第参拾肆話 今宵、月は赤く染まり①
初一日500人以上の来客と言う事で、書き掛けですがポイっとな(。・ε・。)
第参拾肆話 今宵、月は赤く染まり①
巫女姿の少女は、よどみの無い足取りで二階建ての廊下を進んだ。内装は一般的な家屋とさして変わりは無い。白をベースにした壁紙に花を生けた花瓶や絵画が玄関先から空間に彩を与えていた。元はこの工場の主の居室があったのかもしれないが、今は『土蜘蛛様』なる不審人物がここの主に取って代わっているのだろう。巫女の少女は、二階に通じる階段の前で一旦止まり二人に向き直った。
「さて、あなた方は不審者、もしくは鬼の類ではないと報告を受けています。八島の話だと夫婦だとか?」
少女は事務的な口調で二人に尋ねた。
「ええ、私が妻で彼が夫よ。見れば分かるでしょう?」
光が説明はいらないとばかりにそう言い捨てると腕を組む。少し相手の出方を見ようという姿勢だ。
「私への無礼は土蜘蛛様への無礼と見なします。今後は口の聞き方に注意しなさい。いいわね?」
少女は光の態度を気に入らなかったのだろう。少し声に抑揚が見て取れた。
(軽い挑発で脊髄反射か、しょせん餓鬼ね。でもこんな小娘が威張り散らしてるとなると、土蜘蛛とやらは余程ここで権力を振りかざしているようね・・・。どんな奴なんだろう?)
返事の無い光に少女が鋭い視線を送る。それを見て真澄が口を開いた。
「これはすみません。妻は気が強いのでついこんな態度を取ってしまうんです。これから偉い人に会うので緊張してるんですよ。」
「そういう事にしておくわ・・・。では説明します。」
少女は真澄の返答で少し溜飲を下げたようだった。声に落ち着きを取り戻し話を再開する。
「これから土蜘蛛様があなた達にお目通しをするわ。粗相の無いようにしなさい。これからここで生きていくのなら尚更ね。」
「ちょっといいかしら?」
少女が話を続けようとした瞬間、光がそれを止める。少女は再度光に半眼を向けたが、光は些事とばかりにそれを無視し話をねじ込んだ。
「さっきから聞いてたけど、まず土蜘蛛さんって何なのよ?ここを仕切ってるのはあなた達の態度で分かるわ。でも土蜘蛛って妖怪でしょう?昔、天皇に張り合った士族なんかにも同名がいるし、源頼光に倒された妖怪も同じ名だわ。どっちの流れの人なの?もしくはどちらでもないのしら?」
光はそう一気に捲くし立てた。どこからそんな知識を得ているのか不思議だったが、それが本当なら大した血統の人物かもしれないと真澄は想像を膨らませる。
「土蜘蛛『さん』・・・?無礼者がっ!!!」
光の不遜な態度に余程激昂したのだろう。少女の声が狭い廊下に響き渡る。しかし、そんなこけおどしは光に通じるはずもなかった。
「無礼で結構よ。あんたみたいな小娘恐くも何とも無いわ。腰巾着ならそれらしく主人の情報くらい正確に伝えなさい。」
光はそう言って腕を組んだままジロリと少女に半眼を返す。全く身じろぎしないその態度に、少女は取り乱したような表情を見せたがすぐに落ち着きを取り戻した。
「あなた・・・、ここの住人に殺されたいようね。それとも死ぬより辛い辱めに会いたいの?」
真澄は少し口角を上げて薄ら笑いを浮かべる少女を見て気味悪さを感じた。
(う~ん・・・、こいつはまともじゃないな。)
「どうでもいいけど土蜘蛛さんに会わせるんでしょ?早くして欲しいわね。言っとくけど私達はここで生活をしたい訳じゃない。ここには何か情報を交換しようと立ち寄っただけよ。用が済めばさっさと居なくなるわ。立場は対等。頭を下げる気なんかないですからね。」
「そういうこと・・・。いいわ、土蜘蛛様に会った後に後悔なさい。こっちよ。」
少女は光の態度に苛立ちを隠せない様子だったが、あっさりと二人を二階へと導いた。
★
