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出会い

なんか、自分が書く物語って、どっか暗い雰囲気があるような気がする。

明るい雰囲気の物語が好きなんだけど、自分では書けない(涙)

ヒロが薪を拾っていると、草むらからカサカサと音がする。近くにいる仲間に声をかける。

「おい、聞こえたか」

「ああ、良い獲物だといいな」

今日の仲間はヒロを入れて五人。ちょっとした獣であれば、十分に狩りができる人数だ。

ヒロたちは、まだ十歳を超えたばかりだけれど、背丈は大人とそんなに変わらない。ナイフに投石だけだと、武器としては心許ないけれど、五人もいればうまく取り囲んでしとめることもできるだろう。

魔獣だと少し警戒も必要だけれども、これまでもうまくやってきた。最近では、手傷を負わされることなく、獲物をしとめられることの方が多いくらいだ。


すぐに仲間が、左右に散っていき、取り囲むフォーメーションになる。

慣れた動きであるが、折角の獲物を取り逃がさないために、みな必死なのも事実である。

ヒロは敢えて真ん中に残る。このフォーメーションでは、もし相手が強い獣であった場合に、真っ先に狙われてしまう危険なポジションだ。そこをヒロに任せることで、このフォーメーションは成り立っている。


全員がフォーメーションについたのを確認したところで、右側の仲間が木切れを草むらに投げ込む。音がした少し奥側に投げ込むのがミソだ。彼は、こういう投擲のコントロールがいい。今回もうまく投げ込んでくれたので、草むらの中の気配が近づいてくるのが分かる。

さて、獲物と対面だ。

草むらから出てきた獣の姿を見て、全員がニンマリとした。

正確には、出てきたのは魔獣だ。小型の犬型の魔獣で、彼らにも十分に狩ることができる。前に出会ったときには、三人でもしとめることができた。

ヒロはナイフを構えて待ち構える。その間に左右に散った仲間は、さっと回り込んで、囲い込みが完成する。

追い込まれた子犬の魔獣は、意を決してヒロの左側を走り抜けようとするが、うまく左側の仲間が薪として拾っていた木切れを使って威嚇をする。

子犬の魔獣はとっさに距離を取ろうとして進路変更をして、ヒロに向かって突っ込むルートになる。さらに進路を変えてヒロの右を抜けるルートに進路を取る魔獣だが、すでにヒロたち五人の包囲網は完成に近づいており、どの方向にも抜けるのは難しい間隔になっている。

ヒロたちは、今日の狩りの成功を想像してやる気をみなぎらせる。さらに気合を入れて包囲網を縮めていく。

身動きが取れなくなった子犬の魔獣は、その場に立ち止まってしまう。こういう状況では、立ち止まると状況は悪くなってしまうのだけれど、そこは本能で行動する魔獣である。失態を責めることはできないだろう。


ついに包囲網が完成しようというときに、意を決したと思われる子犬の魔獣はざっと走り出す。この動きも予想をしていたのだけれど、その動きは予想以上のものだった。ヒロの仲間は自分の横をすり抜けようとする子犬の魔獣に、自分が手に持ったナイフで切りかかろうとするが、もう一人の仲間もとっさに手に持った薪を振りかぶってしまい、二人に一瞬の躊躇が生まれてしまう。

その隙に、子犬の魔獣は一気に包囲網を抜け出ようとさらに加速をする。

とっさに突き出されたナイフは致命傷とならず、傷を負わせることはできたが、包囲網から抜け出されてしまう。

「ばか、右手が攻撃って決めてるだろ」

「すまん、急だったんで」

言っても、後の祭りだ。ふつうの獣であれば、手傷を負わせれば、機動力を落とすことができるので、追撃を始めるの抱ければ、魔獣はその点厄介だ。流血をすることで、力を増すタイプの魔獣が多いからだ。さらに、魔獣の血には特殊能力が宿っている場合も多く、戦況が不利になる場合もおおい。

「どうする、追うか?」

「傷つけちまったからな」

「でも、五人いる。大丈夫だ」

意を決して、五人は追いかけることにした。魔獣の魔石を得られれば、獣を仕留めるよりも数倍の銭が稼げる。臨時収入としては、捨てるには惜しい。


血の跡を追い、すぐに子犬の魔獣を見つける。どうやら、子犬の魔獣の血には毒霧などの特殊能力はないらしい。運動能力もさほど上がった感じはなく、むしろ移動が遅くなっているように見える。今回は、運も味方をしているらしい。

