3.タブレット
SNS。昨今、「こんな年寄りが?」というところまでその文化は広がっている。だから「今どきの若い者は…」と言うのはどうなのかとも思うのだけれど、娘夫婦は揃ってしょっちゅうスマートホンでゲームをやったり、Uチューブを見たりしている。子供から目を離してはいけないのではないかという場面でさえ、スマートホンとにらめっこをしている。私もフェイスブック程度はやるのだけれど、一日の中でほんの数分だ。そんな夫婦の子供がスマートホンとやらに妙味を示すのは当然なのだろう…。
床に寝そべって両手で頬杖をついて彼女が見ているのはタブレット。Uチューブで子供向けの番組を見ている。一つが終わるか、面白くなくなった時は指先で“ヒュン”と操作する。まだ1歳半の彼女がだ。親にしてみれば、タブレットを与えておけばおとなしくしているからということなのだろうが、私は彼女の今後のことを想像すると、怖い気もする。
お気に入りなのはNHKの子供番組で、中でも歌や体操のコーナーは特に気に入っているようだ。彼女も画面を見ながら一緒に踊る。その姿は子供らしくてとても可愛い。ただ、見ているのはタブレット。テレビと何が違うのかと問われれば、答えに困る。
よその家がどうなのかは判らないけれど、今どきの子育てはこういうものなのだろうか…。
そんな彼女のそばで私はテレビを見ている。すると、彼女が私の手を取ることがある。どうしたのかと思ってタブレットの画面を見ると、どこか変なところを触ってしまったのだろう。広告だか宣伝だかの画面になっていたりして、いつもの“ヒュン”が出来なくなっているのだ。元の画面に戻して欲しいのだろう。彼女は大人の指で“ヒュン”とすれば元に戻るのを知っている。但し、それは彼女の母親や父親になら造作もないことなのだろうが、私にそれを求められても困る。色々いじってみてもなかなか戻らない。待ちきれなくて彼女が癇癪を起こし始める。これはまずい。一旦電源を切って再起動する。トップ画面の中にそれらしいものがあった。
「おー」
彼女は機嫌を直して再びタブレットの前に寝転がる。両手で頬杖を突いて画面を見る。その姿は可愛くも思えるのだけれど…。
好きな歌が始まると立ち上がって歌のお兄さんと一緒に踊り出す。ご機嫌だ。
私もタブレットの操作方法を勉強しなければならないのか…。それよりも外に連れ出して広い公園でのびのび遊ばせたいのだけれど。