土蜘蛛様の居室は広い部屋だった。元々はこの工場の首脳陣が会議にでも使用していたのだろう。二十畳くらいの広々としたスペースに一段高い上座が置かれ、そこに怪しげな祈祷でもするかのような祭壇が作られていた。基本は神道をベースにしているのだろう。祭壇には神社で見た事のある飾りも数多く施されている。
「ふぅ~ん・・・、けっこうマジなのね・・・。」
思った以上にここで土蜘蛛様は絶対的存在なのだろう。普段なら噴出しかねない状況も、今は背筋に冷たい物を感じるほど気味が悪い。
「しばし待て。もうじき土蜘蛛様が降神される。」
度肝を抜かれたような二人の反応を満足そうに見つめながら、少女はそう言って祭壇の下手にしずしずと赴き、そこで膝立ちになり動かなくなった。その様子を見ながら二人も床に腰を下ろす。そして5分ほど待つと、ついに祭壇の横にあるドアが開き、土蜘蛛様がその姿を現した。
(これは・・・、全く驚きの連続だな。胡散臭いオッサンだとばかり思ってたよ。)
真澄は思わず心の中で呻いた。入ってきた土蜘蛛様は、純白の巫女服を着ていたのだ。体のラインでそれが女性だと分かる。異様なのはその顔だ。まるで鬼のような面を頭からスッポリと被り、明るい赤茶色の髪が面の下から背中まで伸び、綺麗な紐で結われている。
「頭が高いぞ。頭を下げよ。」
連れ添って入ってきた別の巫女服の少女がそう言って二人を睨みつける。
「ふむ、初めまして土蜘蛛さん・・・でいいのかな?」
光はこの異様な光景にも臆する事無くまだ憎まれ口が先行した。真澄は完全に場の空気に飲まれ、床に正座して頭を下げている。
「男の方は見込みがあるが女の方はちと頭が弱いようだな。まぁよい、土蜘蛛様がそなたらを見たいそうだ。面を上げよ。」
土蜘蛛様に寄り添う巫女少女がそう言うと、真澄はやっと顔を上げた。光はその様子に深い溜息を吐く。
「ちょっと、しっかりしなさいよ。旦那がそれでどうするの?」
「え?いや、そうなんですが何となく・・・。」
「敬語はやめてよね、あなた・・・。」
「あ、そうっす・・、そうだな光。」
真澄の情けない態度に苛ついた光は喝を入れようとしたが、真澄は完全に空気に飲まれ設定すら頭から飛んでしまっている。これではこの先が思いやられるなと光はさらに深い溜息を吐いた。
★
土蜘蛛様を上座に座らせ、二人の巫女少女がその左右に座して面会が始まった。巫女二人は変わらずに高圧的な態度だったが、土蜘蛛様は一言も喋らない。主に二人のこれまでの経緯を巫女少女が次々に質問していく。その合間に土蜘蛛様は巫女少女に何か耳打ちし、それを少女が言葉で説明すると言う流れだった。どうやら直接口を聞くことは許されないらしい。
「で、二人旅を続けてるってわけ、分かった?」
もう何度目かになる説明に、光は辟易して投げやりに会話を進める。
「ではお主らは今まで誰とも接触せずに都市から逃げてきたのか?」
「何度も言ってるでしょう?やばいのしか居なかったから助けを求める事すら出来なかったのよ。」
「下々の世界はそんなに大変な事になっておるのか?」
「大変も何も、あんた達が言う鬼がそこら辺を徘徊してるのよ。一歩外に出たら食い殺されるわ。言っておくけど、都市の人間の9割以上がすでに鬼になってるわよ。こんな工場に立て篭もってても救助も何も来ないわ。」
「その話、真なのだろうな?どうにも突拍子がない与太話にしか聞こえないのだが・・・。」
巫女少女が疑いの眼差しで光を見る。
「信じようが信じまいがどうでもいいわ。あなた達も外部と連絡が取れなくなって随分長いんでしょう?それで今の話の辻褄は合うはずよね。すでに日本だけでなく世界中が鬼の棲む地獄に変わり果ててるのよ。どこに救助を要請しようがそんな事は現状では不可能なの。」
「それが真なら、日本はもうダメではないか・・・。いよいよ終末だな。」
