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残響魔術(エコー・コード)  作者: 天音シオン
第三部  調律者と世界の真実

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第60章 キメラ・ロードとの死闘

第60章 キメラ・ロードとの死闘



 第二層「生体実験区画」の奥深く。

 蓮たち特務部隊の前に立ちはだかったのは、執行者の魔力因子を組み込まれた特殊個体「キメラ・ロード」だった。

 その巨体から放たれる禍々しい魔力は、先ほど戦った執行者と同質の、重く冷たい圧迫感を伴っていた。


「……アラン、大丈夫か!」


 蓮が、壁に激突して倒れ込んだアランに声をかける。


「……あぁ、なんとか……。……だが、こいつはヤバいぜ。……俺の全力の炎が、全く通じなかった……」


 アランが、痛みを堪えながら立ち上がる。

 その顔には、焦りの色が浮かんでいた。


「……物理攻撃も、魔法攻撃も、ほとんど効果がないみたいね……」


 結月が、キメラ・ロードの漆黒の毛皮を睨みつけながら言う。


「……どうやら、あの毛皮自体が、強力な魔力障壁の役割を果たしているようだな」


 透が、冷静に分析する。


「……なら、どうすればいいの……?」


 凛音が、不安げな声で問う。


「……内側から破壊するしかない」


 蓮が、共鳴剣を構え直す。


「……内側から?」


「……あぁ。……どんなに強固な装甲でも、内部の臓器まで守られているわけじゃない。……アリス、あいつの魔力の流れを解析できるか?」


「……やってみるわ」


 アリスが、目を閉じて意識を集中させる。


「……『概念解析・魔力流動』……」


 アリスの意識が、キメラ・ロードの体内へと入り込んでいく。

 数秒後、アリスが目を開けた。


「……わかったわ。……あいつの胸の奥……心臓のあたりに、執行者の魔力因子が集中しているコアがある。……そこが弱点よ」


「……よし。……なら、そこを狙う」


 蓮が、仲間たちに視線を送る。


「……みんな、俺が隙を作る。……その間に、全力でコアを攻撃してくれ」


「……わかったわ」

「……任せろ」

「……了解」

「……ええ」


 五人の心が、一つに重なる。



「……行くぞ!」


 蓮が、キメラ・ロードに向かって駆け出す。


「……『全式共鳴・神速』!」


 蓮の姿が、ブレて消える。

 次の瞬間、蓮はキメラ・ロードの頭上に現れ、共鳴剣を振り下ろした。


「……『全式共鳴・雷鳴斬』!」


 雷を纏った一撃が、キメラ・ロードの頭部に直撃する。

 しかし、キメラ・ロードは微動だにせず、巨大な腕で蓮を払い除けようとした。


「……甘い!」


 蓮が、空中で身を捻って攻撃を躱す。

 その隙を突き、透が動いた。


「……『空間断裂・拘束の檻』!」


 透の魔法が、キメラ・ロードの四肢を空間ごと切り取り、その場に縫い付ける。


「……グオォォォォッ!」


 キメラ・ロードが、怒りの咆哮を上げる。

 その咆哮と共に、漆黒の毛皮から無数の魔力の棘が放たれた。


「……『風神の舞・防壁』!」


 凛音が、風の壁を作り出して棘を防ぐ。


「……今よ、結月!」


「……ええ!」


 結月が、氷の魔力を極限まで高める。


「……『氷華・絶対零度・氷槍』!」


 結月の放った巨大な氷の槍が、キメラ・ロードの胸元に突き刺さる。

 氷の槍は、漆黒の毛皮を貫通することはできなかったが、その表面を凍結させ、防御力を低下させた。


「……アラン!」


「……おう!」


 アランが、炎の翼を広げて空高く舞い上がる。


「……『爆炎・紅蓮の翼・極大火球』!」


 アランの放った巨大な火球が、結月の氷槍が突き刺さった箇所に直撃する。

 極端な温度変化により、キメラ・ロードの毛皮が悲鳴を上げてひび割れた。


「……アリス!」


「……『概念書き換え・装甲無効化』!」


 アリスの魔法が、ひび割れた毛皮の防御概念を完全に書き換える。

 キメラ・ロードの胸元に、コアへと通じる道が開かれた。


「……決める!」


 蓮が、再びキメラ・ロードに向かって突進する。


「……『全式共鳴・限界突破・修羅』!」


 大沢の死を乗り越え、さらなる高みへと至った蓮の魔力が、爆発的に膨れ上がる。

 共鳴剣の刃が、眩い光を放つ。


「……『特異点共鳴・一の太刀』!」


 蓮の渾身の一撃が、キメラ・ロードの胸の奥深く、魔力因子のコアを正確に貫いた。


「……ギャアァァァァァッ!」


 キメラ・ロードが、断末魔の叫びを上げる。

 その巨体が、内側から崩壊し始め、やがて光の粒子となって消滅した。



「……はぁ……はぁ……」


 蓮が、肩で息をしながらその場に膝をつく。


「……やった……のか……?」


 アランが、信じられないといった表情で呟く。


「……ええ。……コアの反応は完全に消滅したわ」


 アリスが、安堵の息を吐く。


「……みんな、無事か?」


 蓮が、仲間たちを見回す。

 全員が疲労困憊の様子だったが、大きな怪我はないようだった。


「……なんとかね。……でも、第二層でこれだけの強敵が出てくるなんて……」


 結月が、不安げに言う。


「……あぁ。……最深部には、もっと恐ろしい敵が待ち受けているはずだ」


 透が、気を引き締めるように言う。


『……皆さん、お疲れ様でした。……キメラ・ロードの消滅を確認しました。……第二層の防衛システムは完全に沈黙しました』


 シロの声が、通信機から響く。


「……シロ、第三層へのルートはわかるか?」


 蓮が問う。


『……はい。……この奥に、第三層へと続くエレベーターがあります。……ただし、第三層は「中枢制御区画」……調律者のコアに最も近い場所です。……これ以上の危険が予想されます』


