第参拾参話 道中記③
作者からのお願いだよ(♥ó㉨ò)
・番宣は要りません。探し出した人だけでお楽しみください。
・批判、訂正は歓迎ですが、他の作品と比べて貶すのはやめてください。相手に失礼です。
・作者は遅筆です。ご理解ください。
・作者は変態です。ご理解ください。
・たまには活動報告なんかも思い出してあげてください(´;ω;`)
第参拾参話 道中記③
昨夜、港で起こった事は2人にとってかなりのインパクトがあった。まだ人が生き残っている可能性はあったが、ざっと見積もっても二十人を超える人数があの工場内に確認できたのだ。その年代や性別はバラバラで、運良く安全を確保できる環境とそれだけの人数を養える食料があったことは奇跡に近いだろう。
「どうします。接触しますか?」
真澄は光にそう質問する。それが一番重要な問題だった。これまでも対人のトラブルは起こっていたので、自分から地雷を踏みに行く必要は無いと光なら言いそうなものだ。幸か不幸か、あちらには海を渡る術は無さそうである。こちらから出向かない限り、接触はしないだろう。何か情報を持っているかもしれないし、何も無いかもしれない。最悪のパターンは、スワンボートや物資を奪われ、2人とも捕らえられる可能性も五分五分と言う所か。
「何を言ってるの?当然、接触するわよ。準備を万全にしてから行くけどね。」
まだ腫れた足を引き摺りながら窓辺で双眼鏡を覗いていた光は、事も無げにそう応えた。真澄はその反応を得て、これから起こりうる最悪のパターンを想像する。
(恐いのが向こうも切羽詰った状況で、こちら側に救助、もしくは物資を要求される事だな。こちらに向こうを満たす程の物は無いし、要望を叶えられるとは思えない。あっちが善人ばかりとも考えにくいし、うまく利用されるだけかもしれない。何しろあの人数だ。数でこられると圧倒的に不利だし、どう接触したら・・・?それに先輩が襲われたら俺はどうしたらいいんだ・・・。)
眉根に皺を作って考え込む真澄を見て、光は軽く微笑む。
「そんなに悪い方に考えちゃダメよ。向こうは何も男だけじゃない。女性や子供も居るみたいだし、何か変な事をされる心配も無いんじゃないかな?状況として考えれば、あそこは食品加工の工場ね。従業員か近所の人間かは知らないけど、大きな備蓄用の倉庫が何個もある工場に立て篭もるのは自然な事だと思うの。幸い備蓄が山ほどあって、今を凌げている可能性もあるしね。水なんかのインフラは経費削減で近くから地下水でも引いてるんじゃないかな?大きな工場だと珍しくないみたいだし、食べ物と水があれば何とか生活は出来そうよ。」
「そんな事を心配してるんじゃないんですよ。飛鳥さんの話を聞いたでしょ?外部の人間に対して寛容かどうかがまず心配なんです。この状況だと外をうろついている人間なんて信用してもらえないじゃないですか。集団の恐さはゾンビで嫌と言うほど知っているつもりです。いざとなった時、俺一人じゃ守りきれませんよ?変なことされたらどうするんです?」
真澄は少し睨むような表情を光に返した。自分達もした事だが、外部から接触した人間は身体検査なんかされても当然だ。当然その役は、男性に一任される可能性が高い。この状況だと、男は信用できないのだ。集団生活で大なり小なり禁欲を強要されていると考えると、光のボディは堪らないだろう。火が点けば何をされるか分かったものじゃない。
「私がエロい事されそうとか思ってる?」
考え込む真澄の様子を横目で観察していた光が悪戯っぽく笑いながらそう問いかけた。
「え?いや・・・、何と言いますか、先輩の肢体は男には逆らえない魔力があると言いますか・・・。」
「分かってるわよ、そんな事は。」
「え?」
「私が偽装してたのだって、そんな視線に耐えかねたからだもの。男の考えなんてお見通しよ。」
澄ました顔で光はそう言い放つ。それを受けて真澄はポカンと口を開けた。
「とにかく、そうはならないと思うわよ。今まで出会った人間は箍が外れた奴ばっかりだったし、あんたがそう慎重になるのも分かるわ。でもね、今回は違うと思うの。」
「その根拠は?」
真澄は疑いの眼差しで光を見ながらそう質問した。男の考え、行動パターンなど同姓ならば手に取るように分かる。どう考えても光を狙わない理由が考えつかない。
「あのねぇ桜井、世の中には私以上の女なんて腐るほど居るのよ。それが全て男の性欲の対象なのは分かる。でも、性犯罪なんてそうあるもんじゃないわ。異常な状況下で我慢の限界を超えた場合か、元々いかれている人間くらいしかしないのよ。それは分かるわよね?」
「ええ、まぁ。でも今がまさに異常な状況下なんじゃないですか?」
「そうね、確かにそうだわ。でも、あそこは違うわよ。」
「何が違うんです?現に昨夜だってゾンビの襲撃に会っていたじゃないですかっ!?」