巫女少女が不安そうな眼差しをお互いに向ける。そこに初めて土蜘蛛様が声を発した。
「麻子、キヨ、少し下がりなさい。私はこの者達と直接話がしたい。」
その声に二人の巫女少女がギョッとしたような顔をする。
「いけません土蜘蛛様。このような品の欠片も無い人間と接すると品格が落ちます。」
「そうですわ、こんな人間に直接接しては品格に傷がつきますわ。」
まるで二人が最底辺の人間のような言い方だ。これはさすがに光の我慢の限界を超えた。床にドンッと拳を打ちつけた後、ゆらりと立ち上がり巫女の方を向く。
「黙ってれば言いたい放題ねっ!!!あんた達の方がよっぽど知識も常識も無いじゃない。こんな浮世離れした生活をしてて頭の中まで病んでるんじゃないのっ!?特に不細工の方、あんたなんかに品格がどうこう言われたくないわ。そんな巫女の衣装の上からでもお腹がお重になってるのが分かるような体型してて品位も糞もないでしょう。美しさの欠片もないくせに偉そうにペラペラペラペラ・・・。」
「せんぱ・・・、光、それは言いすぎだよっ!」
不細工な方の巫女を指差して悪態を並べた光を真澄は羽交い絞めにして制す。そうでもしなければ殴りかかりそうな勢いだった。
「お腹がお重って・・・。」
名指しで罵倒された美しさの欠片もない巫女少女は呆然としたまま小さく呟く。もう片方の巫女は口に手を当てて顔を背けていた。その頬が微かに赤くなっている。
「麻子、キヨ。もういいでしょう?お願いだから言う事を聞いて。」
事態を見守っていた土蜘蛛様が気の毒そうにまだ呆然としている巫女少女に優しくそう告げると、お重の少女は何も言わずにその場を後にした。もう一人の方はまだ口に手を当てて顔を背けている。心なしか肩が小刻みに震えていた。
「さぁ、麻子も出ていって、私は平気だから。ね?お願い。」
土蜘蛛様が再度優しく麻子と呼ばれた巫女に話しかける。すると麻子はスッと立ち上がると足早にその場を去った。ドアが閉まった瞬間、爆笑が聞こえ真澄は腰を抜かしそうになる。どうやら麻子は笑いを押し殺していただけだったらしい。巫女と言えど若い娘だなと二人は心の中で同時に呟いた。
★
土蜘蛛様と三人だけになると、沈黙が場を支配した。何とも気まずい。光はまだ苛立ちを隠せずに眉を吊り上げているし、土蜘蛛さんはあれから一言も喋らない。真澄は窒息しそうな息苦しさの中でただ耐えていた。そんな沈黙を破ったのは、土蜘蛛さんだった。
「・・・私の名前を明かしておきます。私は本名を倉橋晶と言います。」
「・・・そうくるのね、何がしたいのあんた?」
「えっと・・・、自己紹介ですけど?続けますがよろしいですか?」
不意に喋りだした土蜘蛛改め倉橋晶がそう返すと、光は無言で首を竦める。どうぞというゼスチャーだ。
「ありがとう、歳は24です。元はここから少し離れた場所にある神社で巫女をしておりました。父が宮司を。」
「ふぅ~ん、マイナーなとこ?」
「ですね。地域信仰のマイナー神社ってとこです。まぁ土蜘蛛を祀っているんですが。」
「でしょうね。じゃないと名乗る意味が分からないもの。」
意外に若い倉橋晶はその言葉にクスリと笑いを漏らす。
「話、続けていいですか?」
「ええ、聞く意味も無いけど喋りたければご自由に。」
「ありがとう、では話を続けます。まずは私が祀り上げられている理由から。百聞は一見にしかずと言いますから。」
そういうと晶は面を外す。その素顔を見た光は驚愕の表情をし、真澄は感嘆の声を上げた。
「何なのその目・・・?」
「美人・・・。」
光は真澄の言葉に反応し、睨みつける。しかし真澄はその睨みも気付かぬほど晶の顔に見惚れていた。
「この目と容姿が私が祀り上げられている理由です。光さん、恐いですか?」
「綺麗よ、とっても・・・。でも腑に落ちない事がいっぱいあるんだけど。」
「綺麗っす・・・。」
