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九通目
拝啓 君
いかがお過ごしでしょうか?
僕はすっかり電車にはまっている日々です。
毎日違う顔をしている海を眺めながら、人の運転するそれに揺られるのは実にいいものだ。
新しいバイト先はわざわざ電車に乗らなければいけない場所にしたよ。
今度は紅茶を出す店です。
君の好みそうなフレーバーティーがたくさんある。
いつか飲ませてあげよう。
ちゃんと猫だってカップを温めたり砂時計を使えるのですよ。
カップの中の美しい輪を君に見せてやりたいです。
敬具。
指輪より素敵なものを君にあげられるとらより