第62話 知らせ
「剣が治ったんですか!?」
パーティー登録をした翌日、宿で今日はどうするか考えていた俺へと告げられた言葉に、思わず大きな声を出してしまった。
「えぇ、さっき宿に手紙が届いてね、今日受け取りに行くでしょ?」
「勿論です!」
「ふふっ、アルファンド君ならそう言うと思ったわ、でも私はギルドに用事があるから悪いけどアルファンド君だけで行って貰う事になるのだけど……」
「あぁ、大丈夫ですよ? 店までの道は覚えていますから」
「そう? ならこれを持って行きなさい、多分それだけあれば十分だと思うから」
そう言うとアーリアさんは布袋を手渡して来た。
重さと音からして間違いなくお金だ。
「すみません……本当なら俺が払わないといけないのに」
「気にしなくていいのよ、剣が無ければ依頼も受けられないんだから」
「だけど……」
「良いって言ってるんだから良いのよ? けど、そうねぇ……そこまで言うなら、体で払ってくれても」
「ありがとうございます」
綺麗な角度でアーリアさんに頭を下げた。
そうだな、アーリアさんが良いって言ってくれてるんだから今回ばかりは受け入れよう、そうしよう。
「それでいいのよ、早速だけど私はギルドに行くからくれぐれも気をつけてね?」
「……はい、ありがとうございます」
何だかんだ言って、やはりアーリアさんは優しいな。
でもいつまでも甘えっぱなしは駄目だ。 きちんとお礼をしないとな。
勿論、先程アーリアさんの口にした体で払う以外の方法でだが。
それから少しして、アーリアさんがギルドに向かうのを見送ってから俺もダグさんの店へと向かった。
「何か久しぶりに一人で出歩くな……」
思わず一人言を漏らしてしまった。
アーリアさんは先程話していた通りギルドで用事があるとの事、そしてエミリアは朝早くからジュリと特訓をするのだと意気込んで出掛けてしまった。
その為久しぶりの一人きりという訳である。
この数日の都市探索によっておおよその道程は頭に入っているから迷子になる心配も皆無、まあ横道とかの細かい所に入らなければ。
「あら? 今日は一人なのね?」
「えっ?」
突然、後ろから声を掛けられた。
声の方へと振り返ると見知った顔が。
「あ、えっと、マイラさん……でしたよね?」
「えぇ、こんにちは」
「あ、こんにちは……というか別にいつもあの二人と一緒って訳じゃ無いんですけど?」
「えっ? 違うの?」
「断じて違います。 所でマイラさんこそ一人ですか?」
「えぇ、私達は依頼の時とその打合せの時ぐらいしか元々集まらないから」
成る程、パーティーによって考え方はそれぞれという事か。
「それで? アルファンド君はこんな所で何してるの?」
「あ、俺は剣の受け取りに行くんです」
「……ごめんなさい、うちの馬鹿が迷惑を掛けて」
「あ、いえいえ! マイラさんが謝る事無いですよ! それに剣を折られたのは俺の力不足が原因ですから!」
俺の言葉に、マイラさんは関心する様な目で俺を見てくる。
何か、そんな目で見られるとちょっと恥ずかしいな。
「まだ若いのに立派ねぇ……あの馬鹿に少しは見習って貰いたいわ」
染々と言うマイラさんに俺は何と答えれば良いのか分からず、曖昧な笑みを返す事しか出来なかった。
というか凄いな、今の会話の中で俺とマイラさんはオルガの名前を一切出していない、しかもマイラさんに至っては馬鹿しか言ってないのだが……。
「という事は今から剣を受け取りに行くのよね? もし良かったら私も一緒にいい?」
「えっ? まあ、別に構いませんけど……」
「じゃあ決まりね、案内は任せるわ」
にんまりと笑いながらマイラさんは俺の横に並んだ。
まあ、断る理由も無いし別にオルガと違って気にする事も無い、それに一人寂しく行くよりは誰かと話しながらの方が良いか。
って別に寂しくなんて無いぞ!
……誰に言ってるんだろう俺は?
溢れそうになる溜息を我慢しながらマイラさんと並んでダグさんの店へと向かった。