少し苛立ちを隠せなくなった真澄の声に力が入る。光はその変化を少し嬉しく感じていた。彼は本気で自分の身を案じてくれている。
「ゾンビの襲撃に会っているのは確かに異常な状況下だわ。でもね、あそこはまだ人間のコミュニティーなのよ。言ってる意味分かる?」
「分かりません・・・。」
「大人数で生活するには秩序と各々の我慢が要るの。考えてみてよ。集団内で少しでも皆と違う事をすればどうなる?」
「はぶられます・・・。」
「そう、人は出る杭は打つか抜くのよ。あの大人数で女一人を手に入れるためにリスクを犯すのは半端な事じゃないわ。ほぼ確実に追放でしょうね。外は食人鬼のうろつく恐ろしい魔界よ。あなたならどうする?」
「我慢します・・・。」
「そう、それが一番当たり前の反応ね。分かってるじゃない。」
光は頷きながら真澄から視線を外して双眼鏡を覗く。何も言い争って険悪になる必要なんかないのだ。
「でももし我慢できない馬鹿が混じってたらっ!?」
「ほい、3番目の窓よ。」
光は声を荒げた真澄をちらりと見つつ双眼鏡を渡す。真澄はその反応に一瞬戸惑ったが、光に言われるままに双眼鏡を覗き込んだ。そこには・・・。
「ぶはっ!き、着替えじゃにゃいっすかっ!!!」
「噛んでるわよ。そう、うら若き乙女の着替えよ。それも3人ねっ!」
光はそう言いながらニヤリと笑う。3番目の窓は開け放たれ、中では高校生から大学生の間と思われる女子3名の生々しい着替えが行われていたのだ。一人だけぽっちゃりした垢抜けない子が混じってるが、2人は見れる感じだ。スタイルもそこそこ良い。
「あんな若い娘さんもいるのよ。私みたいなオバサンなんか魅力半減でしょ。それに手は考えているの。」
「て?」
「そう、これで身の安全はほぼ確保できると思うんだけど乗る?」
光はそう言いながら、いつまでも双眼鏡を覗き込んでいる真澄の手から双眼鏡を毟り取った。
★
光の足が完治したのは3日後だった。2人は海が凪いでいるのを確認してスワンボートに乗り込む。武器はナイフ一本ずつを所持し、他はスーパーハウス内に置いてきた。いずれ取りに戻るだろうが、仰々しい装備で相手の警戒心を刺激するのは得策ではないという結論に達したのだ。少々心許ないが、真澄もそれに賛成した。模造刀なんか持っていても、20人以上いる人間を相手にできる技術など無い。
「さて、リサーチ内容を確認するけど、何かあったら補足お願い。」
光がメモ用紙を捲りながらそう言って喋りだした。
「人数は確認しただけで24人。内訳としては成人男性7名、成人女性11名。JK、JD3名、子供3名。若くて戦力になりそうなのは若干名ね。」
「何でJKとJDだけ固有名詞なんでしょうか・・・?」
「女子高生と女子大生の略よ?」
「いや、分かってるんですが俺に対する悪意を感じま・・・せん。」
にっこり微笑んだ光の目に恐怖を感じ、真澄は茶々を入れたのを後悔した。
「続けるわよ?装備としてはスコップ、ハンドアックス、後は多分工場内の備品のパイプみたいな物ね。あとリフトカーが2台とショベルが1台。自動車なんかも複数あると見ていいと思うわ。工場自体は建物4棟から成ってるわね。メインの工場に倉庫2棟、あとは休憩所みたいな2階建て。敷地外をフェンスで囲ってるのが篭城できている理由かな。これが倒されたら危ないわね。ゾンビは少数が徘徊、それをショベルカーで排除しつつ篭城してると。海に面した方に船影はない。つまり脱出は不可能。それで・・」
「あの、ショベルじゃなくてブルドーザーじゃないっすか?」
また茶々を入れた真澄に光はムッとしたように顔を上げる。
「ショベルよ。」
「いや、ショベルって首長竜みたいなやつでしょ?あの類はブルドーザーって言うんだと思いますよ?」
「あれにタイヤが付いてたらタイヤショベルって言うじゃない。それはどう説明すんの?」
「う~ん、そう言われると・・・。」
「どっちでもいいわよ。ブルでもショベルでも好きに呼びましょ。話し続けていい?」
光は溜息を吐きながら話を続ける。男って生き物は何で拘りだけは一人前なのか理解ができない。
「食料は倉庫に保管されているようね。内部までは分からないけど、オバちゃん連中が何回かダンボールを運び出してたから間違いないと思うわ。それと妙なのが日に3回、食事を二階建てに運んでるわね。何かあそこに偉いのが鎮座してそう。社長とかかな~?」
「う~ん・・・、社長ならいいんですけど、他のナニカだとすると厄介ですね。」
「まぁ行かないと情報は手に入らないわ。あとは当たって砕けろよね?」
「砕けちゃまずいですけど、その通りですね。」
真澄はその一言を発した事に後悔したが遅かった。光は笑顔でわき腹を思いっきり抓る。
「痛いっ!先輩痛いっすっ!!」
「この前泣かされたお返しよ。痛い?ねぇ痛い?」