「……わかってる。……でも、行くしかない」


 蓮が、力強く頷く。


「……大沢さんのためにも、ここで立ち止まるわけにはいかない」


 蓮の言葉に、全員が深く頷いた。

 彼らの瞳には、決して揺るがない決意の光が宿っていた。



 蓮たちは、少しの休息を取った後、第三層へと続くエレベーターに乗り込んだ。

 エレベーターは、重々しい音を立てながら、さらに地下深くへと降下していく。


「……いよいよ、中枢制御区画か……」


 アランが、緊張した面持ちで呟く。


「……調律者のコア……。……そこで、全てが終わるのね」


 凛音が、祈るように両手を組む。


「……終わらせるんだ。……俺たちの手で」


 蓮が、共鳴剣の柄を強く握りしめる。


 やがて、エレベーターが停止し、扉が開いた。

 そこには、第一層や第二層とは全く異なる、無機質で冷たい空間が広がっていた。

 壁や床は、未知の金属で覆われ、青白い光を放つ幾何学的な模様が描かれている。


「……ここは……」


 蓮が、息を呑む。


『……皆さん、気をつけてください。……この空間全体が、巨大な魔力回路で構成されています。……調律者のコアから直接魔力が供給されているようです』


 シロの警告が響く。


「……つまり、この空間そのものが、敵の領域ってことか」


 透が、周囲を警戒しながら言う。


 その時、空間の中央に、一つの影が現れた。

 それは、人間の形をしていたが、全身が銀色の金属で覆われ、顔には目も鼻も口もない、のっぺりとした仮面をつけていた。


「……侵入者ヲ確認。……排除プロセスヲ開始シマス」


 機械的な声が、空間に響き渡る。


「……こいつは……!」


 蓮が、身構える。


『……警告! ……対象は、調律者のコアを直接護衛する最終防衛ユニット「オメガ・ガーディアン」です! ……これまでの敵とは次元が違います!』


 シロの悲痛な叫びが響く。


「……オメガ・ガーディアン……」


 蓮が、その名を口にする。

 オメガ・ガーディアンが、ゆっくりと右腕を上げる。

 その腕が、鋭い刃へと変形し、青白い魔力を帯びて輝き始めた。


「……来るぞ!」


 蓮の叫びと共に、オメガ・ガーディアンが、目にも留まらぬ速さで襲いかかってきた。

 最終決戦の火蓋が、今、切って落とされた。



 オメガ・ガーディアンの刃が、空気を切り裂く鋭い音を立てて蓮に迫る。

 その速度は、先ほど戦ったキメラ・ロードはおろか、執行者をも凌駕していた。


「……速い……!」


 蓮が、間一髪で共鳴剣を盾にして攻撃を防ぐ。

 しかし、その一撃の重さに、蓮の身体は大きく後方へと弾き飛ばされた。


「……蓮!」


 結月が叫び、氷の壁を展開して蓮を受け止める。


「……くそっ、なんて重さだ……」


 蓮が、痺れる腕を振りながら立ち上がる。


「……物理的な力だけじゃない。……あの刃には、空間を歪めるほどの魔力が込められている」


 透が、冷静に分析しながら空間断裂の刃を放つ。

 しかし、オメガ・ガーディアンは、透の空間断裂を素手で弾き落とした。


「……空間断裂を弾いただと……!?」


 透が、驚愕に目を見開く。


「……排除プロセス、続行」


 オメガ・ガーディアンが、無機質な声で告げる。

 次の瞬間、その姿がブレて消えた。


「……上よ!」


 アリスの叫びと同時に、オメガ・ガーディアンが天井から急降下してくる。

 その両腕が、巨大なハンマーのように変形していた。


「……『風神の舞・竜巻の盾』!」


 凛音が、全力で風の盾を展開する。

 オメガ・ガーディアンのハンマーが、風の盾に激突する。

 凄まじい衝撃波が周囲に広がり、床の金属板がひび割れた。


「……きゃあぁぁっ!」


 凛音が、衝撃に耐えきれずに吹き飛ばされる。


「……凛音!」


