泥棒はだめ
1日街を歩いて楽しかったし、少しこの世界のことがわかった気がする。
サーシャと共に仲良く入浴を終えて、部屋のベッドで次の目的地を確認した。
「つまり、前回その1つ目のアイテムを手に入れたあと、そのアイテムを守っている魔物にやられたってこと?」
「ううん、アイテムを守ってるのは、魔王の手下は魔物じゃないの…人間なのよ。」
「え?操られているの?」
「いいえ…自分の意思でそちらにいる様子だった。あのね、さっきのカレンの話を聞いて思ったの。もしかしたら話が出来るかもって。」
「なるほど。」
場所はここから遠くないらしいし、勇者ならば近づけば分かるらしい。便利だ。
明日早速出ようか、と一息ついて、少し落ち込んだ様子のサーシャにもう一度声をかけた。
「魔力のこと、気にしてる?」
「!」
「普通はそう簡単に使いこなせるものでもないし、気にすることも無いんだけど…そうね、この旅を早く終わらせる為にも早いとこ勇者の魔法とやらを解明しないとか。」
落ち込んでいる理由はあっているらしいので、何とか背中を押してあげたいんだけど、何せ自分が天才の為、使うまでにどうしたらいいかを説明することが難しい。習ったことを少し頭でまとめて頷き、サーシャに、手を差し出した。
素直にその手を握ってくれたので、そのまま目を瞑ってサーシャの魔力を感じた。
やはり私のものとは違う。
けれど、魔力の流れは誰のものも同じはず。血液が流れるように自分が意識しない所で流れてる。
その流れに乗せるように私の魔力を流す。今日は防音意外の魔法を使っていないから有り余っているし。
「暖かい…」
「私の魔力の流れ、わかる?」
「うん、わかる。」
「うん、じゃあ、手を離して。そのまま私の魔力が消えていく先にサーシャの魔力があるわ。」
「うん。」
手を離して、集中するサーシャを見守る内に眠ってしまったんだけど、起きたらどうやら魔力を感じることに成功したらしいサーシャにお礼を言われた。
「あると分かればその先はもう大丈夫。どう使えばいいか、考えてみて。」
「分かった。」
うん、心なしか笑顔も輝いて見える。
アキラとシビと合流して、サーシャがアイテムの存在を感じてる、と説明しアキラがさすが勇者とはしゃいだ所で先へ進むとする。
何かありますよと言わんばかりのあからさまな塔にたどり着いて拍子抜けしたが、この塔の存在はそこそこ有名らしく、何故この塔を知っているのかという疑問をぶつけられないことに関しては助かったと言うべきか。
入口らしき扉があかない、と言うアキラに、他に入口を探そうと言うサーシャ。
サーシャがそう言うってことは他の場所に何やらあるんだと思うんだけど、なんていうか面倒くさい。よって…
「はい、開いたわ。」
「え!?いつの間に!?」
「魔法でちょちょいとね。正面から入ろうと裏口から入ろうと不法侵入は不法侵入。なら正面から入った方が向こうも驚かないと思わない?」
「どっちだって驚くだろ!?いや、どうなんだ?」
「こんにちはーーー!誰かいませんか?お話したいんですけど!って、アキラ叫んでよ、私達より声量ありそうだし。」
「えっ?オレ、展開についていけてないけどアイテム探しに来たんじゃないの?」
「違うわよ!魔王の所に行くのに必要なアイテムをあくまで!借りに来たの!誰かが持ってるものだったとしたら勝手に持ってったら泥棒じゃない!」
「な、なるほど?なら鍵を無理に開けたのだって…」
「向こうが開けないのが悪い!扉壊さなかっただけ感謝して欲しいわ。」
「ほんとカレンって…すげぇよな…いろんな意味で。」
「褒め言葉として受け取っておくわ。」
「ね、ねえ!二人とも!みんなで叫んでみたらどうかな?1人より大きいと思うし…」
「それもそうね!」
「さすがサーシャ…天使に見えるぜ…」
「じゃあ、せーので言うわよ!せーの…」
結果、皆で叫んでも反応が無かったので、先に進むことにしました。




