聞いていたカールがこう切り出した。


『いや、陽菜と深凪姐さんも油断はしないほうがいい。相手は恐らく殆どのリミッター解除をされていると思う』


そう言って表示した画面には、時系列順に並んだ被害者数と状況が書かれていた。


「……うん、陽菜ちゃんを想像していたらまずいわね」


”被害者13名、うち重傷者6名”


『理性がないのか、それとも敢えて被害者を出すようにしているのか。いずれにしても君達二人とは状況が異なるのは確かだろう』


「人に危害を加えてまで大罪を探して、何をしたいのかしら?」


『現時点では不明だが、他の大罪を探して犯罪をしているなら、”私達”すべての居場所を把握しているのかもしれないな』


「それは……あんたたちの居場所、ってことよね?」


『恐らくは。流石に遥や陽菜の居場所までは特定してはいないと思うがね』


「でも、だったらなんであんたたちの近くで犯罪犯してるのかしら?」


『アピールじゃない?自分はここにいるぞ~、ってな感じで』


「深凪?そんなのをあんたたちの仲間が選んだってわけ?節操無さすぎない?」


『遥は幼少期の事故、陽菜は野生生物襲撃。そういった偶然で選んだ可能性もありえるぞ』


「それがヤバい奴だった、ってこと?適合さえすれば犯罪者でもいいって訳?」


『選択をするのは担当している仲間だ。私や深凪でも違うのだからありえなくはない』


犯罪者が陽菜ちゃん以上の能力開放状態で襲ってきたら。


そう考えるとぞわっとするものが身体を走った。



「コーヒー、どうぞ」


陽菜ちゃんが差しだしてくれたカップを受け取り、礼を言う。


「ありがと。陽菜ちゃんは学校、私は勤め先。お互い別の場所にいるわけだけど、もしその間に襲われたとしたらどうしようかしらね」


『遥、君は今の勤め先や業務内容に愛着はあるか?』


「なに?藪から棒に。

そうね、オカルト好きとしては歴史的遺物の調査っていろんな想像が出来て楽しいわよ。

結構自由に動けているしね」


『仮にだ、一般企業に出向という形で埋蔵物調査部門を作るための指導とN-BaRCの橋渡しをする、というのは君にとってどう見える?』


「随分具体的ね」


カールの設定に乗ってみる。


「そうね、今は自治体からの依頼で動くことが殆どだけど、民間だともしかしたらいろいろ制約が変わって動ける範囲が広がるかもしれないわ。

あと、指導者ってのも今のうちに経験しておくのも悪くはないわね」


『なるほど。では陽菜は遥の下でボディガード兼遥の手伝いや実家との連絡や実務を行うとしたらどうだろう?』


「なに?あんた陽菜ちゃんに仕事させるつもり?学生さんよ?」


『陽菜さえよければインターンとして所属してもらって、仕事兼単位取得の一助にもできる。時間があればオンライン授業で単位も取れるだろうし』


「インターンなら学校を通してもらえれば単位も簡単に取れますし、遥さんと一緒に居られるならうれしいです」


「ありがと。ところであんたは何をどうしようと企んでるわけ?さっきのプランと違う話をしてるけど、どこかの会社を買い取るの?」


『既に私のコントロール下にある海外企業から安潟組にオファーをさせてジョイントベンチャーとして起業させる。遥はそこに出向、陽菜はそこでインターンとして所属してもらおうと考えを改めた』


なんか、とんでもないことを言い出したわよ、カール。

遥と陽菜の同棲生活は、職場までも一緒になりそう?


ニュースで流れる不穏な事件の裏には大罪AIが?


そして、二人とAI2機が予想もしていなかった新たな大罪も現れる。


次章

「縄文遺跡に、陽が昇る ―八峰 遥の狂運・響運―」


鋭意製作中。

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