第8話
レイをキツく抱きしめる。何故そうしたかったのかはわからない。唐突に腕の中に閉じ込めたくなった。それだけ。少し照れくさくなって、1人にしてしまった事についての詫びと言う事にしてしまった。
抑えきれなくなって、レイの頭の上に頬を乗せる。暖かいなぁ……。
「エイト……、もう大丈夫だよ?どうしたの?」
は、しまった。レイに嫌がられてしまったら最悪だ……!
慌てて退くとレイは不思議そうな顔でこちらを見ている。こうしてみると自分とは真逆の存在だ、という事を痛いほど感じる。太陽のようなオーラを纏って、まるで天からの御使いのようだ。つまり、天使みたいだ。
対象的に俺は周囲を険悪にする悪魔だ。それなのになおレイに近づいてしまう、そういう所がもう悪魔なんだろう。
今すぐにでも汚して、堕天させて、自分のモノにしてしまおうか……?
っておい、何考えてんだ俺。これじゃただの犯罪者じゃねぇか……。レイにはレイの人生があるんだから、悪魔様はお呼びじゃねぇんだよ。と言うか…………。いや、なんでもない。
そういえばナインはまだ寝てるのか……?あいつはお人形みたいな感じだよな。サラサラで大人しめな濃紺の髪、レイより少し暗い青のクリクリとした瞳、小さくて、ふにふにした唇。いや触れたことはないからな?そんな変人じゃないからな!?あ、あとあの眼帯とって見たいなぁ。本人曰く視力に異常はないらしいし。
そういえば、よっちゃんもナインもレイも、美形揃いだよな……。俺はそこまでじゃあないんだけど、皆2次元から出てきたのかってくらいの、現実にこんな完璧な容姿はあり得るのかっていうくらいの美貌だ。いるだけで光がさすような……。と言うかこんだけ綺麗なのに全員精神病持ちってなんかすごく妙だな。偶然か、それとも……。
いやいや、ありえないな。あのピエロットはムカつくことはあるけど、神様ではない。