 アランが、凛音を庇うように前に出る。


「……『爆炎・紅蓮の翼・火炎放射』!」


 アランが、至近距離から全力の炎を放つ。

 しかし、オメガ・ガーディアンは炎の中に平然と立ち尽くしていた。

 その銀色の装甲は、アランの炎の熱を完全に吸収しているようだった。


「……熱エネルギーを吸収しているのか……!?」


 アランが、舌打ちをする。


「……なら、凍らせるまでよ!」


 結月が、氷の魔力を解放する。


「……『氷華・絶対零度・氷結界』!」


 結月の魔法が、オメガ・ガーディアンを包み込み、巨大な氷の塊へと変える。

 しかし、数秒後、氷の塊に亀裂が入り、内側から粉々に砕け散った。


「……無駄だ。……あの装甲は、あらゆる属性の魔法を無効化、あるいは吸収する特性を持っているらしい」


 透が、絶望的な事実を告げる。


「……どうすればいいんだ……」


 蓮が、焦燥感に駆られる。

 物理攻撃も、魔法攻撃も通じない。

 オメガ・ガーディアンは、まさに「完璧な防衛ユニット」だった。



「……諦めるな!」


 蓮が、自らを鼓舞するように叫ぶ。


「……どんな完璧な防御にも、必ず綻びはあるはずだ。……アリス、もう一度解析を頼む!」


「……わかったわ。……でも、あの装甲のせいで、内部の魔力流動が読み取れない……」


 アリスが、顔をしかめる。


「……なら、俺が装甲を剥がす!」


 蓮が、再びオメガ・ガーディアンに向かって突進する。


「……『全式共鳴・限界突破・修羅』!」


 蓮の魔力が、再び爆発的に膨れ上がる。

 共鳴剣の刃が、眩い光を放つ。


「……『特異点共鳴・連撃の太刀』!」


 蓮が、神速の速度でオメガ・ガーディアンに連続攻撃を叩き込む。

 一撃、二撃、三撃……。

 蓮の攻撃は、オメガ・ガーディアンの装甲に弾かれながらも、確実にダメージを蓄積させていく。


「……排除プロセス、障害発生。……出力、最大」


 オメガ・ガーディアンが、無機質な声で告げる。

 その全身から、青白い魔力が激しく噴き出した。


「……来るぞ!」


 蓮が、警戒を強める。

 オメガ・ガーディアンが、両腕を交差させ、巨大な魔力の球体を作り出す。


「……『オメガ・ブラスター』」


 オメガ・ガーディアンの放った魔力の奔流が、蓮たちを飲み込もうとする。


「……『空間断裂・絶対防御』!」


 透が、全力で空間の盾を展開する。

 しかし、オメガ・ブラスターの威力は、透の盾を容易く粉砕した。


「……ぐあぁぁぁっ!」


 透が、吹き飛ばされる。


「……透!」


 蓮が叫ぶ。

 オメガ・ブラスターの余波が、蓮たち全員を襲う。

 五人は、為す術もなく吹き飛ばされ、床に叩きつけられた。


「……はぁ……はぁ……」


 蓮が、血を吐きながら立ち上がろうとする。

 しかし、身体が言うことを聞かない。

 オメガ・ガーディアンが、ゆっくりと蓮に近づいてくる。

 その右腕が、再び鋭い刃へと変形する。


「……排除、完了」


 オメガ・ガーディアンが、刃を振り下ろそうとしたその時。


「……させないわ!」


 結月が、最後の力を振り絞って立ち上がる。


「……『氷華・生命・絶対零度』!」


 結月の魔法が、オメガ・ガーディアンの動きを一瞬だけ止める。

 その隙を突き、アリスが動いた。


「……『概念書き換え・存在否定』!」


 アリスの究極の魔法が、オメガ・ガーディアンを包み込む。

 オメガ・ガーディアンの「存在する」という概念そのものを書き換えようとする、禁断の魔法。

 しかし、オメガ・ガーディアンのコアから放たれる強大な魔力が、アリスの魔法に抵抗する。


「……くっ……! ……魔力が……足りない……!」


 アリスが、苦悶の表情を浮かべる。


「……アリス!」


 蓮が、アリスに駆け寄る。


