2話『対峙(サシ)』
今より少し先の未来を舞台とした、日本のとある地にて起こる様々な出来事が書かれた、普遍的な物語。
しかし、〝異能の力〟を持つ人間が多々居る、そんな世界。普遍的である事は変わらないけど、主人公《甘飲 ルミノス》の、ちょっぴり大変な出来事を描く、そんな作品。
チンピラが、拳を構えた。元からそのつもりだ。
僕も呼応して、立ち上がり、同じ様に拳を構える。
能力を持たない僕は、拳でしか対抗出来ない。対して、相手は火吹能力を持っているらしい。
先程、アイツが自分で言っていた。
(────少し、空気が臭う。)
刹那、チンピラは迫り、大きく腕を腰の後ろまで引き、右ストレートを繰り出そうとする。
『それは悪手だよ。』
僕は、拳が放たれる前に、チンピラへ更に詰め寄る。
動作が大きい。今なら、
相手の推進力を利用して鉄山靠を──────
チンピラの拳の中から、六等星くらいの輝きがチラリと見えた。
《ドォォォンッ!!!!》
目の前が、赤い光に包まれた。
直後、僕は、光に押し出されるかの様に、後ろへ吹っ飛んだ。
体勢は崩れ、尻もちをつく。
『ッ……!いッ…熱っ…!!!』
痛みと熱さが、同時に来る。
(なんだ…?何が起こったの?!)
踏み込んだ途端、いきなり爆発が起きた。
動作無しで…?
このチンピラ、意外に高位の能力者…?
僕の警戒心が、一層強まる。
迂闊に近付けない。
(─────また、臭いが…)
「余所見すンな、クソガキィ!!!!」
《ドゴッ!!》
『ッ…!』
チンピラが、蹴りを僕の顔面に入れた。
『ここ…ッ!』
咄嗟に、チンピラの脚を右手で掴み、間髪を入れずに下に引っ張り、そのまま両腕で、脚に組み付く。
「なっ…!離せ…!!!!」
また、チンピラの拳が、淡い光を発する。
直後に起こる爆発。それは、僕らを包み込む。
(やっぱり…!!!!)
(離さないッ!!!!)
折角掴んだチャンス。爆発の痛みを、そのまま組み付く力に転用する。痛い。熱い。早く逃げたい。
けど、コイツは逃してくれるのか?
それに加えて、やっぱりぶん殴らないと気が済まない。
『お前の能力は、火吹能力なんて大層なもんじゃない!そうだろ!?』
「ッチ…!勘の良いガキだな…!!!」
チンピラの顔に、焦りが見て取れる。
『勘って言葉の意味、辞書で調べてこい!!
お前の能力は、自身から可燃性物質のガスを放出する…気体放出ってとこだろ?なら、今の爆発はお前自身にもかなり効いたはずだ!
爆発自体は、お前の能力じゃねェからなァ…!!』
焦っているチンピラの顔。
本当に愉快。今にも、笑いなくらい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「離せ…離せ!!!」
駄目だ駄目だ駄目だ!
コイツ、マジに狂ってる…!
確かに俺にも効いた…
血だって、肉だって少し抉れて、火傷もしてる。
(お前の方が重症だろうが…!?)
俺の傷の、大体二倍。それほどの傷が、目の前のクソガキに刻まれている。
なのに…なんでコイツは平然と意識を保ちつつ、俺の脚を掴んでいられんだよ!!!!
想像以上におかしい…!
………なんでコイツは…笑ってんだよ…?!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(あぁ、このチンピラをやっとぶん殴れる…!!)
『その泥みたいな面、綺麗に整えてやるよ!!!』
腰を捻り、チンピラの脚を下に引っ張る。
体重を乗せたそれは、流石のチンピラも体勢を崩した。
「なんッ…お前…!!」
転んだチンピラに跨り、拳を、その顔面に叩き込む。
『トバそうぜェ!!!!その意識を!!!!』
《ゴッ。》
鈍い音が、辺りに広がる。
脳から、快楽物質が溢れ出してくる。
そんな状態になって、少し気分が高揚する。
《ゴッ…ゴッ…ゴッ…》
何度も、チンピラの顔面へ、拳を叩き込む。
少し、ルミノス気分が上がりましたね。
元気いっぱい。たのしそう(小並感)