「ありがとう、あなた達のような反応は初めてで正直嬉しいです。話、聞いてくれますか?」
晶は微笑みながらそう言葉を繋げた。
★
晶の容姿は他を逸脱するものだった。少し彫りの深い顔にハッキリとした目鼻立ちをし、目も切れ長の美しい形だった。髪の色は染めているのか赤茶色い明るい色。しかし、それ以上に目を引くのは彼女の瞳だった。その目はとても美しい色をしていた。左が深い青、右が琥珀色。
「オッドアイか。あなた日本人じゃないのね。ハーフか何かでしょ?」
光の問いに晶は困った顔をしたが、少し間を空けて口を開く。
「半分当たりで半分はハズレです。父は宮司で日本人、母は元巫女で日本人です。」
「じゃ、クウォーター?」
「いえ、私はハーフです。北欧系の血だと聞きました。」
「意味が分かんないんですけど・・・?」
光の鋭い目に苦い顔をしながら、晶は話を続けた。
「つまり、父は母から生まれた私を自分の娘だと信じているわけです。でも、私の父親は別の人間だったわけです。」
「不貞の末に出来た子なのね、あなた。」
「恥ずかしながらそうです。」
「どういう頭をしていたら自分の子だと信じれるのかしらね・・・?」
光は信じられないという顔をして首を傾げる。すると晶は、その疑問の真相を語り始めた。
「それは実家の神社の伝説のせいです。」
晶の声は先ほどよりトーンダウンし、表情も暗く曇った。
「私の実家では、いつの日か御印を持つ土蜘蛛の再来が現れて世を変えるというお告げがあるんです。まぁ、それこそ与太話で誰も信じていませんでしたが、私が生まれてしまったばかりに家はおかしくなってしまいました。母は旅行者の外国人男性と過ちを犯し、その結果できた私を土蜘蛛の再来という体のいい言い訳で押し通したんです。最初は皆、半信半疑だったのですが、いつの間にか本気で信じ始めて、それが町の人達にも広まりました。」
晶の言葉は重々しい空気の中、やけにハッキリと伝わる。
「小さな町です。お年寄りは有難がって毎日参拝に来てはお金を落としていきました。噂はどんどん広がり、私が小学校に入る頃には実家の規模が三倍くらいになっていたと思います。とにかく、私は参拝客を呼ぶ客寄せパンダの役をずっとずっと続けてきました。この目は土蜘蛛様の再来の証、皆は『魔眼』などと呼んでいます。本当は唯の遺伝子の悪戯なんですけどね。私は母が死ぬ間際に懺悔した時、やっぱりなと思いました。だって私には何の力もありませんから。本人が一番自覚しています。」
そういうと晶は力なく笑った。胡散臭い宗教を利用して踏ん反り返っているイメージしかなかった土蜘蛛様は、唯の不幸な女性でしかなかったわけだ。真相を知ると気の毒にすら思えてくる。
「それで、身の上話は終わりなの?というか、そんな事を部外者に言っていいわけ?」
光がつまらなそうな顔でそう質問した。ハッキリ言えば、他人の話など聞いても何の得にもなりはしない。何か情報が欲しくて立ち寄ったのだ。現状が打開できるような情報以外は何の価値も無かった。
「そうですね。あなた方にこの話をしたのは、私のお願いを聞いて欲しかったからです。」
光の冷たい反応にもめげずに、晶はそう言った。
「できる範囲の話なんでしょうね?」
光は晶の神妙な顔を見て、嫌な予感がした。
「難しい話かもしれません・・・。」
「じゃぁ断るわ。厄介事はご免よ。」
「先輩、聞くだけ聞きましょうよ?ここまで秘密を部外者に漏らすなんて、半端な覚悟じゃないですよ。」
ばっさりと斬り捨てた光に驚いた真澄がそう口を挟む。
「あなた・・・、美人のお願いじゃなかったらそこまで真剣に取り合わないでしょう?」
光は真澄の胸中を正確に見抜いて半眼を向ける。真澄はその表情に目尻が引き攣った。
「あの・・・、今先輩って言いましたけどお二人はご結婚なさってるんですよね?」