「……俺の魔力を使え!」


 蓮が、アリスの背中に手を当てる。

 蓮の魔力が、アリスへと流れ込んでいく。


「……俺もだ!」

「……私も!」

「……私もよ!」


 アラン、凛音、結月も、アリスに魔力を注ぎ込む。

 五人の特異点の魔力が、一つに重なり合う。


「……『特異点共鳴・真理解放アブソリュート・リンク』!」


 五人の魔力が融合し、眩い光の柱となってオメガ・ガーディアンを包み込む。

 光の中で、オメガ・ガーディアンの装甲が崩壊し、内部のコアが露出する。


「……今だ、蓮!」


 アリスの叫びと共に、蓮が共鳴剣を構える。


「……これで、終わりだ!」


 蓮の渾身の一撃が、オメガ・ガーディアンのコアを正確に貫いた。


「……機能、停止……」


 オメガ・ガーディアンが、最後にそう言い残し、光の粒子となって消滅した。



「……終わった……のか……」


 蓮が、その場に崩れ落ちる。

 五人は、疲労と安堵で言葉を失っていた。


『……皆さん、素晴らしいです。……オメガ・ガーディアンの消滅を確認しました』


 シロの声が、静寂の空間に響く。


「……シロ、調律者のコアは……?」


 蓮が、息も絶え絶えに問う。


『……この空間の奥に、コアへと続く最後の扉があります。……そこが、本当の終着点です』


「……わかった。……行こう」


 蓮が、仲間たちの手を借りて立ち上がる。

 彼らの前には、巨大な金属の扉がそびえ立っていた。

 その扉の向こうに、全ての元凶である調律者のコアが待ち受けている。


「……大沢さん、見ていてくれ。……俺たちは、必ず勝つ」


 蓮が、心の中で大沢に語りかける。

 五人は、互いに頷き合い、最後の扉へと手をかけた。

 重々しい音を立てて、扉が開く。

 そこには、彼らの想像を絶する光景が広がっていた。






 最後の扉が開いた先。

 そこは、果てしなく広がる星空のような空間だった。

 足元には透明な床が広がり、まるで宇宙空間に立っているかのような錯覚を覚える。

 そして、その空間の中央に、巨大な光の球体が浮かんでいた。


「……これが……調律者のコア……」


 蓮が、圧倒的な存在感を放つ光の球体を見上げる。

 その球体からは、これまで感じたことのない、純粋で強大な魔力が波紋のように広がっていた。


『……よくここまで辿り着いた、特異点たちよ』


 突然、空間全体に声が響き渡った。

 それは、特定の誰かの声ではなく、無数の声が重なり合ったような、不思議な響きを持っていた。


「……お前が、調律者か」


 蓮が、共鳴剣を構えながら問う。


『……我々は、この世界の法則を管理し、進化を促す者。……お前たちが「調律者」と呼ぶ存在だ』


「……進化を促すだと? ……ふざけるな! ……お前たちのせいで、どれだけの人が死んだと思ってるんだ!」


 アランが、怒りに任せて叫ぶ。


『……進化には、痛みが伴う。……弱き者は淘汰され、強き者のみが生き残る。……それが、宇宙の真理だ』


「……そんな真理、俺たちがぶっ壊してやる!」


 蓮が、光の球体に向かって駆け出す。


『……愚かな。……我々の力は、お前たちの想像を絶する』


 光の球体から、無数の光の矢が放たれる。

 その一つ一つが、オメガ・ブラスターに匹敵する威力を持っていた。


「……『空間断裂・絶対防御』!」


 透が、全力で盾を展開する。

 しかし、光の矢は透の盾を容易く貫通し、蓮たちに襲いかかる。


「……ぐあぁぁぁっ!」


 五人は、再び吹き飛ばされ、透明な床に叩きつけられた。


「……強すぎる……」


 結月が、絶望的な表情を浮かべる。

 オメガ・ガーディアンとの戦いで魔力を使い果たした彼らに、調律者のコアに対抗する力は残されていなかった。


『……お前たちの役目は終わった。……ここで消滅するがいい』


