十通目
君は花嫁というのはどうして白くて透明なアミアミの、如何せん表現に困るが、とにかく布切れを笊被りのように頭に被さっているか、理由を知っていますか?
あれは魔除けなのだそうです。
無垢で汚れのない乙女の布切れを花婿が取り除いて口付けするのは、
つまり自分が一生、花嫁を守るという意味があるのだそうです。
ロマンチックだと思いませんか。
この海の近くの町にはとても古い教会があるのだが、僕はそこで見た花嫁の美しさに見蕩れてしまいました。
シンプルなドレスに長い魔除けの布切れを引いた彼女は、その教会の聖母像のようだったよ。
猫だって人間の美醜くらいなら分かります。
つまりは好ましいか、好ましくないかだろう?
僕は、君をお嫁に出来る男はとても幸せだろうと思う。
君は中身は個性的だし、見た目も猫の僕からしても可憐で好ましいと思っていました。
君の世界では法律というもので、猫は人間と結婚出来ないようですが、この世界では結婚はとても自由だから君がもしこの世界に来たのなら、君は僕のお嫁さんにもなればいいのではないかと思います。
ここに君が居たのなら、きっと僕に恋すると思います。
いつかその日が来るかもしれないから、考えておくように。
ところで僕はこの世界で車の免許を取りました。
そのうちにバイト代で、中古でもいいから車を手に入れようと思っています。
僕は電車も好きだが、君がこの世界に来ても運転しなくて済むようにしなければなりません。
僕は本気です。
そろそろバイトの時間なので行って来ます。
君の人間の夫より運転が上手い、未来の夫のとらより。