不意に、二人のやり取りを黙って見ていた晶が素朴な疑問を光にぶつけた。
「え?ええ、そそ、そうよ。」
光は急に核心を突かれ無様にどもる。完全に目が泳いでいた。
「嘘なんですね?夫婦と言うのは。」
「ん~・・、まぁ何と言うかその方が安全そうだったんで。」
もう遅いと悟った真澄が簡単に認める。それに光はギョッとした目を向けた。
「桜井っ!あんたそんな簡単に・・・。」
「先輩、晶さんだって特大の内緒話をしたんですよ。もう一蓮托生でしょう。違いますか?」
真澄はそう言うと晶にキリッとした顔を向ける。
(やばい・・・、完全に美人のお願いを叶えたいモードだわ。こいつこういうとこあったわねぇ・・・。)
光はもう頭を垂れるしかなかった。過去にも仕事の取引などで真澄のモードチェンジは体験している。所謂、お調子者で美人にめっぽう弱いのだ。
「一蓮托生ですかっ!?じゃあ、お願いを聞いてもらえますか?」
晶は真澄の表情に嬉しそうな声を返す。
「ええ、もちろんですよ。」
真澄も完全にモードチェンジして調子に乗ってしまった。
「良かった。それじゃあ一言で。」
「なんなりと。」
いい顔で真澄はそう返す。
「私を連れて逃げてください。」
★
一瞬、聞き違えたかと思った。真澄は目をパチクリさせ、光は口を半開きにしている。
「あの、出来ますか?連れて逃げられませんか?」
晶は急に黙った二人に不安げな目を向ける。その不思議な目で見られた真澄が我に返り、晶に質問した。
「あの、ワンモアセイ(Onemore say)・・・。」
「ワンモアセイ?」
晶がキョトンとして真澄の言葉をリピートする。
「もう一度お願いします。」
「私を連れて逃げてください。」
晶はニコリとしながら再度同じ台詞を吐く。
「ちょっと荒唐無稽なんじゃないの?」
光は埒が明かないと言わんばかりにそう呟く。
「こうとうむけい?」
晶が再度リピートした。どうやら、この女性は少しボキャブラリーが少ないようだ。
「荒唐無稽も分からないの?根拠が無く出鱈目って意味よ。あなたいくつよ・・・。」
「24だと先ほど・・・。」
「呆れた、客寄せパンダは学校にも行かせてもらえなかったとかじゃないでしょうね・・・?」
光は肩を落としながら冗談交じりにそう返す。すると晶の表情が見る見る曇った。
「実は小学校からイジメに会い、親は過剰に反応して中学にはほとんど行かせてもらえませんでした。馬鹿ですみません・・・。」
その応えに光は心底後悔した。人には決して触れてはならない部分が一つはあるものだ。自分が地雷をハンマーでぶっ叩いた事は火を見るより明らかだった。
「ごめんなさい、そんなつもりで言ったんじゃないのよ。あなたもしかして重度の箱入り娘だったの?」
「というより、生きた御神体としてほとんど外出も許されませんでした。学校には送り迎えがありましたし、一人で電車に乗ったことすらありません。私は、こんな世界でももっと外を見たいんです。もっと自由を感じたい。」
「世界が落ち着けば外にだって出られるわよ。何も今、危険を犯してまですることじゃないわ。」
光は晶に同情したが、連れて行くにはリスクが大きすぎる。それに残された人々がどうなるか分かったものではない。晶はここでは神なのだ。心の拠り所を失った人間は何をするか分からない。
「今しか出来ないんです。今、私が逃げても誰も追ってこれない。それに・・・。」
光の言葉に晶はそう言った。光は「それに?」と聞き返す。
「私はきっと近い将来、殺されます。」
どうしてもオッドアイのハーフ美女を出したかったんだ。それだけなんだ。
まさかこんな展開になるとは思わなかったんじゃないでしょうか?こじつけも多いですが「森ネズミー」とか言わないだけましじゃないかと思います。あんな変な教団はさすがに書きたくなかったですね(´◉◞⊖◟◉`)