「痛いっすよっ!マジでああああああっ!!!」
「でももっと?」
「痛いっ!でももっとって・・・、アホかあんたっ!!!」
しばらくじゃれ合った後、2人はペダルを漕いだ。目的地は内海を挟んだ向こう側だ。距離にして1km弱程だったが、思った以上に船は陸地に近付かなかった。結局、2人が岸に接岸したのは出発して30分もしてからだった。
★
港の一角に船を停泊させる箇所がある。今は主を失った船着場には、木製の桟橋が浮きに乗っかって碁盤状に広がっていた。一見すると生簀にも見えたが、事実、内部には網が張ってあり、ハマチや鯛が回遊する場所もいくつかあった。餌不足で死んで浮いている魚も見受けられて、異臭を発している。鼻を摘みながら桟橋に沿って歩くと、岸壁の上に3名が待ち受けていた。年配の男性に若い男性が2人。3人は2人を見ると手を挙げてこっちに来いと促した。顔に険の色は無く、いかにも歓迎しますといった空気だ。
「どうも、ここを仕切ってる八島と言います。こっち2人は部下です。あなた方はどこから来たのですか?」
対峙すると意外に小さい年配はそう名乗った。2人は八島に倣って自己紹介をする。
「どうも初めまして、桜井と言います。こっちは・・」
「妻の光です。桜井光。」
★
光の秘策とは、夫婦を装う事だった。若い男女が夫婦なのは特に警戒を招かないようにするには打ってつけの設定だ。八島は「そうでしたか。」と笑いながら言い、とりあえずこっちへと2人を案内する。岸壁から離れた場所にフェンスの入り口があり、見張っていた1名と合流すると2人をいとも簡単に招き入れた。光は少し予想と違う展開に面食らったが、大人しくついていく。
「いやぁ~、お若いから恋人同士だと思いましたがご夫婦でしたか。お前達、残念だったなぁ~。」
八島はそう部下に笑いかける。部下3名は渋い顔にはにかみを浮かべながらそれに応えていた。部下も気のいい人達だった。2人に道中の話を聞きたがり、光がそれに対して回答していく。都市部は悲惨な事になっていること、暴徒すら消えてゾンビ天国になったと聞いた瞬間、皆言葉を失っていたが諦めもあったのだろう。2人の話を真剣に聞き入っていた。
「さて、お二人共お疲れの所を悪いですが、安全なのが分かったのでここの責任者に顔を通してもらいますね。いいかな?」
話が一段落つくと、八島はそう言って2人を立たせる。特に遠慮する理由も無かった2人は、それに応じて腰を上げた。その時、部下の一人が少し顔を曇らせたのを光は目敏く気付いていた。
「何、ちょっと驚くかもしれませんが最初だけですよ。」
そう言って八島は工場内を通って2人を案内した。工場内はそこかしこにダンボールやシートが敷かれ、女性や子供が2人を出迎えた。皆顔には歓迎の色が映っている。いつか見た地震のニュースで避難所生活をしていた人達を思い出しながら、真澄は安堵したような息を吐いた。
(考え過ぎだったか。皆良い人っぽいしな。このままここで一緒に生活してもいいかもしれないぞ。)
しかし、光はそんな真澄と全く別のことを考えていた。
(事が上手く運びすぎてる・・・。何だろうこの違和感は?一筋縄じゃいかない予感がする。)
そんな2人の思惑の違いなどお構いなく、八島は2階建てに通じる渡り廊下に2人を案内した。
「さて、ちょっと想像と違うと思いますけど、失礼の無いように。では・・」
そう言って八島は、2階建ての玄関のチャイムを押す。そこに現れたのは、巫女のような格好をしたJKだった。
★
JKは八島の顔を見て、真澄達を舐める様に見つめていたが、八島の耳に何事か耳打ちする。その直後、八島は顔を顰めたが、また巫女姿のJKとひそひそやった後、2人に会釈をして去っていった。残された真澄と光は顔を見合わせたが、JKはお構いなしに話し出した。
「土蜘蛛様がお会いになる。ついてきなさい。」
「つちぐもさま?」
突拍子も無い名前が出た事に真澄が思わずリピートした。光はやっぱりと言う顔をしている。
「そうだ、土蜘蛛様だ。」
JKはそう言ってさっさと前を向いて歩き出してしまった。真澄は慌てて後を追う。光も何か考えていたが、真澄を追って二階建ての内部に入っていった。
この度、妙に観覧とPが増えていたためリサーチを行ったのですが、推薦スレに紹介してもらっていました。前に書いたかな?
前書きに書いた理由としまして、大勢に見られるのは恥ずかしいです。下手な事が書けなくなり、批判や中傷も増え作者のモチベも下降してしまう可能性があるんですよね。まぁ批判なんかは聞き流すとして、問題なのはこの駄作と他作品を比べて、相手を貶していた人がいた事です。今後そのような書き込みなど見つけた場合は、連載自体を辞める可能性もあるので十分に注意してください。こっちを貶す分は無問題です。
作者って女性に見える方がいるようですね。ふ・し・ぎ♥




