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8番目の精神病患者  作者: フロード【fload】
PROLOGUE
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序章

 ズキズキと痛む頭を抱え少年は身体を起こす。

桜本 和也(さくらもと かずや)。年は15。黒髪に赤い目、(しかも童顔)と言う容姿のせいで小さい頃からいじめられてきた。


「ここは…どこだ?」


 見渡す限りグレーの部屋には見覚えが無く、部屋の真ん中に丸いテーブルに付属の椅子、簡素なベッド、ロッカー、クローゼット。ロッカーの中に生活に必要なものはある程度あるようだ。…っていうかベッドがあるならベッドに寝かせてほしかったな……


 壁に四角い穴が開いていて、ここから何か出てくるようだ。照明はないくせに明るい。窓もないから不気味だ。それと、真っ黒なドア。鍵はかかっていないようだ。


 そういえば来ている服にも見覚えがない。部屋より少し明るいグレーの半袖のシャツの袖口から見える腕、それは紛れもなく自分のものだが、左腕の二の腕の外側あたりに、赤い(アザ)の様な感じで、『08-KS』と刻まれている。

この『KS』と言うのはイニシャルだろうか…。それにしても数字には全く心当たりはない。誕生日でもない。


 ふと視線を落とすと両手首には見慣れない機械がついている。まるで手錠のようだが、両手首は連結されておらず、ただのゴツい腕輪にしか見えない。ゆとりはあるが、外れない。さらに左手首から肘にかけて包帯が巻いてあるが、結び目がないのか、外れない。


 黒い膝下丈ズボンもまた見覚えがない。しかも、手首についていたのと同じ様な足枷?が両足首についている。さらに裸足。


 右手が首元に伸びて、硬く冷たい物に触れる。つけられてから長い間経っていたのか違和感が無いので気づかなかった。多分手首と足首につけられていたのと同じなんだろうか。


 ふとテーブルを見ると、手のひら台のタブレット端末がおいてあり、タップすると機械的な声で喋り出す。


『こんにちは、精神病患者(メンタルペイションツ)!貴方は8番目かな?ここでは貴方は不自由だ。あぁ、かわいそうに!』

「誰だよ…ていうか、出せよ」


おちゃらけた様子の声は嘲笑うように続ける。


『それはできないよ、君たちは現実でも囚われの鳥…かごが変わっただけさ〜!』

「たちってことは他にも誰かいるんだな?」

『おっと、口が滑った。このゲームの説明をするよ?いいね?』

「誰、何、帰れ」

『いやここはワタクシの家ですから!多分。ワタクシは…そうですねぇ、クラウンとでも呼んでいただきましょうか!

それでは説明しますね〜!まず、ここではあるゲームをしていただきます!ルールは簡単。死んだら負け、それだけです♪』

「…は?」

『だから、命を賭けろっつってんだよ、黙れ』

「……っ!!」

『まぁまぁ♪勝ったら何もない、と言う訳ではありません!最後の1人の方はもれなく…!自由と金、名声、権力!なんでも欲しいものを差し上げます!さらにさらに〜!

皆様を苦しめている精神病、無くして差し上げまーす!』

「…精神病?」

『そうです!ここにいる人全員に何らかの障害があります!君は精神病には詳しいみたいだね〜!独学で勉強してたのかな?』

「俺は精神病じゃない」

『そう思いますよね、思いたいですよね!ですが、忘れているだけなのです。かわいそうに…』

「いちいちムカつくやつだな…」

『酷〜い!ま。もう1つルールを言いますよー?それは、名前を知られたら負け、でーす!つまり死んでもらいます。正式には、他人に名前を呼ばれたら死にます!パチパチパチパチ!』

「…あ?」

『偽名を教えるも良し、数字で呼ぶも良し!でも、名前もわからない人間なんて信用できないですよね、そうですよね?!

殺し合いもいいですけどー、つまんないですからね、もう1つ、追加ルールです!誰かの本名を初めに呼べたらポイントを差し上げまーす!イェーイ!逆に、誰かに手を下すとポイントが減ります!

ポイントがマイナスだと…1時間で死にます!更に、最後の1人でも現実に帰れませーん☆なんて残酷な〜!でも、ポイントがプラスだとその分有利にゲームを進めるアイテムを差し上げまーす!!』

「んな、馬鹿な…」

『君も、注意した方がいいよ〜!なんたって、アレなんだから!はっ、ワタクシは次の方の相手をしなければ!じゃーねー!』


 一方的に切られた会話が終わると、タブレット端末にホームページなるものがある。ログインしている状態のようだ。パスワードもついていて、他人がアクセスできないようになっている。


 画面には自分の写真、生年月日、腕と同じ数字、名前(どうりでセキュリティが厳重なわけだ。)、精神病のところは空欄になっている。

 次のページには人の写真と番号が書いている。08がないって事はその人たちも腕の数字なんだろう。いずれも精神病が空欄だ。


 ログアウトすると、くるくると回転してイヤーピースの様になった。なんてハイテクなんだ。真ん中のボタンを押すとタブレット端末になるようだ。

 イヤーピースをつけると、先程とは違う機械的な女の人の声が聞こえる。


『繰り返します。本端末はイヤーピース状になっていて、宛先を交換した人物との電話が可能です。現在利用可能、クラウン。繰り返します……』


 数回繰り返すと消えてしまった。

取り敢えず部屋は一通り見たので、外に出てみるとしよう。

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