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エピローグ

学園の奥、あの垂れ桜の下にりおと陸斗はいた。

満開の桜は空をピンク色に埋めつくし、和かな風にサワサワと揺れる。

「そういえば、陸斗。一つ聞いてもいい?」

「ん?」

「どうしてこの桜の下じゃなきゃいけなかったの?」

「…?あぁ」

りおはずっと疑問だった。

告白の場所に陸斗がこの垂れ桜にこだわった理由。

すると、クスクスと陸斗が笑い出した。

「?」

「この垂れ桜に伝わる言い伝え、そうか、まだいってなかったか」

そっと垂れ桜に触れると陸斗がいう。

「この垂れ桜が狂い咲きしているその下で告白して、結ばれた二人は永遠に幸せでいられる…っていう伝説だ。まぁ、そうタイミングよくはいかなかったけど…」

そういって困ったふうに笑う陸斗に、りおはあることを思い出していた。

「まぁ、その言い伝えだけじゃないんだけどな…」

「え?」

「いや、何でもない」

と、ケータイの着信音が鳴った。

陸斗がケータイを見るとれおからメールが届いていた。

「クラス分け、掲示板に張り出されたみたいだな。行くか、そろそろ」

「うん」

差し出された手をりおはとって、二人並んで歩き出す。

桜のトンネルが二人を優しく包む。

『まさかいえないよな。俺の両親のゲンを担いだなんて。俺の親父はお袋にあの垂れ桜が狂い咲きした下で告ったなんて…。…今でも、二人は幸せか?俺は今…』

「ねぇ、陸斗?」

「ん?」

「実はね?あの日、陸斗が好きっていってくれた日。私、桜の花びらを見たの。もしかしたら、私達が気付いていないだけで、咲いていたのかもしれないね」

はにかんだように笑うりおがそっと手を出すと、その上に一輪の桜が舞い降りた。

「…そっか。じゃあ、言い伝えを本物にしねーとな」

りおの掌からその桜をそっと取って、陸斗は微笑む。

そんな陸斗にりおはいう。

「きっと本物になるよ。だって、私は今、幸せだもの」

「りお…。俺も幸せだよ」

二人は笑い合うと、れお達の待つ掲示板へと向かった。


新二年生のクラス分けが発表されているそこに、れお達はいた。

「お!りお、一緒だぞ!」

「りーちゃん、山倉くん!今年もよろしくお願いしますね!」

そこに並ぶ四人の名前。

りおと陸斗も確認する。

二年C組のところに四人ともの名前があった。

「げっ、担任去年と一緒だぞ、りお」

「…ってことは、また一年クラス委員だね、きっと」

苦笑いでりおが答えた。

と、れおがりおの手を掴んで走り出す。

「じゃ、新しい教室行こーぜ!」

「あ、待ってれお!」

慌てるりおに、れおはただ笑っていた。

そんな二人を陸斗と梨月は、優しく見守りつつ後を追った。

新しい一年が走り出したのだった。



四月から四月へ。

新しい一年のスタートは、多くの出会いを生み、それはやがて大きな絆となる。

途切れることなく、繋がっていく時の流れは、世代を越えて受け継がれる。

それはまるで、架音学園の言い伝えのよう。

いずれまた、あの垂れ桜の下で新しい物語が生まれる。

淡く優しい、桜のような物語。

けれど、それはまた、別のお話……。




fin...


最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!


このお話を創ったのが今からおよそ五年前。

私がりお、れお、陸斗と同い年だった頃です。

今はお話を書くこととはまったくかけ離れた道を歩んでいますが、未熟ながらに生まれたたくさんのお話はいつまでも私の宝物です。

いつか、りお達の子供達が主人公のお話を書いてみたいですね♪


引き続き、過去に創った作品をUPしていきますので、そちらも読んでくださると嬉しいです。

感想などもお待ちしております。


長くなりましたが、改めてまして最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました!


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