ほどなく追いつくと、先ほど魔獣を取り逃がした仲間が、薪を振り上げて投げつけて、子犬の魔獣の行く手を邪魔する。折角の薪だけれども、魔獣を逃がすよりましだと判断したようだ。汚名の返上の意味のあるのだろう。

その行動が、良い結果を生み出す。子犬の魔獣が一瞬立ち止まったのだ。

ヒロと仲間たちはその隙にさっと、子犬の魔獣との差を詰め、再度包囲網を形成する。今度は、絶対に逃がさないという意気込みがこもっている。


子犬の魔獣も観念をしたのか、その場で立ち止まったままである。

先ほど、ナイフで付けた傷は思いのほか深かったのかもしれない。動きが緩やかになっている。イタチの最後っ屁さえ気にすれば、もうあとは狩りを完遂するだけの状態に見える。

と、その時になって、仲間の一人が強張った声を上げる。

「おい、ヒロ」

声を上げた仲間の横の仲間をやや青ざめた顔でいう。

「やばい、魔獣の親だ」

この言葉に、さっとふりかえると、視界にはしっかりと魔獣の姿をとらえることができた。普段は、獣を包囲するときには自分たちの方へ誘い込むので、他の獣に囲まれることはないけれど、今回は追撃戦であったため、周りの気配にも気づきにくかったのが災いした。

子犬の魔獣が立ち止まったのは、親の魔獣の気配に安心をしたからだったのだ。しかも、子犬の魔獣だと思っていたが、親の姿は狼の魔獣だ。狼の魔獣は犬の魔獣に比べて、一体の戦闘能力が高い。いくら五人いても、子供には敵いっこない。子供の魔獣が包囲網を抜けるときの瞬発力が予想を上回っていたのも、狼も魔獣の能力だったようだ。今更気づいても遅い。

子供を傷つけたヒロたちを親も魔獣が見逃してくれるとは思えない。

ヒロは腹をくくる。包囲網の中心を任されるものの責任だ。

「みんな、逃げるぞ」

ヒロが声をかけると、周りの仲間も事態を把握する。ヒロが隙を作るので、その間に逃げろということだ。

ヒロはズボンのポケットに手を入れ、魔石を取り出す。こんな時のためにとっておいた魔石だ。この魔石をくれたのは、ヒロの前にリーダーをしていた仲間だ。

そして、手に持っていたナイフの刃を掲げる。

「光を!」

合言葉と同時に、魔石の魔力が自分の体を通って、ナイフに流れ込むのが分かる。そして、ナイフの刃が光り輝く。閃光といっていい光だ。

獣は光を恐れる。それは、魔獣も同じだ。ヒロたちの仲間のリーダーは代々こうしてピンチに立ち向かってきた。ヒロがこの光を見るのは、これまでで五回目だ。今回が一番近くで見る光で、一番最後に見る光になるだろう。

今回も魔獣たちは、一瞬ひるんでくれた。仲間たちは、その隙を逃さずに、やってきた方向に逃げ出す。もちろん、少しでも生存率を高めるために、ばらばらに草むらに駆け込んでいく。ヒロも他の4人とは離れて、近くの草むらに飛び込み、そのまま町の方向に向かって全速力で走りだす。

強い閃光を放つこのナイフの魔法では、魔石の魔力はあっという間に尽きてしまうだろう。それでも、光るナイフをもって逃げるヒロはすぐに魔獣のターゲットになる。ナイフは次のリーダーに託さなければならないので、投げ捨てることはできない。魔石の魔力が尽きて消えるまでは仕方がない。


ようやく魔石の魔力が尽きようとしていた。魔力を放出しながら、ほんのりと輝き、温かかった魔石が、光を失い急激に冷えていくのが分かる。しかし、まだ、ナイフの光は失われない。もう少しの辛抱だと、他の仲間から距離を取って逃げるヒロ。しかし、魔獣の気配が近づいていることが、全力疾走の中でも背後から感じられる。

もう無理かもしれないと思っても、全力疾走は止められない。走れなくなるまでは、走り続けるしかない。

魔獣の意識が、他の仲間ではなく、自分に向いていることに満足するしかない。


しかし、このとき思いがけないことが起こる。ヒロの背後に大きな木切れが飛んできたのだ。その木切れは、ヒロを追っている魔獣の足元の地面に叩きつけられ、木端微塵に砕ける。流石の狼の魔獣も足を止める。

ヒロはしばらく走り続けたのちに、後ろを振り向く。魔獣の気配が遠のき、意識がそれたのが分かったからだ。

果たして、そこにはフードを被った人影があった。

ようやく、作品名の自分物が登場って、本当に登場しただけなんだけど(汗)

わかりにくい部分とか指摘していただけると助かります。

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