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# 新章 第3話 ## 「才能に殺された男」

# 新章 第3話


## 「才能に殺された男」


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魔王城。


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世界の西の果て。


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黒い城。


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誰も近づかない場所。


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その最上階。


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玉座の間。


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ゼノスは一人だった。


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いつも一人。


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静かだった。


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窓から空を見る。


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そして。


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昔を思い出す。


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まだ。


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魔王になる前。


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ゼノスは普通の少年だった。


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名前も違った。


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笑うこともあった。


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夢もあった。


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そして。


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親友がいた。


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名前は。


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**アベル。**


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二人は田舎の村で育った。


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毎日一緒だった。


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朝から晩まで遊んだ。


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くだらない話をした。


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未来を語った。


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最高の友達だった。


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しかし。


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ある日。


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能力測定が行われた。


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結果。


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アベル。


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【SSS】


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歴史的天才。


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国中の注目を集めた。


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王都へ招かれた。


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英雄候補。


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未来の希望。


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誰もが期待した。


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一方。


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ゼノス。


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【F】


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最低評価。


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誰も見向きもしない。


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でも。


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二人は気にしなかった。


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アベルは笑った。


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「関係ないだろ。」


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「俺たち友達だし。」


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ゼノスも笑った。


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「そうだな。」


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その時は。


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本当にそう思っていた。


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しかし。


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世界は違った。


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アベルは王都へ。


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ゼノスは村へ。


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少しずつ距離ができる。


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会う回数も減る。


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手紙も減る。


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そして。


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ある日。


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知らせが届いた。


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アベル戦死。


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静寂。


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まだ十九歳だった。


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理由。


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「天才だったから。」


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国が無理な戦場へ送った。


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期待した。


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頼った。


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酷使した。


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才能があるから。


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だから死んだ。


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ゼノスは崩れ落ちた。


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怒りだった。


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悲しみだった。


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絶望だった。


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そして。


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思った。


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才能なんてなければ。


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アベルは生きていた。


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それから十年。


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ゼノスは研究した。


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才能とは何か。


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なぜ人は才能に縛られるのか。


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なぜ才能ある者が苦しむのか。


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そして。


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ある日。


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禁忌に辿り着く。


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【才能奪取】


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才能を取り除く力。


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最初は善意だった。


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苦しむ天才を救いたかった。


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期待から解放したかった。


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でも。


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途中で壊れた。


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才能そのものを憎むようになった。


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全ての才能を消せば。


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誰も苦しまない。


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そう信じるようになった。


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現在。


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シンはその話を聞いていた。


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情報屋から集めた資料。


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リリアも読む。


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ノエルも。


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カインも。


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全員が黙る。


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シンだけが。


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静かだった。


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レオが聞く。


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「どう思う?」


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シンは答える。


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「優しい奴だな。」


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全員。


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「そこ!?」


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リリアが頭を抱える。


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「また始まりました。」


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シンは苦笑する。


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「だってそうだろ。」


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「最初は誰かを助けたかった。」


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「そこは本物だ。」


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静寂。


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確かに。


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ゼノスは最初から悪人じゃない。


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親友を失った。


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苦しかった。


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だから間違った。


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それだけだ。


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その時。


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突然。


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外が騒がしくなる。


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「大変だ!!」


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兵士が飛び込んでくる。


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「魔王軍です!」


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「何!?」


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「街に現れました!」


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全員が立ち上がる。


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外へ飛び出す。


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空。


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無数の黒い鳥。


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魔物。


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そして中央。


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黒い翼。


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ゼノス。


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魔王本人。


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彼は街を見下ろしていた。


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ミアもいる。


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住民もいる。


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みんな震えている。


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ゼノスは手を伸ばす。


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黒い光。


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才能奪取。


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住民たちが悲鳴を上げる。


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その瞬間。


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シンが前へ出た。


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「待て。」


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ゼノスが止まる。


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「何だ。」


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シンは見上げる。


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そして。


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真っ直ぐ言った。


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「アベルは。」


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ゼノスの瞳が揺れる。


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「お前にそんなこと望んでないぞ。」


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世界が静まり返る。


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初めて。


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ゼノスの表情が崩れた。


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怒りでもない。


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憎しみでもない。


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ただ。


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悲しみだった。


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## 新章 第4話


### 「親友の願い」


アベルが最後に残した手紙。


ゼノスが知らなかった真実。


そしてシンは、魔王を救うための最後の勝負に出る――。


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