 光の球体が、さらに強大な魔力を収束させ始める。

 それは、この空間ごと蓮たちを消し去るための、最後の一撃だった。


「……まだだ……」


 蓮が、血まみれになりながらも立ち上がる。


「……俺たちは、まだ負けてない……!」


 蓮の瞳には、決して消えることのない闘志の炎が燃えていた。

 大沢の死、仲間たちの想い、そして、この世界を守るという強い決意。

 それらが、蓮の心の中で一つに結実していく。


「……みんな、力を貸してくれ。……これが、最後の一撃だ」


 蓮の言葉に、アラン、凛音、結月、透、そしてアリスが、最後の力を振り絞って立ち上がる。

 彼らの魔力が、再び蓮の共鳴剣へと集まっていく。


「……『特異点共鳴・真理解放アブソリュート・リンク』……限界突破!」


 蓮の共鳴剣が、これまでにないほどの眩い光を放つ。

 それは、調律者のコアの光をも凌駕する、希望の光だった。


「……行くぞぉぉぉぉっ!」


 蓮が、光の球体に向かって跳躍する。

 調律者のコアから放たれた最後の一撃と、蓮の共鳴剣が激突する。

 二つの強大な力がぶつかり合い、空間全体が白く染まった。


 そして、光が収まった後。

 そこには、静寂だけが残されていた。





【新登場魔法・用語解説】


調律者のコア

エリア・ゼロの最深部に存在する、調律者の中枢。無数の意識の集合体であり、世界の法則を管理する強大な魔力を持つ。


特異点共鳴・真理解放・限界突破

蓮たちが最後の力を振り絞り、真理解放の威力をさらに限界まで高めた状態。調律者のコアに対抗しうる唯一の力。


概念解析・魔力流動

アリスの魔法。対象の体内を流れる魔力の動きを解析し、弱点やコアの位置を特定する。


全式共鳴・雷鳴斬

蓮の魔法。共鳴剣に雷の魔力を纏わせ、神速の速度で振り下ろす斬撃。


空間断裂・拘束の檻

透の魔法。対象の周囲の空間を切り取り、その場に縫い付けるように拘束する。


氷華・絶対零度・氷槍

結月の魔法。絶対零度の冷気を圧縮した巨大な氷の槍を放つ。


爆炎・紅蓮の翼・極大火球

アランの魔法。炎の翼から生み出される熱量を一点に集中させ、巨大な火球として放つ。


概念書き換え・装甲無効化

アリスの魔法。対象の装甲や防御壁が持つ「防御する」という概念を書き換え、無効化する。


特異点共鳴・一の太刀

蓮の魔法。仲間の魔力と想いを共鳴剣に集め、全てを断ち切る究極の一撃を放つ。


オメガ・ガーディアン

調律者の中枢コアを直接護衛する最終防衛ユニット。未知の金属で構成された身体と、コアから直接供給される無尽蔵の魔力を持つ。これまでのガーディアンとは次元の違う戦闘力を誇る。


風神の舞・竜巻の盾

凛音の魔法。強力な竜巻を発生させ、物理攻撃や魔法攻撃を弾き飛ばす防御魔法。


爆炎・紅蓮の翼・火炎放射

アランの魔法。炎の翼から、超高温の火炎を放射状に放つ。


氷華・絶対零度・氷結界

結月の魔法。対象を絶対零度の氷で包み込み、動きを完全に封じる。


特異点共鳴・連撃の太刀

蓮の魔法。仲間の魔力を借りて神速の連続攻撃を放つ。


オメガ・ブラスター

オメガ・ガーディアンの魔法。両腕から放たれる、全てを消滅させる魔力の奔流。


空間断裂・絶対防御

透の魔法。空間そのものを切り取り、あらゆる攻撃を通さない絶対的な盾を作り出す。


概念書き換え・存在否定

アリスの究極魔法。対象の「存在する」という概念そのものを書き換え、消滅させる禁断の魔法。極めて高い魔力を消費する。


特異点共鳴・真理解放アブソリュート・リンク

五人の特異点の魔力が完全に融合し、世界の真理に到達した究極の共鳴魔法。あらゆる防御や概念を打ち破る力を持つ。



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